IBARAKI Next Generation Cup2025に挑んだサッカーU-22日本代表は、27日にU-21ALL IBARAKIと対戦し、6-1で勝利して優勝を飾った。この試合でインパクトを残したのが、横山夢樹だ。来季からのセレッソ大阪加入が決まった逸材は、その理由や、自身にとって大舞台となるAFC U-23アジアカップへの思いなどを語った。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]
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強烈なインパクトを残した横山夢樹
1月のAFC U-23アジアカップ(サウジアラビア)を控え、IBARAKI Next Generation Cup2025(水戸)に参戦していたU-22日本代表。
27日にはU-21 ALL IBARAKIとの決勝に挑み、6-1で圧勝。いい形で調整合宿を打ち上げ、1月7日の初戦・シリア戦に弾みをつけることができた。
大岩剛監督はこの日、27日のU-21関東大学選抜戦からスタメンを大幅に入れ替えた。2戦続けて先発に名を連ねたのはキャプテンマークを巻いた大関友翔1人で、それ以外は途中出場組ばかり。
その中でとりわけ異彩を放ったのが、左ウイングに陣取った背番号9・横山夢樹だった。
前日の26日にセレッソ大阪へ移籍することが正式発表されたばかりの茶髪のドリブラーは、前へ前へという姿勢を前面に押し出し、積極果敢に仕掛けていった。
最初の大きな見せ場は14分。敵陣中央でボールを運んだ久米遥太からパスを受け、しっかり中を見て右足アウトでスルーパス。これをゴール前に飛び込んできた川合徳孟が決め、早速アシストを記録することに成功したのだ。
この3分後の久米の3点目も、左サイドを切り開いた横山の突破から生まれたもの。前半だけで2点に関与し、それ以外にも自ら強引に持ち込んでシュートを放つなど、前半45分間のプレーで強烈なインパクトを残したのである。
セレッソ大阪には「その時点で行こうと…」
「自分の一番の特徴はドリブル突破なので、そういうシーンを何回も出せたのはよかったですけど、得点という形にはつながらなかった。そこはもっと修正しなきゃいけないと思います」と本人は手ごたえと課題の両方を感じた様子だ。
相手が同世代の大学生ということで、横山自身も「このくらいできて当たり前」という感覚がどこかにあったのかもしれない。
ただ、圧倒的な局面打開力で見る者を釘付けにしたのは紛れもない事実。「こういう若手ならセレッソからオファーが来るのも当然」と思わせるだけのポテンシャルを示したのだ。
2005年生まれの横山は2023年に帝京高校からFC今治に加入。最初はJ3からのスタートだった。
2022年にJ3・松本山雅FCでブレイクした4つ上の兄・歩夢がJ1・サガン鳥栖、そして海外へと飛躍する姿を間近で見ていたため、「自分も這い上がっていけばいい」と考えていたのだろう。
その思惑通り、プロ1年目からJ3で29試合出場6得点というまずまずの数字を残し、今治のJ2初昇格に貢献。カテゴリーを上げて迎えた今季も25試合で6ゴールをマークした。
さらに9~10月にはU-20ワールドカップ(W杯)にも参戦。4試合に出場し、1ゴール1アシストという結果も残している。
こういった実績を買われ、プロ3年目で国内最高峰リーグにステップアップを果たしたのだから、ここまでの歩みは順調と言えるのではないか。
「セレッソは(アーサー・パパス)監督が自分のことをすごく評価してくれて、一番最初にオファーをくれたチーム。その時点で行こうと決めていました。
今日も(髙橋)仁胡と左サイドに入りましたけど、昨年から(ユース代表で)ずっと組んでいるので、セレッソに行くにあたってすごく心強い。送り出してくれた今治のためにも、しっかりと活躍して、もっといい選手になりたいと思います」
香川真司との共闘は「あまり実感が…」
新天地には今回、共闘している髙橋、石渡ネルソンら同世代の若手もいるし、日本代表で長く10番を背負った香川真司のようなレジェンドもいる。
横山にしてみれば、これまで過ごした今治とは少し異なる世界に身を投じることになるだろう。
「香川選手は小学校の頃からテレビで見ていた選手なので、あんまり実感が湧かないですけど、いろんなことを吸収してトレーニングにのぞんでいきたいと思います」
横山はこう発言。兄・歩夢がかつて鳥栖で清武弘嗣から世界基準を学んだように、自分も偉大な先人から学びを得て、いずれは世界に羽ばたいていく構えだ。
しかしながら、セレッソではどこで使われるか未知数だ。
左ウイングでチアゴ・アンドラーデとポジション争いをすることになるかもしれない。今治で陣取っていたシャドウや2トップの一角などを担うことも考えられる。
どういう役割で起用されたとしても、最大の武器であるドリブル突破で違いを作り、ゴールに直結するプレーを見せていくことが重要だ。



