欧州主要リーグの冬の移籍市場は、短期決戦だ。補強ポイントが明確なクラブに途中加入する一方で、環境・戦術・序列に慣れる猶予はほとんどない。本稿では、冬の海外移籍で歯車が噛み合わず、キャリアの流れを変えてしまった日本人選手を取り上げ、その背景と「失速の要因」を辿っていく。※データは『Transfermarkt』を参照[1/5ページ]
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MF:井手口陽介(いでぐち・ようすけ)
生年月日:1996年4月23日
移籍先:ガンバ大阪→リーズ・ユナイテッド(イングランド)、ガンバ大阪→セルティック(スコットランド)
移籍日:2018年1月9日、2022年1月1日
井手口陽介はキャリアの中で2度、冬の欧州移籍を決断したが、いずれもうまくいかなかった。
最初の挑戦は2018年1月。当時21歳だった井手口は、ガンバ大阪からイングランド2部のリーズ・ユナイテッドに移籍した。
このときの井手口は、サッカー日本代表に定着できるかどうかというタイミングで、2018 FIFAワールドカップ(W杯)のメンバー入りを狙った勝負の移籍とも言えた。
ただ、イギリスの労働ビザ発行基準を満たしておらず、すぐにスペイン2部のクルトゥラル・レオネサに期限付き移籍。
出場機会があったのは2月中旬までで、信頼を勝ちとれず、それ以降はピッチに立てなくなった。
半年後にリーズに復帰したが、マルセロ・ビエルサ監督の構想外となり、ドイツ2部のグロイター・フュルトへの期限付き移籍を経て、2019年夏にガンバに復帰した。
その後、日本で実績を積んだ井手口は、2022年1月にセルティックに加入して欧州での再挑戦に臨む。
当時のセルティックはアンジェ・ポステコグルー監督が指揮を執っており、複数の日本人選手が在籍していたため適応に問題はないとみられた。
だが、古橋亨梧や前田大然のようにはいかず、1年間で公式戦の出場はわずか6試合にとどまり、再び欧州の壁に阻まれた。
欧州クラブ在籍2年半で公式戦出場は18試合のみ。井手口の持つポテンシャルは確かだが、欧州移籍においては実力だけでなく、適応力や巡り合わせといった、乗り越えるべき壁の存在が浮き彫りになった。

