欧州主要リーグの冬の移籍市場は、短期決戦だ。補強ポイントが明確なクラブに途中加入する一方で、環境・戦術・序列に慣れる猶予はほとんどない。本稿では、冬の海外移籍で歯車が噛み合わず、キャリアの流れを変えてしまった日本人選手を取り上げ、その背景と「失速の要因」を辿っていく。※データは『Transfermarkt』を参照[2/5ページ]
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FW:永井謙佑(ながい・けんすけ)
生年月日:1989年3月5日
移籍先:名古屋グランパス→スタンダール・リエージュ(ベルギー)
移籍日:2013年1月16日
永井謙佑は、2013年1月に名古屋グランパスからベルギーのスタンダール・リエージュに移籍したが、欧州挑戦は半年で幕を閉じた。
永井は2012年夏に行われたロンドンオリンピック(ロンドン五輪)で注目を集めた。
初戦のU-23スペイン代表戦でイニゴ・マルティネスの退場を誘発して歴史的勝利の立役者に。
その後も圧倒的なスピードを武器に同大会で2ゴールを挙げ、日本の44年ぶりのベスト4進出に大きく貢献した。
2012シーズンのJ1では、名古屋で最多となるリーグ戦10ゴールを記録。勢いそのままに、五輪から約半年後、川島永嗣が所属していたスタンダールに加入した。
だが、初の国外挑戦ですぐに定位置をつかむことはできず。
4月以降はコンスタントに起用されたが、3度の先発起用でもゴールという結果で応えることはできなかった。
2013年夏に名古屋へ期限付きで復帰し、2015年1月には完全移籍に切り替わった。
永井は36歳となった2025シーズンも名古屋でリーグ戦36試合に出場。現在も日本サッカーの第一線で活躍を続けている。
のちに永井は、スタンダールで筋力アップを求められたことを明かしている。ただ、それはスピードを武器とする自身の持ち味を損なう可能性もあった。
早期に欧州から引きあげた選択が、結果としてJリーグでの長期的な活躍に繋がったと見ることもできるだろう。

