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RB大宮アルディージャ衝撃移籍の狙い。マギージェラニー蓮の真意。下の世代に伝えるメッセージは「こんな選手もいるよ」【コラム】

シリーズ:コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images,Shota Sato

RB大宮アルディージャ、マギージェラニー蓮
RB大宮アルディージャに新加入したマギージェラニー蓮【写真:佐藤彰太】



 今冬のJリーグ移籍市場で驚きの移籍があった。FC琉球の17歳、マギージェラニー蓮がプロ契約締結と同時に、RB大宮アルディージャに完全移籍したのだ。日本サッカー界に新たな風を吹き込むこの事実の裏には、選手の相当な覚悟があった。大宮移籍の真実、そして逸材が見据える未来について、伝える。(取材・文:小澤祐作)[1/2ページ]
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驚きのRB大宮アルディージャ移籍。理由は?

RB大宮アルディージャ、マギージェラニー蓮
RB大宮アルディージャに新加入したマギージェラニー蓮【写真:佐藤彰太】

 驚きのニュースが飛び込んできたのは、1月7日のことだった。

『マギージェラニー蓮選手 プロ契約締結およびRB大宮アルディージャへ完全移籍のお知らせ』

 FC琉球が、クラブ公式サイトにて掲載したものである。プロ契約締結後すぐの完全移籍、それもJ3→J2へのステップアップという例は、過去を振り返ってもない。『レッドブル』の傘下となった大宮が、それまでの常識を覆した格好だ。



 沖縄県出身で、アメリカ人の父を持つマギージェラニー蓮は、ジュニア時代からFC琉球に身を置いていた。身長186cm・体重86kgという、FWとしては規格外の体格を誇り、元バレーボール選手だったという父から譲り受けた身体能力はピカイチ。日本サッカーのこれからを担う可能性のある、期待の逸材だ。

 彼の名が知れ渡るきっかけとなったのは、昨年行われたFIFA U17ワールドカップ カタール2025だろう。

 この大会に日本代表として出場したマギーは、5試合に出場。ラウンド16のU-17北朝鮮代表戦では、開始早々にヘディングゴールを叩き込み、インパクトを残した。

 そのW杯を終え、マギーの心情には変化があったという。それこそが、今冬の大宮移籍の決め手になったようだ。

アメリカの大学からも声がかかっていた。それでもプロ入りを決めたわけ

RB大宮アルディージャ、マギージェラニー蓮、西尾隆矢
同じく新加入の西尾隆矢とトレーニングするマギージェラニー蓮【写真:佐藤彰太】

「W杯から帰ってきて、自分的にはもっと上手い選手とやりたいと思った」

 そうした思いを抱く中で、大宮からのオファーが舞い込んできた。実は、アメリカ合衆国の大学からも声がかかっていたというが、レッドブル傘下の大宮でプレーし成長すれば、その後の海外移籍の視野も広がるという狙いもあり、J2でプロとしての第一歩を踏み出すことに決めた。

 迎えた2026年1月9日は、クラブの始動日。マギーにとっても、大宮の選手としてのスタートを切る記念すべき1日となった。

 ピッチに姿を現したマギーの表情は、少し硬かった。無理もない。実は、FC琉球でもトップチームの練習に参加したことがなかった。9日の練習が、Jリーグのレベルを体感する、初めての機会だった。



 やはり「緊張した」と振り返ったマギーだが、練習が進むにつれ、少しずつ慣れていった印象を受ける。同じく今冬新加入の西尾隆矢(セレッソ大阪から完全移籍)や、スタッフ陣と笑顔で話す場面もあり、練習終わりに取材に応じる際の表情は、どこか満足気だった。

「レベルはけっこう高いです。思っていたより高い。ユースとかだったら、ボールタッチしてからちょっとして守備とか来るんですけど、ボールタッチする前にガンってきて。あーやっぱちげぇなぁって。上手くなりたいなぁってずっと思ってやってました」

 初めての練習を終え、マギーは率直な感想を述べた。大宮はただのJ2クラブではない、J1昇格を目指すクラブ。その高いレベルを体感できたことは、すでに世界を見据える逸材にとって、大きな出来事だったことは間違いない。

 移籍する際、マギーはFC琉球のクラブサイトでこんなコメントを残していた。

「若手のロールモデルに」の真意

サッカーU-17日本代表のマギージェラニー蓮
マギージェラニー蓮はすでに若手のロールモデルになりたいと思いを抱く【写真:佐藤彰太】

「FC琉球ジュニアから7年間、本当にありがとうございました。私は多くのことを学び、多くの経験をすることができました。FC琉球から離れることは寂しいです。
 
 しかし、より良い選手になるため、そして若い世代にとって良いロールモデルとなるために、この決断をしました。この難しい道のりで私を支えてくださった全てのスタッフの方々、そして琉球で私を応援してくださった全ての方々に、心から感謝いたします」(本文ママ)

 この言葉の中で、気になるポイントがあった。「若い世代にとって良いロールモデルとなるために決断した」という部分だ。

 なぜ、まだ若いマギーがそのような思いをすでに抱くのか。練習後の本人にその真意を問うと、こんな答えが返ってきた。

「小さい時、ロールモデルがあまりいなかったんですよ。上の選手、ユースとか見たら、プロにいった選手とかそんなにいなくて。

 自分的には、小さい子に、こんな選手もいるよ、こんな生活もできるよみたいな、夢はあるよ、みたいなものを見せたかった」



 マギーの移籍は極めて珍しいケースである。それだけに、とくにユースに所属する選手への影響は大きい。

「こんな選手もいるよ」というのは、まさに彼が若手選手に伝えるメッセージの根幹であり、多くの逸材たちに夢を与えるきっかけになりえる。

 もちろん、若手投資がカラーと言っても過言ではないレッドブル・グループの一つである大宮だからこそ実現した引き抜きではあると思うが、マギーの勇気ある決断が一つ、Jリーグに新たな風を吹き込んだのは確か。

 マギーの成功例が、今後の日本サッカー界を大きく変える可能性がある、という表現は、決してオーバーではないだろう。

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