今季J1に帰ってくるジェフユナイテッド千葉に、頼もしい選手が加入した。大分トリニータから完全移籍したMF天笠泰輝だ。昨季J2で全試合に出場した鉄人は、即戦力としての活躍が期待されている。その天笠は、実は去年から千葉の試合を気にして見ていたという。その理由や、新天地での思いとは。(取材・文:小澤祐作)[1/2ページ]
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大分トリニータを1シーズンで離れJ1の舞台に
歓喜に沸いたJ1昇格プレーオフを終え、他クラブより遅くオフに入ったジェフユナイテッド千葉。休息も束の間、今月9日にはクラブが始動し、新シーズンへの準備を進めている。
今年は、例年行っていた沖縄キャンプを実施しない。そのため、とくに新加入選手にとっては、一日一日の練習が、既存選手とのフィーリングを合わせる上でも、とても貴重なものとなっている。
「みんな良い人たちですよ。うまく馴染めているんじゃないかなと僕は思っています。みんなけっこう話しかけてくれますし、上の選手も下の選手も仲良くしています」
今冬、大分トリニータから完全移籍で加入した天笠泰輝は、始動日からちょうど1週間が経った16日の練習後に、こう答えてくれた。青森山田高校時代の先輩でもある髙橋壱晟がいるのも心強いはずで、本人の言葉通り、うまく溶け込むことができているようだ。
青森山田高校出身の天笠は、同校卒業後に関西大学に進学。しかし、2020年の途中にサッカー部を中退し、ザスパ群馬に加入してプロとしてのキャリアを歩み始めた。
昨季は大分に活躍の場を移し、主力としてシーズンを駆け抜けた。そして今冬、J1に復帰した千葉の一員に。着実にステップアップしているのは、明らかだ。
大分では昨季、リーグ戦全試合出場という立派な成績を残した。当然、千葉にもそうした部分を高く評価されている。
大久保裕樹TD(テクニカルダイレクター)はこう話す。
アビスパ福岡からも狙われたが…なぜジェフユナイテッド千葉へ?
「彼(天笠)は、昨シーズン全試合出場を果たしたと思いますけど、それくらいタフな身体を持っているかつ、左利きで、運動量が一番多かった選手。それは、これからのジェフを考えた時に、とても必要な要素だと思いますし、マッチするなと感じたので、能力に期待していくというところです」
当然、J2で際立った存在感を示した天笠には、オフにいくつかオファーがあった。
一部報道では、アビスパ福岡も獲得に動いていたと伝えられた。だが天笠は、J1に定着しつつある福岡ではなく、J1に復帰したばかりの千葉に移籍することを決めた。なぜだろうか。
「去年も一回オファーをいただいていて、千葉のサッカーだったり、サポーターの熱さだったりを色々知りました。そこから僕自身、千葉の試合も気にして見るようになって。(そんな中で)今年もオファーをいただいて、やっぱり千葉でプレーしたい気持ちが一番だったので、来させていただきました」
本人の言葉にもある通り、オファーを受けたことで、千葉という存在を意識するようになった。だからこそ、昨季マッチアップした際の印象が、より強く残っている。
「攻守ともにハッキリしていると思います。行くところはいく、行かないところはいかない。攻撃だったら、背後にボールを蹴る、遅く攻撃するときは焦らずいくっていうところを、“選手が”コートの中でしっかり、分けられるという印象だったので、そこはめっちゃ凄いなと思っていました」
練習からも、千葉の選手一人ひとりの判断力の良さは伝わってくるという。だからこそ天笠は「千葉は本当に練習から成長できる」という言葉を残したのだろう。
そしてそれは、大分時代とは全く異なる刺激だ。
「絶対に変えちゃいけない」チームとの約束事
「なんていうんですかね、強度とか、集中力だったりは全然違うなと感じました」
J2での実績は申し分ない。当然、千葉としても即戦力としての期待を込めての獲得だったはずだ。
しかし、天笠に慢心はない。また0からのスタート、しかもJ1初挑戦である事実をしっかりと意識しながら、自身のストロングポイントをチームに還元すると誓う。
「僕はやっぱり、J2でずっと運動量だったり、ボール奪取率というところを強みにやってきたので、そこは絶対に変えちゃいけないと思います。
でも、もう一つ、二つ上げていかないと、(J1では)通用しないと思っているので、そこはもっと磨いていければいいかなと」
「絶対に変えちゃいけない」。この言葉は、ある意味で千葉でプレーするにあたっての約束事のように感じられる。実は小林慶行監督が新加入選手について、こんなコメントをしていた。
「自分たちの積み上げてきたスタイルに合う選手というところで、(新加入選手たちには)オファーを出させていただきました。その中で一番は、まずジェフのスタイルに合わせよう、合わせようとするのではなく、自身の良さっていうのを思い切り出してくれと。そういうようなお願いはしています。
その後に、僕自身が彼らの武器となるものを新たにチームの中に組み込んでいけるかどうかであったりとか、そういう挑戦になってくると思う。スタイルが少しずつ確立している中で、合わせようとする気持ちがどうしても出るとは思うんですけど、そこはもう我々のスタイルに合うという前提があって来てもらっているので、自分たちの良さ、ストロングポイントを出していってもらえれば」
千葉のスタイルに合わせるために、自身のストロングポイントを変えてしまっては本末転倒。天笠を含め、新加入選手たちには、すでにそうした意識が植え付けられている。
新たなチーム作りを進めるうえで、非常に大事な約束事ではないか。



