AFC U23アジアカップ サウジアラビア2026で優勝したサッカーU-23日本代表は、26日に帰国。そのままホテルで取材に応じた。同大会で全試合に出場したMF嶋本悠大は、ある一定の手ごたえを得つつ、明確な課題も持ち帰ってきた。すべては清水エスパルスのために。サウジアラビアの地で得た経験を力に変える。(取材・文:小澤祐作)[1/2ページ]
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嶋本悠大はアジア杯で全試合に出場したが…
2026年早々、日本サッカー界にまた1つ新たなタイトルが加わった。
サウジアラビアで行われたAFC U23アジアカップで、サッカー日本代表が頂点に立った。これで史上初の連覇達成となり、アジアの歴史を塗り替えている。
大会を通して、日本の強さは際立った。グループリーグ3戦を10得点0失点という成績で堂々と突破。準々決勝のヨルダン戦は苦労したが、PKの末に勝ち切ると、準決勝の韓国戦、決勝の中国戦で完封勝利を収め、王者の称号を手にしている。
MVPに輝いた佐藤龍之介を筆頭に、最優秀GKの荒木琉偉、決勝で2ゴールを奪った小倉幸成、守備の要である市原吏音、攻守に不可欠だった大関友翔ら、パフォーマンスレベルの高い選手が多かった。彼らは大きな自信を手に、帰国の途についたことだろう。
しかし、今大会に臨んだメンバーの中には、「もっとやれた」「個人としては悔しい」という思いをもった選手も、当然ながらいる。その中の一人が、MF嶋本悠大だ。
嶋本は今大会で全試合に出場した。ただ、スタメンに名を連ねたのは、消化試合となったグループ第3戦のカタール戦、そして準決勝の韓国戦のみ。その他4試合が途中出場だった。
本人は「(ゴールやアシストといった)数字で結果を残すことはできなかったんですけど、他の部分でチームに貢献できたかな」と大会を振り返る一方で、途中出場という難しさを痛感していた。
「途中からボランチで出るのは本当にキツい」理由
「今大会に関しては途中からの試合が多かった。途中からのボランチっていうのは本当に難しいと思います。流れのところだったりを変える役割のポジションでもあるので、そこの部分ではまだ慣れがないかなと思いました。入りのところを、これからも意識していきたいなと」
準々決勝のヨルダン戦を除いて、日本はすべての試合で先制ゴールを奪った。その中で、ベンチから送り出された嶋本に託された主な役割はクローザー。いわゆる、試合を締めることだ。
だが、日本はほとんどの試合で防戦一方になる展開がなかった。それゆえに、クローザーと言っても、守備だけを明確に頑張れば良いというわけではない。その答えが、嶋本の口から出た「難しい」という言葉に集約されている。
「攻撃だけ、守備だけって偏りすぎたら、どっちか本当になくなると思うんで、どっちも出来てなんぼだと思うんですけど…。途中からボランチで出るのは本当にキツいです。けど、やっぱキツいとか言ってられないし、偏りすぎたり、攻撃できなくなったら本当に一歩攻められてしまうので。そこは、うまくサボりながらやってたという感じです」
とはいえ、「キツさ」や「難しさ」を抱えていた嶋本だが、役割はきっちりと果たした。途中からピッチに入っても、リズムを崩してしまうようなことはなく、チームを勝利に導く。とくに、準々決勝のヨルダン戦は、球際でのバトルや間で受ける動きが光り、周囲に疲労の色が見える中、奮闘した。
そのヨルダン戦は、大岩剛監督をはじめ、多くの選手が優勝へのターニングポイントにあげた一戦だ。
嶋本も例外ではない。「ヨルダンに勝ってからは、本当に優勝が見えてきたって感じでした」と話す通り、ただの一勝ではなかった。
実は、U-23日本代表はアジア杯前にヨルダンと練習試合を行っている。その時点で嶋本は「本当に強いという印象を抱いた」と明かしてくれた。
だからこそ、ヨルダン戦はより良い試合の入りが出来たのかもしれない。嶋本はこう振り返る。
中国戦でラフプレーを受ける…。嶋本悠大は何を思ったのか
「ヨルダン戦が一番難しい試合になるっていうのは、みんな試合前から話していました。練習試合もしていますし、本当に強いっていう印象しかなかったので、みんな一層、引き締めて試合に入ったし、あの試合をPKで勝てたのは結構大きかったかなと思っています」
練習試合で感じた強さは本物だった。ヨルダンは、フィジカルはもちろん、技術的にも日本の選手たちと遜色ないレベルにあった。カウンターの精度も高く、仮にトーナメントで大岩ジャパンと反対の山に入っていたら、決勝の相手は彼らだったのではないかと思うほどだ。
「この大会(アジア杯)以外でも、色んな遠征に行って、フランス代表とかも知る中で、どっちかというと、そういう能力系の選手がたくさんいて、なんていうんですかね…慣れじゃないですけど、あんまり対戦したことのない特徴、タイプでしたね」
こう語る嶋本にとって、そうしたレベルの相手とマッチアップできた経験は大きいはずだ。
準々決勝の山場を乗り越えた日本は、大きな自信を手にした。準決勝の韓国戦では内容面で圧倒して1-0で勝利。決勝の中国戦では、それまで無失点を継続していた相手に4得点を叩き込んだ。
嶋本は決勝戦でも途中出場し28分間プレー。攻守を引き締め、優勝に導いた。
そのファイナルでは、中国のラフプレー被害に遭った。4点を入れられた相手選手は明らかにフラストレーションをため込んでおり、嶋本は2度も危険なタックルを受けた。
「相手がイライラしているなっていうのは感じていました。ボールがないところでも、ちょっかいかけてくるし」と、嶋本は当時を振り返る。
それでも、大型MFは中国の誰よりも冷静だった。
「審判が見ていなかったりとか、そういうのは難しいですけど。そこで何か反応してカードを貰うよりは、11人で終えるというのは大岩さんも言っていたので、それは我慢しました」
嶋本が受けたファウルはいずれも危険なもので、明らかにカードの対象だったが、提示されたのは1枚だけ。それでも嶋本は不満を言わず「我慢比べというか、ずっと我慢って感じでした」と大人の対応を続けていた。
あまり起きて良いことではないが、これも嶋本の成長という意味では貴重な経験だった。



