明治安田J1リーグでこれまで61試合に出場した経験を持つ近藤友喜が、横浜F・マリノスで新たな挑戦をスタートさせた。プレシーズンでは求められる基準の高さに悪戦苦闘しているというが、課題を乗り越えることができれば、日産スタジアムで躍動する姿を見ることができるはずだ。(取材・文:藤井雅彦)[1/2ページ]
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一からの挑戦「自分が試合に出るためには…」
かつての実績を名刺代わりにするつもりはない。
近藤友喜は真剣な視線とともに言う。
「横浜FCや札幌にいた時もJ1で通用する自信を持てた。でも今回は一からのつもりでJ1に挑戦していきたい」
横浜FC時代と北海道コンサドーレ札幌時代にJ1通算61試合7得点を記録している。特別指定選手時代の2試合を除いたとしても、わずか2シーズンの成績ならば決して悪くないだろう。自信を口にするのも頷ける。
それでも心機一転を期す理由がある。
横浜F・マリノスの一員となり、始動日からプレシーズンキャンプを過ごした。驚くようなレベル差はないものの、至るところで自分の足りなさに気づかされる日々を送った。
「相手のレベルが上がってくるにつれてボールを持たれる時間が長くなって守備の時間が増える。そこでの強度不足やプレーの連続性が現状の課題。どちらかと言えば攻撃での仕事を求められてきたキャリアだったので、守備の部分でこれだけハイプレスや強度の高い守備を求められたことがなかった。
前線の選手たちはそれぞれに特徴がありながらも、守備の強度が高くて連続してボールを追いかける動きをできる。自分が試合に出るためにはその基準に達していないといけない」
求められているものを端的に言えば、守備意識だ。
横浜F・マリノスで悪戦苦闘…
昨季終盤、横浜F・マリノスは手堅い守備とロングボールを基調としたスタイルでJ1残留を掴み取った。継続して指揮を執る大島秀夫監督は、昨季からの上積みを選手たちに求めてチーム作りに着手している。
そのため当時のパフォーマンスは最低限の土台となる。新加入選手にとってはそれに適応することが最初のハードルであり、J1でのプレー経験のある近藤も例外ではない。過去の在籍クラブでは求められなかった守備面に悪戦苦闘しているのが現実なのだ。
システムの違いにも戸惑いを隠しきれない。横浜FCや北海道コンサドーレ札幌は主に3バックを採用し、主戦場は右ウイングバックだった。攻守両面で幅広く仕事を求められ、守勢に回るタイミングでは最終ラインに入るシーンも珍しくなかった。
それが横浜F・マリノスは4バックを基調とするため、ポジションが右サイドハーフに変わった。後ろにはサイドバックの選手がいて、立ち位置は大きく変わる。
一度染みついた癖を取るには時間がかかる
「プロになってからずっとウイングバックをやっていたので、自然と最終ラインに入ってしまう癖がある。4バックの場合は役割が変わってくる。一度染みついているもので必要なものと必要ではないものを整理しなければいけない」
頭でわかっていても体が瞬時に動かない。だからこそ、練習や実戦を繰り返していくしかない。考えるよりも、感じることが先決。一朝一夕に解決できる問題ではなく、時間が必要だろう。
同じポジションにはジョルディ・クルークスという手強いライバルがいる。昨夏に加入して残留に大きく貢献したレフティの鋭いキックは健在。右サイドハーフの一番手に君臨しており、右利きで縦突破を得意とする近藤が追いかける構図となっている。
対等に争うためにも、まずは守備で安定感を求めたい。攻撃で違いを作るアクションはもちろん大切だが、フォーカスすべきポイントは違う。課題は明白で、近藤自身も状況をしっかりと理解できている。



