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「札幌で活躍することが一番幸せ」大森真吾は変わった。「本質的に理解できるように」北海道コンサドーレ札幌復帰の舞台裏【コラム】

シリーズ:コラム text by 黒川広人 photo by hiroto kurokawa
北海道コンサドーレ札幌 大森真吾

1年半ぶりに北海道コンサドーレ札幌に復帰した大森真吾【写真:黒川広人】



 熾烈な1トップ争いに名乗りを上げそうな男がいる。1年半ぶりに北海道コンサドーレ札幌へ帰ってきた大森真吾だ。練習では感情剥き出しにゴールへ迫り、FC琉球とのトレーニングゲームでもシュートを放つなど存在感を発揮。安定したポストワークも見せ、持ち味をしっかりと示している。2月に25歳を迎えるクラブ期待の大砲候補が、飛躍の1年を予感させている。(取材・文:黒川広人)

大森真吾がいま振り返る2024年シーズン開幕前。「“もしも”を考えるタイプではないですけど…」

北海道コンサドーレ札幌 大森真吾

沖縄キャンプでトレーニングに励む北海道コンサドーレ札幌の大森真吾(左)【写真:黒川広人】

 ギラヴァンツ北九州とモンテディオ山形への1年半の武者修行を経て、北海道コンサドーレ札幌に帰還した大森真吾。ひとつひとつのプレーに雄叫びを上げ、チームメートと積極的にコミュニケーションを取る姿からは、キャンプの充実感が溢れている。

「雰囲気はめちゃめちゃいいですし、活気に溢れています。久しぶりにみんなとプレーできて、僕自身もすごく楽しいです。もともと感情を出す選手なんですけど、チームへの慣れもあって、今はそれが素で出せるようになってきたと思います。1年目はいろいろ周りの顔を伺いながらやっていたので(笑)」

 2024年シーズン開幕前のキャンプ。大森は絶好調だった。
 
 チームメートも「あのチームは真吾が軸だった」と語るほど、突出した存在感を示し、練習試合ではゴールを量産。開幕スタメンを手中に収めていた。

 しかし、開幕直前、最後の練習試合でまさかの負傷離脱。本人も当時を振り返る。


 
「“もしも”を考えるタイプではないですけど、確かにあのままいっていたら、あのシーズンは全く違ったものになったと思います。
 
 得点を取れる感覚がありましたし、開幕がアビスパ福岡戦だったんですけど、『得点を取れるな』という自信と余裕がはっきりと自分の中にありました。あのときの状態で開幕を迎えられたら上手くいったと思いますね」

 その後もコンディション不良や夏の大型補強が重なり、札幌でスタメンの座を掴むには至らなかった。出場機会を求めて、飛び込んだ北九州、山形での1年半。リーグ戦の出場数は11にとどまり、思い描いていた姿との乖離は大きかった。

「正直、難しい時間でした。でも、自分の中では得るものも多かったです。結果だけ見れば何も成長していないように見えるかもしれないですけど、自分の中では少しずつ、確実に変わったものがあります。言葉にすると難しいですけど、考え方や姿勢が変わった。その変化が、今“楽しそうにプレーしている”っていうところに表れているのかもしれません」

 辿り着いた答えのひとつが、「体の根本と向き合うこと」だった。

「札幌で活躍することが自分にとって一番幸せ」。北海道コンサドーレ札幌復帰の舞台裏

北海道コンサドーレ札幌 大森真吾

北海道コンサドーレ札幌の大森真吾【写真:黒川広人】

「今の方がプロフェッショナルっぽいというか。24時間サッカーにフォーカスする生活がストレスなくできるようになりました。特に、食事と睡眠の質はかなり意識しています。

 昔からケアや自主練は意識してやっていましたけど、体の資本となる食事と睡眠を疎かにしていたら回復も遅いし、その状態でトレーニングしても意味がないなって、本質的に理解できるようになりました。ただ、頑張ればいいだけではない。かつ、自分にストレスをかけすぎないこと。その塩梅がわかってきた感覚です」

 外を経験したからこそ、より強くなった札幌への想いもある。

「山形に行くときも、正直、札幌に残りたい気持ちはありました。でも、そのときはいろいろな兼ね合いの中で山形で勝負させてもらいました。



 その中でも、新シーズンの札幌復帰をずっとイメージしていましたし、実際に決まったときは、素直に嬉しかったですね。やっぱり…札幌が好きなんだと思います。自分はこのチームで活躍したいんだなって」

 言語化するのは難しいが、札幌というクラブに大森は惹かれている。

「自分でも、これだ! という明確な理由はわからないんです。ファン・サポーターの姿をみてなのか、他のクラブを経験したからこそ、札幌の良さがよりわかったからなのか、選手たちのことを好きなのか…。いろいろな要素があると思います。でも、札幌で活躍することが自分にとって一番幸せが大きいと感じます。フィーリングですね」

 今シーズンがサッカー人生において大きな1年になることは、大森自身も自覚している。ただ、テーマは「リラックス」だ。

「大事な1年だからこそ、目の前の一日を大切にしていくだけです」

北海道コンサドーレ札幌 大森真吾

北海道コンサドーレ札幌に帰ってきた大森真吾【写真:黒川広人】

「毎年、“大事なシーズン”だと思ってやってきました。でも、入れ込みすぎると、プレーが固くなるし、焦る。それで、中々上手くいかずに、時が流れてしまいました。もちろん、今年は重要な1年だと思っていますが、あまり自分にプレッシャーをかけすぎないようにしています。

 自分の中でどうすればリラックスできるのかを探っています。先を見すぎず、毎日の練習でできることをやり切る。それ以上でも、それ以下でもない。大事な1年だからこそ、目の前の一日を大切にしていくだけです」

 ここまでの仕上がりに大森自身、手応えを感じている。

「悪くないと思います。昨シーズン終盤から自分の中で感覚が戻ってきていました。それを継続してできている。あとは得点ですね。そこが出てくれば、もう一段、余裕を持ってプレーできると思います。でも、気負い過ぎずに。それこそ2年前はリラックスしてプレーできて、それが結果につながっていたので。今年もその感覚を大事にしたいです」



 マリオ・セルジオやアマドゥ・バカヨコら外国籍選手とのポジション争いが待っているが、虎視眈々と開幕スタメンを狙っている。

「川井(健太)監督からは、ゴールを取るためのポジショニングや動き出しを強く求められています。そこはもちろん意識していますし、守備でもしっかりとハードワークすること。また、自分の強みでもある、身体の強さを使ったプレーを随所に出していければ、差別化はできると思います。

 でも、結局、FWの役割はシュートを打つ、ゴールを決めることが一番求められる。そこにこだわって存在感を出し、ポジションを掴みに行きたいと思います。開幕を迎えたときに自分が一番ゴールを取り、チームを勝たせられるよう、しっかり準備していきます」

 秘めたポテンシャルは間違いなく高い。大森がその力をプロの舞台で存分に発揮できたとき、川井コンサドーレにとって、大きな鍵を握る存在になるはずだ。

(取材・文:黒川広人)

【著者プロフィール:黒川広人】
北海道出身。大学卒業後、フジテレビで番組制作を担当。2018年よりDAZNにてJリーグ関連の番組制作に携わる。2022年からは株式会社dscに所属し、Jリーグ、Jクラブ、WEリーグをはじめとする各種スポーツ団体の映像ディレクション業務を担当。また、地元・北海道を中心に学生年代の取材活動も精力的に行う。

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【了】

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