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J1 8時間前

「過去2年と同じようにはなりたくない」ガンバ大阪・食野亮太郎はどんな思いでピッチに立つのか?新監督のもとで表現する自分らしさ【コラム】

シリーズ:コラム text by 高村美砂 photo by Getty Images
セレッソ大阪との開幕戦に先発した食野亮太郎
セレッソ大阪との開幕戦に先発した食野亮太郎【写真:Getty Images】



 7日にヤンマースタジアム長居で行われた明治安田J1百年構想リーグ・地域リーグラウンド第1節のセレッソ大阪対ガンバ大阪。0-0で引き分け、PK戦をガンバが制したこの試合に、食野亮太郎は先発した。過去2シーズン、ケガに悩まされてきた男は、『リベンジ』と意気込むシーズンをスタートさせている。(取材・文:高村美砂)[1/2ページ]
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3年ぶりに開幕戦のピッチに立った食野亮太郎

食野亮太郎
ガンバ大阪復帰後、ケガに苦しむ時期も長かった【写真:編集部】

 1月7日にチームが始動してから約1ヶ月。食野亮太郎がどんな思いで準備を続け、沖縄キャンプを乗り越えてきたのか。百年構想リーグ開幕までの時間を過ごしてきたのか。

 同リーグの初戦・セレッソ大阪戦後に口にした言葉がすべてを物語っていた。

「昨年、一昨年と個人的には、2年続けて開幕戦はリハビリをしていてスタンドから試合を観るというシーズンが続いていたので、今日、開幕戦のピッチに立てたことは自分にとってホンマにデカい。


 今年はオフシーズンからしっかりと体を作って、シーズンが始まってからもケアを徹底して、沖縄キャンプでもホンマにケガだけはせえへんようにと思ってやってきた。その上で、とにかくチームのハードなトレーニングについていくことが大事やと思ってきたし、結果的にそれが自分の調子を上げることにもつながった。これからもしっかり続けていけるようにしたいです」

 その言葉にもある通り、ここ2年はケガに苦しめられた。一昨年の沖縄キャンプはチームと共に始動し、明らかにコンディションの良さを示していたにもかかわらず練習中に左大腿直筋肉離れを負って離脱。思うように「自分の体が戻ってこない」苦しいシーズンを過ごし、昨年の沖縄キャンプも、戦列復帰を目前に控えていた最中に同じ箇所を痛めて再離脱となった。

 その過程を見てきたからこそ、彼が今年の沖縄キャンプをどんな思いで過ごしていたのかは想像に難くない。実際、その沖縄キャンプ中も「練習前後はかなり意識してケアをしています」と話していた。

「何よりの喜び」充実感を漂わせサッカーと向き合う


ガンバ大阪の食野亮太郎【写真:Getty Images】

「かなりの高強度でトレーニングをしているのでかなりキツいし自分もギリギリですけど、ケガをすることなく充実したキャンプを過ごせていることが自分にとって何よりの喜びになっています。体もキレも徐々に出てきていますし、イェンス(ヴィッシング監督)のサッカースタイルは自分の特徴に合っているなと感じる部分も多いので、頭の中もクリアにサッカーと向き合えている感覚もある。

 このキャンプは、監督のやりたいサッカーを形にしていくこととコンディションをしっかり高めていくことにフォーカスしていますが、僕自身はとにかくケガをしないことですね。もちろん、練習が始まったらそんなことは気にしていられないんですけど、頭の片隅には過去2年と同じようにはなりたくないという思いはやっぱり残っていて…。だからこそケアの部分はかなり気を遣って、体を労わりながら過ごしています」


 ガンバ大阪の沖縄キャンプはここ数年、同じ宿泊ホテル、練習場で行われてきただけに、そのピッチに立てば、否応なく蘇ってしまう記憶があったのかも知れない。

 だが、それらを自身で振り払うように今年の沖縄キャンプでの食野は明らかに体のキレもよく、軽やかだった。練習試合でも主に左MFを預かる中で、裏に飛び出したり、中に仕掛けたり、シュートを狙ったり。ヴィッシング監督が求める『前へ』の意識も強く、ゴール前で足を振る場面も多かった印象だ。

守備のタスクと攻撃の自由「楽しくやれている」

ガンバの食野亮太郎
【写真:Getty Images】

 それは、セレッソ戦も然りだ。彼にとって23年以来、3年ぶりとなる『開幕戦』の先発出場は試合当日のミーティングで告げられたそうだが、そこに並んだ自分の名前に、他ならぬ彼自身が奮起したのは言うまでもない。

「もうちょっと早くスタメンを教えて欲しかったですけど(笑)、ここまでメンバーをシャッフルしながらみんなで監督の求める基準や、戦術の浸透を目指してやってきた中で、ギリギリまでスタメンが明かされなかったのは、そのくらい誰が出てもみんなが基準に達しているという証拠。今日は僕がスタメンでしたけど、だから次もという考えの監督ではないからこそ、今日もしっかり『結果』を意識してピッチに立ちました。

 その中では何度かチャンスもありましたけど満足はしていません。ただ新たなサッカーに取り組む中で自分らしさは表現できたかなと思うし、何より、新体制になってサッカーを楽しくやれているのも自分にとっては一番大事なことやと思っています」


 事実、ゴールにこそ繋がらなかったものの、8分には南野遥海を目掛けて決定的なスルーパスを送り込んだり、共に前線を構成した宇佐美貴史や南野らと近い距離で好連係を示しながらゴール前に切れ込んでいくなど、食野はこの日も『らしさ』を表現。セレッソが退場者を出して数的優位の戦いが長く続いた後半は、相手がブロックを敷いて守備を固めてきたこともあってだろう。逆にガンバとしては攻めあぐねた印象も強かったが、それでも食野はミドルレンジからシュートを狙ったり、ゴール前に体を捻り込ませてヘディングで合わせたり。守備のタスクを全うしながら『ゴール』を予感させるシーンを作り出すなど、この一戦に懸ける思いをプレーで表現し続けた。

「前線からの守備のところはキャンプからチームとして積み上げてきた部分が出せたというか。監督はよくコンパクトとコネクションという言葉を使うんですが、全員がしっかりつながってコンパクトに前向きな守備ができれば、前半のような形になるな、と感じました。

 もちろん、そのサッカーをしようと思えば、僕ら前線の選手には守備で求められることも増えるんですけど、逆にそこからの攻撃では自由も多いので。僕みたいなタイプはゴール前でしっかり活動量を増やしてボールを触るのが特徴だと考えても、その守備をこなせば攻撃的に楽しくやれる。なので、僕自身はすごくポジティブに取り組めています」

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