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「絶対に成長させてあげられる」指揮官の言葉が山内日向汰の背中を押した。柏レイソルでの「すごく大きな1点」を自信に変えて【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤井圭 photo by Getty Images,Editor
柏レイソル 山内日向汰

今季より柏レイソルに加入した山内日向汰【写真:Getty Images】



 柏レイソルは2月8日、明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第1節で川崎フロンターレと対戦し、5-3で敗れた。この一戦に並々ならぬ思いで臨んでいたのが今季より柏に加入したMF山内日向汰。プロサッカー選手としてもっと成長するために。プロ3年目のアタッカーが新たな一歩を踏み出した。(取材・文:藤井圭)[1/2ページ]
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成長するには何をすべきか。山内日向汰の移籍決断を後押ししたものとは

川崎フロンターレに新加入した山内日向汰

川崎フロンターレ時代の山内日向汰【写真:Getty Images】

「大きく成長するために、このクラブに来ました」

 新体制発表記者会見にて柏レイソルへ移籍した理由を語った山内日向汰は、今オフに小学生の頃から過ごした愛着のある川崎フロンターレを離れて、黄色のユニフォームに袖を通す大きな決断を果たした。

 U-12から川崎のアカデミーで育ち、高校卒業後は桐蔭横浜大学に進学。3年生で全日本大学サッカー選手権を制覇して日本一に輝き、複数のJクラブへ練習参加していた中で、古巣への加入内定を勝ち取った。

 プロ1年目の2024年はリーグ戦で16試合に出場したものの、2年目の昨季はなかなかピッチに立てず。夏にはベガルタ仙台に武者修行に出ると、強烈な直接FK弾で注目を浴びるも8試合の出場にとどまる。J2の舞台で満足した結果を残せたとは言い難かった。



「自分自身フロンターレに残せたものが何もなくて、ACLE(AFCチャンピオンズリーグエリート)決勝にも出場させてもらったのにも関わらず、自分の中で本当に情けないという気持ちが大きかったです」

 育ててもらったクラブで活躍できない日々に悔しさをにじませ、成長するには何をすべきか思い悩んでいた山内。そして、このオフ、サックスブルーのユニフォームを脱ぐことを決める。

 移籍を後押ししたのはリカルド・ロドリゲス監督の存在だった。なによりもプロに入る前から、リカルド監督には高く評価してもらっていた。

 大学時代には当時、同指揮官が率いていた浦和レッズの練習に参加。「そのときにもすごく熱く指導してくださった」と好印象を持っていた熱血漢から、柏加入に際しても「絶対に成長させてあげられる」と熱意をもった言葉を受けたという。

「この監督を勝たせたい」気持ちと自身の最適なポジション

柏レイソル 2026新体制発表会 フォトセッション

柏レイソル新体制発表会に登壇したリカルド・ロドリゲス監督(下段中央)と山内日向汰(上段右)【写真:編集部】

「浦和で練習参加していたときから評価していました」と山内について語るリカルド監督。プロで伸び悩む若きアタッカーのポテンシャルを最大限に引き出したいという思いを強く感じているからこそ獲得に踏み切った。

「ヒナタは才能がありながらも、これまではそれを出し切れていませんでした。その中で彼のスタイルと我々のスタイル、そして、レイソルでの中盤のポジションであれば彼の特長を存分に引き出せると思い、ここに来れば成長できると思って獲得をしました」

 指揮官の思いに山内自身も「本当に熱い監督ですし、この監督を勝たせたいという気持ちはすごく強い」と、その熱意に心を動かされた。

 そして、加入後にリカルド監督とコミュニケーションを取り、自身の最適解を提示する。



 大学ではボランチやトップ下でプレーしていたものの、川崎時代にはサイドから局面を打開するシーンがよく見られたためにドリブルが特徴的だと見られていた。

 しかし、自身はあくまでもチャンスメイクに重きを置いていると自認する。

「プロになってからはサポーターの皆さんには自分のことをドリブラーだと思っている人が多いと思うんですけど、どちらかというとラストパスやチャンスメイクのほうが(比重が)大きいです」

 起用法についてはリカルド監督も「『大学ではボランチをやっていて、より良い感覚でプレーできていた』という話をヒナタから聞いていた」として、キャンプでは中盤のシャドーやボランチの起用にトライしていた。

「フロンターレだけには負けたくない」

柏レイソル 山内日向汰

古巣・川崎フロンターレ戦でプレーする柏レイソルの山内日向汰【写真:Getty Images】

 実際に柏での初お披露目となったちばぎんカップでも、山内は後半の頭からシャドーで途中出場すると、川崎時代の元同僚で今季のキャンプでも同部屋だった瀬川祐輔とコンビを組んで好連係を披露。

 さらに、細谷真大にラストパスを通して決定機を演出するなど、45分間で自身の持ち味を十分に発揮した。

 その中でボールを運んで打開を図る場面も見られた。サイドと中央でローテーションを繰り返す柏においては「そういうところの自由な発想は自分の長所。すごくやりやすかったです」と手応えを感じている。ドリブルはあくまでも好機を作るためのオプションのひとつであるのだ。

 良い感触を得た柏の87番は、新天地で明治安田J1百年構想リーグのデビューを華々しく飾った。



 その前に立ちふさがったのは川崎だった。しかも会場は昨年までホームスタジアムとして戦ってきた等々力陸上競技場。「フロンターレだけには負けたくない」と並々ならぬ思いで試合に臨んだ。

 そのときは74分にやってくる。同じく古巣戦となった瀬川に代わって、シャドーでピッチに立った。そして、その7分後には相手のクリアボールが目の前にこぼれてくる。

「冷静に抑えることだけは意識して」思い切り蹴り込み、移籍後初ゴールを奪った。古巣戦かつ、負けている状況で喜ぶつもりはなかったが、思わず感情が露わになった。それだけ強い気持ちで等々力のピッチに立っていたのだ。

 交代での出場時に慣れ親しんだスタジアムから名前が呼ばれた際には、サックスブルーのサポーターからも厚い拍手が送られた。試合後には取材陣の前で万感の思いを明かした。

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