
8年ぶりとなるJ1の舞台に挑んでいるV・ファーレン長崎【写真:Getty Images】
V・ファーレン長崎は2月13日、明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第2節でヴィッセル神戸とアウェイで対戦し、2-0で敗れた。中でも前半はシュート0本と完全に抑え込まれ、紛れもない完敗だった。2トップの一角としてスタメン出場した山﨑凌吾は、チームとしての差を痛感していた。(取材・文:椎葉洋平)
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「入りは前から行きたかった」山﨑凌吾が悔やんだ前半45分間

V・ファーレン長崎の山﨑凌吾【写真:Getty Images】
自身2年ぶりのJ1に向け「すごくモチベーションは高いですし、またJ1でやれる舞台があるので、しっかり暴れたい」と語っていた山﨑凌吾。
全体練習への合流がやや遅れていたこともあり、開幕戦では85分からの出場となったが、ヴィッセル神戸戦ではスタメン出場を果たした。
前線でマテウス・ジェズスとコンビを組んだ。システムこそ異なるが、昨季何度も共にプレーしており、その他の周囲の選手も馴染みの選手が多く、連係に不安はないはずだった。
だが、チームとしてある程度セカンドボールを拾え、山﨑やマテウスに望む形でボールが届いたのは前半45分のうち冒頭の7~8分間のみ。
それ以降はACLE(AFCチャンピオンズリーグエリート)のFCソウル戦から中2日とは思えない神戸の出足と圧力のかけ方に屈し、ことごとくセカンドボールを拾われていく。
[3-1-4-2]のV・ファーレン長崎と[4-1-2-3]の神戸では必然的にミスマッチが発生する。神戸はまるで、始めの約8分間でどのエリアに優位性があるのか、分析を終えたかのようだった。
山﨑は「入りは前から行きたかったんですけど、僕自身も行きたかったですけど、神戸が上手く行ける状況を作れなかった」と悔やんだ。
25分にはCKのこぼれ球に反応した酒井高徳にダイレクトボレーで叩き込まれて失点。36分に佐々木大樹にネットを揺らされたシーンはオフサイドに救われたものの、42分にはその佐々木にヘディングシュートを決められ、正真正銘の2点目を許す。
対する長崎はその間、敵陣にボールを運ぶことさえままならず、ハーフコートゲームのような時間が続いた。試合後に神戸との差について問われた山﨑はこう語っている。
劣勢の中で山﨑凌吾が意識したこと
「完敗ですよね、全てで。チーム力の差、チームの統一もそうだし、言ったら全てなんですけど。(神戸は)統一されている分、出足の速さもそうだし、セカンドボールもほとんど相手が上回っている。強度も高い。前半に関しては何もできなかった。長崎として、現実を突きつけられた前半だった」
もちろん、前線の山﨑はどうにかボールを収め、味方の攻撃参加を促そうとした。ただ、後方が5バックとなり、押し込まれ続けたことでチーム全体が後ろに重たく、前線の選手からすれば距離感が遠い状態だった。
「周りに人がいなかった。周りにいて欲しいと要求していたんですけど、押し込まれる展開でなかなか難しかった。なるべくキープしたり、シンプルに周りを使う、ミスを減らすというところを意識していました」
山﨑もチーム全体も、もちろん、ただ手をこまねいていたわけではない。長崎の選手たちはプレーが切れると周囲とコミュニケーションを取り、改善を図った。
「試合のピッチ上でこのまま行っていたらズルズルといく感覚を感じたので、キャプテンの(山口)蛍くんとそこのコミュニケーションは取っていました」
J1で160試合以上に出場してきた経験豊富な33歳は、古巣戦の山口らとともに修正を目指したが、流れは変わらないまま、ハーフタイムの笛を聞いた。
「(2点ビハインドで必然的に)気持ちの部分で前向きになれる状況があったので、変えずに彼らに少しプレーをする時間を与えました」という高木琢也監督の長期的な視点により、長崎は前半と同じ11人で後半に入った。
ただ、ようやく攻撃の形を作れるようになったのは、61分に3枚替えを敢行し、システムを[4-4-1-1]に変更して以降のこと。山﨑もこのタイミングでノーマン・キャンベルと交代となった。
最終盤には左サイドを中心に何度か好機を作ったが、得点を挙げることはできず、2-0の敗戦を喫した。2試合続けて2点差で敗れたうえ、サンフレッチェ広島戦以上に厳しい内容とあって、山﨑の口から発せられる言葉も厳しいものとなった。
V・ファーレン長崎に突きつけられたJ1の厳しい現実。「受け身だと攻めにも出ていけない」
明治安田J1百年構想リーグで連敗スタートを切ったV・ファーレン長崎【写真:Getty Images】
「間違いなくJ1の現実を突きつけられていると思いますし、普通にやっていて勝てるカテゴリーじゃないと、たぶん、みんなが気付いています。やっぱりチームとして全員で戦うこと。戦術のところも統一して、みんなでやっていかないとチームとして難しいのかなと感じました」
自身のプレーにも納得はしていないだろう。味方と良い距離感を維持しつつ、ボールを収める、または、ワンタッチで味方を活かす本来のプレーを、ほぼ出すことができなかったのだから。
「今まで(J1を)経験してきている分、僕自身感じるのはやっぱりアグレッシブで、攻撃的な守備をもう少ししないと。受け身だと攻めにも出ていけないし、攻めの守備をすることで攻めに繋がるというのがあるので。きょうに関してもそうですけど、もっとアグレッシブに、みんなで奪いに行く守備、圧力をかける守備をするのが今1番課題なのかなと思います」
長崎が浮上するための策をそう語った山﨑は、いつも以上に鋭い眼光で、苦しく悔しい思いは持ちつつも心の火はむしろ燃えているように映った。
昇降格のない特別大会はまだ2試合が終わったのみ。即座に上手くいかなくとも、アグレッシブさを失ってはならない。
厳しい発言もチーム全体や自分自身に檄を飛ばしているかのようだった。産みの苦しみの最中にあるチームを「J1仕様」に変貌させるためには、酸いも甘いも経験してきたベテランらしい振る舞いが重要な役割を担うことは間違いないだろう。
(取材・文:椎葉洋平)
【著者プロフィール:椎葉洋平】
1989年生まれ、福岡県出身。サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』のV・ファーレン長崎担当。クラブのMDP(マッチデープログラム)なども担当している。介護士として7年、営業職として1年半務めたのちフリーランスのライターとして独立した遅咲き。Xのアカウントは@yoheishiiba
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