明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第2節、鹿島アントラーズ対横浜F・マリノスが14日にメルカリスタジアムで行われた。0-0で迎えた76分にレオ・セアラのゴールが生まれ、鹿島は1-0で勝利。第1節で退場処分を受けた三竿健斗に代わり、昨年9月以来に先発した樋口雄太が存在感を示していた。(取材・文:加藤健一)[1/2ページ]
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柴崎岳と鈴木優磨の阿吽の呼吸
スコアレスの時間が長く続いた。
横浜F・マリノスのタイトな守備はなかなか崩れない。鹿島のボランチやサイドハーフはマンマーク気味で対応され、相手のサイドバックをつり出したと思っても、角田涼太朗やジェイソン・キニョーネスは抜け目なくカバーリングに走っていた。
鹿島はボールを保持しながらも、決定的なシーンをなかなか作り出せなかった。
それでも終盤、レオ・セアラの一撃が生まれる。流れを変えたのは、主将・柴崎岳の投入だった。
「前半はなかなかスペースに入り込む選手と、パスを出すタイミングが合わない部分があった。もう少しそういうボールがあってもいいんじゃないかとみんなで話していたところで、(鈴木)優磨があのシーンではうまく抜け出してくれた」
柴崎がそう振り返るシーンが生まれたのは76分。裏に抜け出す鈴木に、柴崎がパスを通す。鈴木は一旦キープしてから上がってきた小川諒也につなぐ。小川の左足から放たれたボールは、レオ・セアラの頭に届いた。
苦しみながらも勝ち切る。それは昨季に何度も見てきた鹿島らしい勝ち方でもあった。
「誰一人満足していないと思うんで、勝ちながら成長していく。この姿勢は今シーズンも続けていきたい」
そう話す鬼木達監督が掲げる理想は明確だ。
ボールを握り、相手を押し込み、ハーフコートで圧倒する。
鹿島の理想は高い。そして、“どう崩すか”という課題は、依然として横たわっている。
その意味で、ボランチで先発した樋口雄太は、その解決策となり得る存在であることをピッチ上で示した。
「もっとできた」鬼木達監督の厳しい評価の理由
昨年9月以来の先発。樋口は必死だった。
「本当に久々に回ってきたチャンス。自分の良さを出すこともそうだし、チームとしても開幕戦で負けてしまったので、嫌な流れをホームで払拭したかった」
ピッチを縦横無尽に走り、積極的にFWにパスを刺す。体を張ってボールを奪い、ゴールを目指して走った。
「前に、前に」という意識を体現するような入りは印象的だった。しかし、鬼木監督はそれ以上に、厳しい評価を樋口に下した。
「どちらかといったらもっとできたかな。前に出せるシーンはまだまだあって、雄太なら出せると思いました」
辛口な評価の裏には、大きな期待が見え隠れする。
「90分しっかり走れたり、ボールに絡み続けようとする姿勢が彼のいいところ。中盤のエリアをかき回すことができるので、それをどんどんやってほしい」
昨季は前半戦に舩橋佑が台頭し、怪我で出遅れた三竿健斗も徐々に存在感を発揮していった。後半戦は知念慶の成長が目覚ましく、最終的に知念と三竿がボランチに定着した。
この日、いぶし銀のプレーで勝利を手繰り寄せた柴崎も含め、鹿島のボランチはそれぞれ異なる個性を持っている。
樋口の特長は、止まらずにプレーに関わり続けられること。その運動量は鹿島のテンポを生み出す原動力になる。
「キックの精度もあるので、ゴール前に絡んでいけばシュートチャンスも増える。運動量をまだまだ生かせると思うので、期待はやっぱり大きいです」
良さは出していた。だが、まだ足りない。それが鬼木監督の本音だった。
技術的な質と判断。「研ぎ澄ませていきたい」
「キニョーネスの背後は絶対にいける」
鈴木はプレーしながら確信を持っていた。何度も動き出したが、「見てくれる人があんまりいなかった」と言う。
刺すチャンスはあった。後半開始前には樋口と荒木、早川を呼び、鬼木監督が指示を送っていたが、なかなか効果的な崩しは表現できなかった。
「狙いはそんなに悪くないかなと思うんですけど、そこに絡む人数とか、立ち位置もそうです。ボールを大事にする部分と、前進する部分のジャッジのところは、もっと合わせなきゃいけないと思います」
鬼木監督は「技術的な質であり、判断の部分。そこはもう1回、研ぎ澄ませていきたいと思います」と述べている。
樋口自身も課題を感じている。
「後ろのスペースが空くっていうところで、何本かゴール前まで行くシーンはありましたけど、まだまだ連係のところでやれることはいっぱいある」
樋口の“あと一歩”こそが、鹿島が理想へと近づくための鍵になるのではないだろうか。



