
ジェフユナイテッド千葉の津久井匠海【写真:Getty Images】
明治安田J1百年構想リーグEAST第3節が22日に行われ、ジェフユナイテッド千葉は水戸ホーリーホックにPK戦の末敗れた。J1復帰後、またしても勝利を手にできなかった千葉。しかし、そのなかで存在感を強めているのが津久井匠海だ。古巣との一戦で決めた一撃は、チームにとって待望の今季初ゴールであると同時に、自身の現在地を示すものでもあった。成長を続ける背番号8は、すでにその先を見据えている。(取材・文:石田達也)[1/2ページ]
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PK戦の末に敗れたジェフユナイテッド千葉

古巣相手に同点ゴールを決めたジェフユナイテッド千葉の津久井匠海【写真:Getty Images】
今シーズン、初勝利を賭けたJ1昇格チーム同士の激戦はPK戦の末、水戸ホーリーホックに軍配が上がった。
小林慶行監督は「想像していたとおりにタフな、バトルが激しい、そういうようなゲームになったと思います。その中で、少し質を上げていきたいという課題は明確になっています。
今までの2試合に比べればボールを前進させることができず、大きなチャンスもそれほど作ることができなかった」と振り返り、「中盤の攻防でのバトルというか、そういう根本の部分はしっかりと表現できたと思います」と、手応えも口にした。
強風の中、風上スタートのジェフユナイテッド千葉が前から圧力をかける。左サイドでMF津久井匠海がドリブルで仕掛け コーナーキック(CK)を獲得するなど、強みのサイド攻撃で相手を揺さぶっていく。
しかし、先制点を奪ったのは水戸だった。
22分、中盤でのルーズボールをMF仙波大志が拾い、ディフェンスラインの裏にパスを送ると、巧みなランニングで抜け出したFW鳥海芳樹に左足で流し込まれた。
嫌なムードが流れ始めたが、それでも千葉が意地を見せる。
31分、中盤でボールを奪うとMF姫野誠がドリブルで相手を引き付け中央へ折り返す。クロスボールをDFがクリアするも、それに反応した津久井が右足で蹴り込んだ。
これが津久井にとってJ1での初ゴール。もちろん2試合無得点が続いたチームにとってもJ1復帰後の初ゴールでもあった。
「まだまだこんなものじゃない」

今季ジェフユナイテッド千葉に加入した津久井匠海【写真:編集部】
「自分もウイングとして結果を残さないといけないですし、そこはずっと第1節目から狙っていた中で、1つ取れたことは自分にとって大きな自信になりますし、まだまだこんなものじゃないので、そういう気持ちで取り組んでいきたいですね」
また、津久井にとっては古巣との一戦でもあった。
在籍期間は僅か半年間だったが「懐かしいピッチと言いますか、忘れられない光景ですし、戻ってきて少しは成長した姿を見せられたのかなと思います」と照れ臭そうに笑みを浮かべた。
そして恩返し弾について問いかけると、こう振り返った。
「あそこに入ってくる動きは僕に与えられたタスクで、最後に落ち着いて相手を見ながら決め切ることができました。冷静になれたことが大きいと思っています。やはり得点は欲しかったですし、チームとしての初ゴールが取れて良かったと思います」
しかも、その一撃は特別な意味を持っていた。同学年であり、「練習ではあまり破れなかった」というGK西川幸之介から奪ったゴールだったからだ。
サイドアタッカーとして津久井の魅力は何といっても突破力だ。
スピードとテクニックを駆使しつつ、さらに180cmというサイズを生かした力強さも備えている。守備でも前から果敢にプレスをかけるなど献身性も光る。
小林慶行監督「自分たちのウイングにはいなかったタイプ」
ジェフユナイテッド千葉の小林慶行監督【写真:編集部】
小林監督は「皆さんもプレーを見ていたら感じると思うんですけど、すごくダイナミックですし、推進力があって、サイズがあるということで、今まで自分たちのウイングにはいなかったタイプ。
新しいチームに来て馴染むのはすごく大変だと思うんですけど、その中でしっかりと自分の力を毎回ピッチ上で表現できているんじゃないかと思います」と評し、加えて「もっとやれると思っています」と大きな期待を寄せる。
また、新加入組で1歳年下のFW松村拓実は「タクミ君が、1つ年上ですが、僕よりプロの世界でやってきて、ここまで這い上がった。あの人の『やってやろう』という気持ちと野心は見習うべきだと思いました」とコメント。背番号8が描く青写真は、とても大きくまだまだ遠くにあるのだろう。
その後、津久井がギアを上げドリブル突破をするシーンが増えていく。
55分にはカットインからシュートを放つも、西川にセーブされる。さらに3分後には、再び津久井がペナルティーエリア内で仕掛けると、MF天笠泰輝がシュートにまで持ち込んだが、決め切ることはできなかった。
「前半よりは、(後半に)自分にボールが入ってくる場面も増えた。あそこでアシストやゴールを決め切る怖い選手になりたいと思います」と津久井は振り返った。
しかし、60分を過ぎると千葉は水戸のロングボールを軸とした攻撃に苦戦。決定機を作られる場面も増え、流れが傾きかけたその矢先だった。
鳥海が遅延行為でこの日2枚目のイエローカードを提示され退場。10人となった水戸は[5-3-1]のブロックを敷き、守備を固めた。
千葉は攻勢を強めたが、退場者を出した水戸に対して追加点を挙げることはできず、1-1のまま終了し決着はPK戦へ。