AFCチャンピオンズリーグ2ノックアウトステージに進出したガンバ大阪だが、相次ぐセンターバックの負傷離脱に見舞われた。そうした中で存在感を放つのが三浦弦太だ。2024年4月に右膝の負傷で長期離脱を強いられ、復帰後も古傷の痛みや違和感に苦しみながら『今日』に繋げてきた。そして今は、仲間たちの想いも背負ってピッチに立っている。(取材・文:高村美砂)[1/2ページ]
——————————
「最近はようやく、良くなってきたなと感じられていた」
2月28日に戦った明治安田J1百年構想リーグ第4節・清水エスパルス戦。三浦弦太は再三に渡って体を張った堅守でチームを盛り立てた。
「試合を重ねるごとに頭と体のスイッチが入ってきている感じもあるし、体も動くようになっている。そこは継続しながらもっともっと上げていきたいです」
試合の流れとしては2点のリードを奪って前半を折り返しながら終盤に2失点を喫してPK戦にもつれ込んでしまったからだろう。本人は試合後、自身のプレーへの手応えを口にしながらも「最後の2失点の方が気になる」と強調したが、結果的にPK戦の末に勝利を掴んだことを含め、チームにとっても、彼自身にとっても3月4日に待ち受けるAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)・準々決勝に向けて大きな弾みになった。
三浦が今シーズン初めて先発のピッチに立ったのは、2月19日のACL2・ラウンド16第2戦・浦項スティーラース戦だった。同11日の練習中にはDF横井佑弥が、直近に戦ったJ1百年構想リーグ第2節・名古屋グランパス戦ではDF佐々木翔悟、DF福岡将太が相次いで負傷するアクシデントに見舞われた直後の試合。「しっかりと自分の体を動かすこと」を意識していたという。
「僕自身、ここまでなかなかコンディション作りがうまくいっていなかったんですけど、最近はようやく、良くなってきたなと感じられていた中での出場だったので。まずは自分の体をしっかり動かすことを考えつつ、アウェイ戦でも強さを感じた浦項に対して無失点で終わることを意識してピッチに立ちました。
結果的に1失点を喫したし、最後はオフサイドに助けられたところもありましたけどいい試合ができた。追加点を取ってもっと楽に終わらせられたらより良かったですけど、この試合はとにかく結果が必要だった中で、勝てたことが何よりの収穫。特に今シーズンに入ってからいいサッカーをしていてもなかなか90分で勝ち切れない試合が多かっただけに今日、しっかり勝てたことはチームにとってもポジティブな要素だと思っています」
違和感を抱えたままスタートした今季
彼自身は今年に入ってからずっと、2年前に大ケガを負った右膝や足の付け根の違和感を拭えなかった中で、ようやくその状況から抜け出しつつあったことも気持ちを軽くしていた。
「一昨年のオフシーズンはリハビリに費やしていたので3日以上、休んだことはなかったんです。でも、昨年は戦列に戻れたこともあって、今回のオフシーズンは膝に特化したトレーニング量を少し減らし、ケガをする以前のような過ごし方をしたんです。
そしたら動き始めた時に右膝が固まるような感覚を覚えたというか。自主トレで少し走っただけでも痛みが出てしまって…。その膝の違和感を抱えたままシーズンが始動したんですけど、以降も右膝だけではなく股関節にも痛みが出て、思い切りサッカーができない状況が続き、探り探りシーズンを進んできました。自分の中では『いかに練習を抜けずにコンディションを上げていけるか』をテーマにしていて、そこはやれていたんですけど、正直、練習もすべてがフルスロットルとはいきませんでした。
ただ、最近は痛めていた箇所も良くなっていたし、動ける体を取り戻せれば自然と自分のプレーができる回数も増えていくな、とも感じられるようになっていたので。そういう意味では自分にとってはすごくいいタイミングで出場チャンスが巡ってきました」
もちろん公式戦になれば練習とは違う負荷を感じることも覚悟していたが、逆にそれを自分のギアを入れる『スイッチ』にしようと考えていたという。
「彼らのためにも」ケガで離脱した仲間たちへの想い
実際、浦項戦での90分は、確実に彼の『スイッチ』になった。
「1つ、公式戦を戦えたことでグッとコンディションが上がるのを感じたし、頭と体のスイッチが入る感覚を得たのは有り難かったです。浦項戦でマッチアップした相手選手はここ最近で一番個の強さがあったけど、それを今年最初の試合で感じられたのもここから更に自分を高めていく上ですごく良かったと思っています」
立て続けにケガに見舞われてしまった同じセンターバック陣に対する『想い』も背中を押してくれたという。
「佑弥(横井)にも診断が出てすぐに電話して『ケガをしてもちゃんと復帰できるから安心しろ』って声を掛けたんですけど、さっきも話した通り、正直今シーズンは自分自身もその痛めた膝に苦しんでいたので。それじゃあ、説得力がないな、と。
だからこそ、浦項戦は、彼らに対して『ケガをしてもちゃんとリハビリをすればこうしてまたしっかりパフォーマンスを発揮できるんだよ』という姿を見せたかった。じゃないと、佑弥に掛けた言葉にも説得力が出ないし、この先、彼らがリハビリを進めていく上で何かを伝えるにしても信憑性がなくなってしまうから。というのもあって、自分の勝手な想いではあったんですけど、彼らのためにもピッチでいいパフォーマンスを示そうと思っていました。その思いは今後もしっかり抱きながら戦っていきたいです」


