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コラム 4日前

「サッカーに弄ばれているじゃないけど」熊谷紗希がイングランドの新興チームで挑戦する理由。続けることで見える光を求めて【コラム前編】

シリーズ:コラム text by 竹中愛美 photo by Getty Images

ロンドン・シティ・ライオネス 熊谷紗希

ロンドン・シティ・ライオネスの熊谷紗希【写真:Getty Images】



 昨年、イングランドのロンドン・シティ・ライオネスに移籍したなでしこジャパン(サッカー日本女子代表)の熊谷紗希。キャリア初となる2部クラブへの挑戦だったが、優勝し、クラブ創設以来初の1部昇格に貢献した。FIFA女子ワールドカップ(W杯)優勝やUEFA女子チャンピオンズリーグ5連覇など数々のタイトルを獲得してきた熊谷だが、その情熱は衰えることを知らない。彼女を突き動かすものはいったい何なのか。(取材・文:竹中愛美)[2/2ページ]

「サッカーに弄ばれているじゃないけど」熊谷紗希が挑戦し続ける理由

ロンドン・シティ・ライオネス 熊谷紗希 オンライン取材 スクリーンショット

本サイトのインタビューに答える熊谷紗希【画像:スクリーンショット】

「未だサッカーが好きなのは根本にはあると思うんですけど、これだけ長いこと15年近くヨーロッパでやってきて、女子サッカーを巡る環境含め、競技のインテンシティーも全然変わってきてはいると思う。その中で自分が生きていかなきゃいけない。でも、年は重ねる。良い意味で自分ができることと、できないことを取捨選択できてはいると思っていて。

 まだ35歳の私にもできることはある。その中でもワクワクしたい。その中でも勝ちたいというところに楽しみを感じられている。いや、楽しいことばかりじゃないですけどね、実際は。だけど、楽しく続けられている。ここに自分のパワーの源というか、やり続けられる理由があるのかなとは思います」

 どんなときも楽しむ努力を続けてきた熊谷ならではの答えだったように思う。そうしたメンタリティが今日の活躍に繋がっているともいえよう。

「辛いことの後に、これだからサッカーをやめられないんだよな、みたいなのが来るんですよね。それが来ると、またいいようにサッカーに弄ばれているじゃないけど、続けていくことで見える光をここまで見てきているので、それがやめられない理由なのかな。いつまでやるんだって感じなんですけども」



 笑顔で答えてくれたその表情が物語っていたように思う。その「これだからサッカーをやめられない」瞬間のひとつは、昨年2月のShe Believes Cup(シービリーブスカップ)で宿敵・アメリカ女子代表を下し、初優勝を飾ったときだという。

 シーズンは終盤に差し掛かっているが、熊谷はきっと、この先もその瞬間を追い求めるのだろう。

「良くも悪くも、チャンピオンズリーグの獲得レースにも降格レースにも入っていないところにいる我々だからできるチャレンジも逆にあるのかなと思っている。アジアカップが終わってから、ラスト終盤の最後のところまでは次に繋がるように、少しでもこのリーグに1年目の昇格チームが爪痕を残せるように貢献できたら嬉しいなと思っています」

 自身が信じる道を歩み、全力を尽くす熊谷の挑戦はこれからも続く。

(取材・文:竹中愛美)

【著者プロフィール:竹中愛美】
1990年、北海道生まれ。Jリーグ開幕で世の中がサッカーブームに沸いていた幼少期、「入会したらヴェルディ川崎のボールペンがもらえる」の一言に釣られて地元のクラブでサッカーを始める。以降、サッカーの魅力に憑りつかれた日々を送ることに。ローカルテレビ局時代に選抜甲子園や平昌冬季五輪、北海道コンサドーレ札幌などを取材し、2025年よりカンゼンに所属。FWだったからか、この限られた文字数でも爪痕を残したいと目論むも狭いスペースの前に平伏す。ライターとして日々邁進中。

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【了】
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