明治安田J2・J3百年構想リーグEAST-Aにて首位を走るベガルタ仙台【写真:Getty Images】
ベガルタ仙台は、明治安田J2・J3百年構想リーグ第7節を終えて、2つのPK勝ちを含む7連勝で首位をキープしている。森山佳郎監督は試合の結果を求めつつも、今後を見据えて若手選手にプレータイムを与え続けている。仙台の未来をどう築き上げようとしているのだろうか。(取材・文:小林健志)[2/2ページ]
「百年構想リーグで若手選手を起用し続けて良かった」と言える日まで
長年、育成年代の指導に携わってきたベガルタ仙台の森山佳郎監督【写真:Getty Images】
南に、得意の縦への突破に加え、カットインしてのクロスなどプレーのバリエーションの広がりを感じさせたことについて問うと「その局面だけで言うと、自分的にも持ち味は出せたと思いますけど、ネットを揺らす部分がついてこなかったので、特に何もまだ始まってないなという感じです」と語った。
シュートチャンスをつくった安野も「チャンスをつくっていても、やっぱり決め切れないとFWとして良くない」と語るなど、悔しさをあらわにした。
最大のチャンスだった南のクロスから安野のシュートというシーンについて、南は「匠が決めてくれないという言い方はしたくなくて、自分が決めさせてあげるようなクロスを出さなきゃいけない」と述べた。
安野は「練習中からもあそこに飛び込んでいくというのは狙ってはいたので、あとは決め切るだけだなと思っています」と2人とも自分にベクトルを向けて反省していた。
今後について、南は「この先このままずっとプレータイムが確保される保証は無いので、早いうちに結果を監督に示さないと自分も時間が無いので、早くアシスト、得点が欲しいです」と語った。
安野も「普段からゴールやアシストは本当にこだわってやってきている中で、今日決め切れなかったのは本当に悔しかったです。次は絶対決められるように1週間準備していきます」と両者ともに目に見える結果を渇望していた。
こうして若手選手にプレータイムを与えることで課題が出て、次の試合までにその課題を克服しようとして、また新たなトライが生まれる。
こうしたサイクルをつくり、他の選手との競争心も煽りながら、森山監督は若手選手の力を少しずつ底上げしようとしている。まさに長年育成年代の指導に携わってきた森山監督らしいアプローチがこの大会でできていると言えるだろう。
この大会は勝敗など結果も重要だが、若手選手の力を伸ばして選手層を厚くして、J2リーグ戦につなげていくことが非常に重要だ。
今のところ仙台は結果も出しながら、若手選手にプレータイムを与え続けて、成長を促すことができている。
もし、この先のJ2リーグ戦でこうした若手選手がどこかで試合を決める活躍を見せれば、「百年構想リーグで若手選手を起用し続けて良かった」と言える。
今はまだそうなると断言することはできないが、惜しいチャンスをつくったことで満足せず、目に見える結果を若手選手が貪欲に求め続ければ、いつかどこかで、誰かが大きく成長を遂げる時が来るかもしれない。
結果だけを追い求めるのではなく、先を見据えて若手選手にプレータイムが与えられることで、ベガルタ仙台の未来が少しずつ見えてくる。
百年構想リーグの期間、このまま若手選手が貪欲に結果を求めて日々鍛錬に励み、目に見える結果が表れ始めれば、仙台の未来は明るいものになっていくことだろう。
(取材・文:小林健志)
【著者プロフィール:小林健志】
1976年生まれ。静岡県静岡市清水区出身。清水東高を卒業。2006年より宮城県仙台市を拠点にフリーライターとしてサッカーの取材を始め、ベガルタ仙台(2006年から)、福島ユナイテッドFC(2016年から)といったJリーグクラブの取材の他、育成年代などなど幅広いカテゴリーで取材を行っている。ライター業と共に、2012年より仙台市内の私立高校で非常勤講師として理科の授業、2021年より仙台市内のスポーツ関連の専門学校で『スポーツメディア論』などの授業も担当している。
Xアカウント:@cobatake
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