サッカー日本代表の田中碧【写真:Getty Images】
28日、28年ぶりにワールドカップ(W杯)出場を決めた実力を持つスコットランド代表と対戦するサッカー日本代表。本大会が目前に迫る中、選手選考はいよいよ最終局面へと突入している。選手層の厚みが増した森保ジャパンにおいて、個々の立ち位置はかつてなくシビアだ。そんな中、かつて大舞台で輝きを放った田中碧はいま、苦境に立たされている。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]
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代表生き残りへ。田中碧の正念場
サッカー日本代表の田中碧【写真:編集部】
2026FIFAワールドカップ(W杯)北中米大会本番まで2カ月強。2023年からスタートした第2次森保ジャパンのチーム強化もいよいよ佳境に突入している。
残された強化試合は3つ。3月28日のスコットランド代表戦は重要な一戦だ。森保一監督は31日のイングランド代表戦に現有戦力のベストメンバーを起用すると想定されるため、今回は準主力中心の構成になりそうだ。
もちろん、28年ぶりにW杯出場を決めたスコットランドは強敵。だが、日本が本大会で大躍進を遂げようと思うなら、絶対に白星を手にしなければいけないレベルの相手でもある。
今回は完全アウェイの状況ではあるが、チームの総合力で勝ち切ることが重要だ。
今回の一戦に勝負を賭けているメンバーは少なくない。
目下、ボランチの控えに甘んじている田中碧もその1人。2021年10月のオーストラリア代表戦で初キャップを踏み、いきなりゴールを奪って森保監督の窮地を救い、2022年カタールW杯・スペイン代表戦で値千金の逆転弾を奪った男が、3年半も足踏み状態に陥るとは一体、誰が想像しただろうか。
本人も「ここで一気に抜け出したい」という思いがどこかにあるはずだ。
しかしながら、今の田中を取り巻く環境は芳しいとは言えない。
「少し出れないからって…」

リーズ・ユナイテッドの田中碧【写真:Getty Images】
24/25シーズンに赴いたリーズでチャンピオンシップ優勝・プレミアリーグ昇格の原動力になったものの、今季は時間を追うごとに序列が低下。2026年突入後はリーグ戦7試合出番なしという予期せぬ苦境に直面しているのである。
「もちろん悔しいです。ただ、試合に出る出ないは自分ではコントロールできない部分も少なくない。いいパフォーマンスをしても出ない選手もいるし、悪いパフォーマンスしても出続ける選手もいるし、そこは自分がああだこうだ言うことじゃなくて、ピッチに立った時にやるだけかなという風に思います。
一方で、プレミアリーグの難しさも感じるのも事実。試合に出る競争率が高いなと思うし、その競争に勝っていかなきゃいけない。少し出れないからって挑戦から諦める理由にはならないんで、そこは引き続きよりもっとやらなきゃいけないですね」
本人は自問自答を繰り返しながら、必死になって光明を見出そうしている様子だ。
高いレベルに身を投じれば、コンスタントに試合に出られなくなるリスクは常にある。
現在、ケガで離脱中のキャプテン・遠藤航もそうだし、ラツィオ時代の鎌田大地も不本意な状況を強いられている。
そこで懸念されるのが試合勘。田中の場合は2021年夏の欧州挑戦の後、昨季まではほぼ試合に出続けていたため、ここまで公式戦の間隔が空くのはプロサッカーキャリアの中で初めてに近い。コンディション維持には特に難しさを感じているのではないか。
「どの選手もうまくいかない時期はあると思うけど…」

サッカー日本代表の田中碧【写真:Getty Images】
「W杯という意味で、多少の焦りはあります。どの選手もうまくいかない時期はあると思うけど、僕の場合はそれがたまたまW杯前だったんで、不安も生まれはします。でも、そこで自分が崩れたら終わり。自分を信じてブレずにやらなきゃいけない」と彼は自らに言い聞かせるように話していた。
森保監督が田中ではなく、鎌田をボランチ陣の軸に据えるのも、クラブでの状況を加味してのことだろう。
ただ、田中碧には国際Aマッチ35試合出場8ゴールという確かな代表実績があり、東京オリンピック(東京五輪)代表時代から築いてきた指揮官との強い絆もある。
長い時間をかけて積み上げてきたものを今回ピッチ上で示し、「田中碧はW杯でも問題なくハイパフォーマンスを示せる」という安心感を与えることができれば一番いい。それがスコットランド代表戦の最重要タスクだと言っても過言ではないだろう。
相手攻撃陣には193センチの長身を誇るエース、スコット・マクトミネイがいて、ジョン・マッギンやルイス・ファーガソンといった質の高い面々が中盤を形成してくる。彼らを凌駕し、主導権を握っていくためにも、田中が中心となってゲームを動かさなければいけない。