3月28日、明治安田J1百年構想リーグ・地域ラウンド第5節延期分、FC町田ゼルビア対川崎フロンターレが町田GIONスタジアムで行われた。1-1で90分が終わり、PK戦を3-1で制した町田が勝ち点2を獲得。細かい駆け引きや、采配の妙が、PK戦の勝敗を左右した。(取材・文:大島和人)[1/2ページ]
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PKを制したFC町田ゼルビア
FC町田ゼルビアは3月28日の明治安田J1百年構想リーグ・川崎フロンターレ戦を「勝ち点2」で終えた。1-1と90分で試合の決着はつかなかったが、町田はその後のPK戦を4本中3本ストップしたGK谷晃生の活躍で制している。
町田の黒田剛監督は、J1の20クラブの中でももっとも「PK戦経験」のある指揮官だろう。彼は2022年まで28年間、青森山田高校の監督を務めていた。
夏の総体(全国高等学校総合体育大会サッカー競技大会)、冬の選手権(全国高等学校サッカー選手権大会)と高校生年代のカップ戦はPK戦がつきもの。そんな日々の中で、彼はPK戦に臨む方法論を確立してきた。今回の百年構想リーグはPK戦の結果で「勝ち点1/勝ち点2」が分かれるレギュレーション。彼のノウハウが生きる場になっている。
黒田監督はまず川崎戦をこう振り返っていた。
「今回は(PK戦の)要員みたいな形で(ナ・)サンホ、イボ(イブラヒム・ドレシェヴィッチ)が入っていましたけど、彼らがしっかりとその大役を務めてくれました。順位をまず一つ上げ、2位に行く。鹿島を追走することが大枠の中の目標でした。そこをきちんと達成できて良かったです」
町田はここまで8試合合計の勝ち点を17として、勝ち点16で今週末は試合の無かったFC東京を抜き、EAST2位に浮上している。
PK戦にまつわる定説
PK戦は統計的な裏づけがないものも含めて、様々な『定説』『仮説』がある。例えば「試合中に決めた選手は外しがち」「途中交代で入った選手は外しがち」といった話は、サッカー好きの皆さんなら聞いたことがあるかもしれない。
ただ黒田監督は90+6分に投入したナ・サンホを3人目、イブラヒム・ドレシェヴィッチを4人目のキッカーに送り込んだ。しかもドレシェヴィッチは、昌子源を下げての起用だった。
「PKは日頃の練習でやっていますので、それで(チーム内の)序列はかなりついています。サンホは少し前に入れる予定でしたが、エリキの退場があり、(80分の交代は)ネタ・ラヴィのところに白崎(凌兵)を入れる一枚替えになりました。ただ(90+6分の交代は)相馬(勇紀)をウイングバックにしてサンホを入れ、キャプテンの(昌子)源まで代えて、冷静なイボを入れました。PK戦を水戸とやって勝ったときに近いメンバーで勝負して、それが功を奏しました」
また、指揮官は谷の『好セーブ』をこう分析する。
勝負を分けた“布石”
「何といっても一本目の真ん中をしっかりと読み切った、きちんと止め切ったのが本当に(チームを)勢いづけました。おそらく相手も真ん中に蹴る恐怖心が出たでしょうし、左右に蹴るコースの甘さも出たでしょう。『読み切ったからには確実に止める』というコンセプトの中でやっていますが、そこを彼がしっかり遂行してくれた結果です」
町田は今季の百年構想リーグでPK戦を3度経験し、戦績は2勝1敗。谷は相手のPK13本のうち6本を失敗させている。セーブの本数、46.2%の阻止率はいずれもJ1全体のトップレベルだ。
町田に『勝ち点2』をもたらした谷はこう振り返る。
「PK 戦は5本の組み立てを自分の中で意識しています。布石ではないですけど、その選手を止められなくてもその次、次の次に、そういうものを見せてやっていくのも戦い方かなと思っています」
1本目のラザル・ロマニッチが真ん中を狙ったシュートに対する反応が事前の予定通りだったか、谷は明言していない。3本目、4本目のセーブについても素っ気なく「たまたま」と振り返っている。



