3月28日、明治安田J1百年構想リーグ・地域ラウンド第5節延期分、FC町田ゼルビア対川崎フロンターレが町田GIONスタジアムで行われた。1-1で90分が終わり、PK戦を3-1で制した町田が勝ち点2を獲得。細かい駆け引きや、采配の妙が、PK戦の勝敗を左右した。(取材・文:大島和人)[2/2ページ]
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ギリギリの攻防で、確率を上げる方法論
谷は自らのプレーを自慢気に語るタイプではないし、そもそもノウハウを喋り過ぎれば次の試合に悪い影響が出る。だとしても『谷が簡単に飛ばない』ことは少なくとも1本目で相手に印象づけられたはずだ。
PK戦は情報戦とよく言うが、百年構想リーグでは『右に蹴ったか左に蹴ったか』というレベルのデータはどのチームも既に持っている。
谷は言う。
「データを見ても、もういっぱい蹴っている選手が多くて、そんな関係ないし、あまり見ずにやっています」
黒田監督もデータ以上に『コンセプト』を大切にしている。
「試合の前日、前々日くらいはしっかりと我々のコンセプトのもとに蹴らせ続けています。PK はスキルだけでなくて、心理学の部分が大半を占めていて、そこにスキルがついてくるもの。詳しくは企業秘密で言えませんけど。いくつかのポイントがあります」
黒田監督が会見中に唯一語った、谷も口にしたポイントが『読み切ったからには確実に止める』だ。谷は黒田監督、コーチから伝えられているポイントについてこう述べる。
「読んだ方向にもし来たら、そこを外すなというところです。方向を当てたなら止められるだけの(動きをする)、その迷いをなくすことは常に言われます」
もちろんGKがコースを読んでいても、シュートの質が高ければ止めようがないこともある。逆に谷という能力の高いGKだからこそ、シュートに届く部分もある。
そんなギリギリの攻防のなかで、確率を数%でも上げるための方法論が『読み切ったからには確実に止める』という意識づけなのだろう。アディショナルタイムのPK要員投入も含めて、チームの準備が実った川崎戦の勝ち点2だった。
(取材・文:大島和人)
著者プロフィール:大島和人
1976年生まれ。生まれが横浜で育ちは埼玉。サッカーは親にやらされたが好きになれず、Jリーグ開幕後に観戦者として魅力へ目覚めた。学生時代は渋谷の某放送局で海外スポーツのリサーチを担当し、留年するほどのめり込む。卒業後は堅気転向を志して外資系損保などで勤務するも、足を洗いきれず現在に至る。「スパイシー」「党首」などのHNでネット上に文章を書いていたが、2010年より球技ライターとしてメジャー活動を開始。
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