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本人も驚きの奇策。柏レイソルはなぜ山之内佑成をCBで起用したのか?左WB→右WB→CB。リカルド監督の意図とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤井圭 photo by Getty Images,Editor
柏レイソル 山之内佑成

柏レイソルの山之内佑成【写真:Getty Images】



 柏レイソルは3月22日、明治安田J1百年構想リーグ第8節で水戸ホーリーホックと対戦し、3-0で勝利した。ウイングバックを本職としていた山之内佑成は、この試合で今季センターバックとして初先発した。苦しいチームの台所事情の中で、22歳のユーティリティー性がチームに新たな選択肢を生むかもしれない。(取材・文:藤井圭)[1/2ページ]

小屋松知哉の移籍で左ウイングバックでの台頭が期待されたが…

柏レイソル 2026新体制発表会 フォトセッション

2026新体制発表会でフォトセッションに臨む柏レイソルの山之内佑成(上段左から2番目)とリカルド・ロドリゲス監督(下段中央)ら【写真:編集部】

 東洋大学に在学中の昨季は天皇杯・2回戦で敵として日立台のゴールネットを揺らせば、優勝を争うリーグ終盤戦には特別指定選手で味方としても大きな存在感を示した山之内佑成。

 プロ1年目の2026年、大学では左サイドバックが主戦場だったこともあり、小屋松知哉やジエゴが抜けた左ウイングバックでの台頭が期待された。

 実際にキャンプでも主に左右のウイングバックを務め上げ、シーズン開幕に向けての準備を進めた。

 ヴィッセル神戸から汰木康也、そして、浦和レッズから大久保智明など、リカルド・ロドリゲス監督のサッカーを知るアタッカーが加入した中でも「ポジション争いでは負けたくない」と闘志を燃やしていた。



 しかし、開幕前のちばぎんカップや明治安田J1百年構想リーグ第1節・川崎フロンターレ戦で先発に名を連ねたのは小見洋太だった。

 キャンプでは右ウイングバックで頭角を現した15番は、他の選手からも「小見ちゃんの調子がすごくいい」と言わしめるなど信頼をつかんでいた。左ウイングバックでのプレーに関しても「取り組み始めたのは(ちばぎんの)2日前だった」と小見は言う。

 川崎戦でラスト15分から小見に代わって出場した山之内だったが、結果を残せぬままチームも5-3と黒星発進。開幕からスタメンを狙っていた彼からすれば、当然ながら悔しさをにじませたことだろう。

 ただ、結果を求める大卒ルーキーのチャンスは早くも翌週に訪れる。

「自分のチャンスはあそこしかなかった」

柏レイソル 山之内佑成

トレーニングで汗を流す柏レイソルの山之内佑成【写真:編集部】

 チーム内に体調不良者が続出したことで、「右(ウイングバック)でトレーニングしていた」という東京ヴェルディ戦でスタメンに入る。ここで結果を残すと気を吐き、「試合前から楽しみだった」という東洋大の先輩・新井悠太と対峙する中で再三の決定機に絡んだが、ネットを揺らせなかった。

 得点を決めるという気合いが力みを生んでしまい、結果的に精度を欠いてしまう。チームも前半で試合を決められる内容だったが、1-2と逆転負けを喫した。

「チームの状況もあって自分がスタートで使ってもらえましたが、チャンスを作れた中でゴールも決め切れなかったですし、チームの勝利に貢献できなかったので悔しいです」

 それでもチャンスに絡み、「攻守においてアグレッシブなプレーが出せた」ことは確かな手応えとなった。



 続く鹿島アントラーズ戦でも右ウイングバックでピッチに立つと、25分にはゴール前に飛び出し、PKを獲得。スコアを動かすには至らなかったものの、王者相手に持ち味を発揮した。

 初勝利を挙げたFC東京戦では、左ウイングバックで途中出場し、相手GKと1対1の絶好機に絡むなど、存在感を示していた。

 ただ、チームはジェフユナイテッド千葉、FC町田ゼルビアに連敗し、最下位に転落する。

 さらに、町田戦では右センターバックで代えの利かない原田亘が負傷交代を強いられるなど、状況はまさに泣きっ面に蜂だった。負の連鎖から脱したいリカルド監督は、“脳内の引き出し”からあるアイデアを抽出する。

“ぶっつけ本番”の奇策でも「どこで出てもいい準備をしないといけない」

2026シーズンの柏レイソル

ルーキーながらここまで7試合に(うち4試合に先発)出場している柏レイソルの山之内佑成(上段中央)【写真:Getty Images】

 町田戦から中3日で迎えたアウェーでの浦和戦。勝利が欲しい中で49分に今季の課題であったセットプレーから先制点を許してしまう。停滞感を打破するために、指揮官が打った策こそが山之内の投入だった。

 馬場晴也に代わって入ったポジションは、右のセンターバック。柏では初めての起用ながら敵陣へと何度も進入し、ポケットを突きながら相手を押し込み続けると、攻勢を仕掛けたチームは瀬川祐輔の同点弾へとつなげていく。

 この奇策はぶっつけ本番だったようだ。

「レイソルでのセンターバックは、ほとんど初めて」と明かし、試合途中での起用に「びっくりしました」と正直な思いを打ち明けた。

「でも、どこで出てもいい準備をしないといけないと思っています」

 指揮官も原田が負傷した際に「馬場を使いながら何かあった際には、山之内を右センターバックで起用しよう」と数日前から考えていたという。

 連戦でテストもできない緊急事態だったが、これまでに積み上げた信頼が監督の起用を踏み出させ、実際にピッチ上で好パフォーマンスを披露した。



 これには、指揮官も賛辞を送っている。

「よりゴールを目指さなければいけないという展開だったため起用しました。実際にその期待に応える形で攻撃にプラスアルファをしてくれたと思います。

 彼は左サイドでプレーできる選手ですが、私は右サイドでのプレーも気に入っており、高く評価しています。今回は後方での起用でしたが、そこからの攻撃参加は素晴らしいものがありますし、決定的なチャンスにもつながりました」

 守備面においては試合後に古賀太陽が山之内と会話を交わし、すり合わせを行なったという。

「守備の部分での細かい考え方はもっと良くしていけるかなと思っています。伸びしろもあるし、チームのオプションとしてすごくポジティブに捉えていいですね」(古賀)

 水戸ホーリーホック戦では同ポジションでスタートから出場し、3-0と完勝に貢献。結果を求めるあまりに焦りがあったヴェルディ戦を経て、新たなポジションへと順応することで冷静にプレーをこなせているようだ。

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