この連載では、サッカー日本代表を現地で取材し続けるスポーツライターのミムラユウスケが、FIFAワールドカップ26(北中米W杯)までの3年半に及ぶ日本代表の挑戦と苦悩を描き出す。3月に攻撃の機能不全という課題を残した日本代表は、後に「史上最強」と称されるチームの礎を作っていく。(取材・文:ミムラユウスケ)[2/2ページ]
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遠藤航の「W杯優勝」発言で生まれた“勘違い”
2つ目のトピックが、遠藤航のキャプテン就任だ。
3月の代表戦ではキャプテンはまだ決まっていなかった。初戦のウルグアイとの試合では遠藤がキャプテンを務め、2試合目のコロンビアとの試合では遠藤はベンチスタートだったため、板倉滉がキャプテンマークを巻いて日の丸を率いた。ただ、ハーフタイムに遠藤が途中出場することになると、板倉がキャプテンマークを遠藤に渡したのだった。
ところが、6月の合宿中にようやくキャプテンが決まった。遠藤が新キャプテンに就任したのは、6月12日。日本代表キャンプ初日の夜のことだった。長谷部誠、吉田麻也に続くキャプテンとして、チームの前でスピーチを行った。遠藤の言葉はこうだ。
「どうやったらW杯で優勝できるのかを考えながら行動していきましょう!」
この「W杯優勝」というフレーズがメディアで大きく取り上げられ、一部で「熱血演説」「活を入れるための檄」と解釈された。
しかし――。
真相は違った。出場しなかったエルサルバドル戦後のスタジアムでのこと。取材エリアを足早で進んでいく遠藤は、最後の最後でこちらの問いかけに足を止めた。そして、多くの人の“勘違い”を、きっぱり否定した。
(取材・文:ミムラユウスケ)
【第4回に続く】
著者プロフィール:ミムラユウスケ
2006年7月にスポーツライターとしての活動をはじめ、2009年1月にドイツへ渡る。ドルトムントやフランクフルトに住み、ドイツを中心にヨーロッパで取材をしてきた。2016年9月22日より、拠点を再び日本に移す。『Number』などに記事を執筆。内田篤人との共著に「淡々黙々。」、岡崎慎司の著書「鈍足バンザイ!」の構成も手がけた。
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【了】

