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コラム 16時間前

イタリア代表の新監督はどうなる? 候補に挙がる5人とは。「再建ではない。破壊すべき」意外な大物の名前も【コラム】

ガットゥーゾ
イタリア代表監督を辞任したジェンナーロ・ガットゥーゾ【写真:Getty Images】



 再建か、破壊か。FIFAワールドカップ(W杯)出場を3大会連続で逃したイタリア代表は、大きな岐路に立たされている。ジェンナーロ・ガットゥーゾ監督辞任を受け、後任候補には意外な名前も浮上しているが、その実現性はどうなのか。イタリア専門ライターの佐藤徳和氏がレポートする。(文:佐藤徳和)[2/2ページ]

マンチーニ再就任をOBが猛反対。その理由は?

ロベルト・マンチーニ
ロベルト・マンチーニ再就任にはジャンニ・リヴェラ氏が猛反対【写真:Getty Images】

 マンチーニは、2023年6月18日までの約5年間、イタリア代表を指揮し、任命されれば2度目の代表監督就任となる。

 しかし、マンチーニの復帰に、声を大にして反発する人物がいる。ロベルト・バッジョと並び、イタリアのレジェンド、ジャンニ・リヴェラだ。

「ロベルトについてはとても遺憾に思う、それは私の本心だ。しかし、彼がサウジアラビアへ逃げ出した時、彼は自ら決断を下し、誰もが彼を二度と監督として望まない状況を自ら作り出したのだ。

 残念ながら、彼はまだそのことを理解していない。彼は再び代表監督への意欲を示しているが、ナショナルチームに損害を与えた最初の張本人の一人だ。彼が我々代表のベンチに戻らないことを願っている」

 82歳のバロンドーラーは、日刊紙『ラ・レプッブリカ』紙のインタビューで、マンチーニを厳しく非難し、代表監督復帰を望んでいないことを主張した。

 マンチーニもまた、W杯出場権獲得を失敗した指揮官でもあるが、2021年には、イタリアを欧州の頂に導いた指揮官でもあり、歴代3位の勝利数を誇るイタリア代表監督である。



 それゆえ、マンチーニの復帰を望む声もあるが、イタリア代表を捨てた“裏切り者”という声もある。もし、復帰となれば、世論を二分する物議を醸すことになるだろう。

 コンテもまた、任命されれば2度目の就任となる。2016年の欧州選手権では、ベスト16で優勝候補の一角であったスペイン代表を撃破。準々決勝ではドイツ代表と死闘を演じ、PK戦の末に敗れ、その後、代表監督の座を退いた。

 その理由については「毎日、芝生の感触やピッチの匂いを感じていたい」と語っており、クラブチームで日々指揮を執ることへの強い渇望があったとされる。

 歯に衣着せぬ物言いでFIGC上層部の改革を断行することへの期待がある一方、クラブにおける欧州カップ戦での勝負弱さは懸念材料である。

 しかし、6日に行われたミラン戦後の会見で、コンテは、代表監督復帰を匂わせる発言をした。

「私の名前が代表監督候補リストの一部であるのは当然だ。もし私が連盟の会長だったら、他の人物とともに自分を候補に入れるだろう。多くの理由からコンテを入れる。私はすでに代表にいたことがあり、代表の環境を知っている。自国を代表するというのは美しいことだ」

 クラブとの契約は、まだ1シーズン残っているが、どうなるだろうか。

イタリア人ではない大物監督の名も。その人物こそ…

マンチェスター・シティのペップ・グアルディオラ監督
ジョゼップ・グアルディオラもイタリア代表監督候補に【写真:Getty Images】

 そして、最後の一人は、スペイン人のペップ・グアルディオラである。元イタリア代表で人気コメンテーターのダニエーレ・アダーニは、ペップの就任を待望する一人だ。

 アダーニは、日刊紙『コッリエーレ・デッラ・セーラ』に寄稿。

「もはや再建の時ではない。破壊すべきなのだ、それも『すべて』を壊す時だ。そして、サッカーにおける強固でアイデンティティのあるビジョンとコンセプトを持って再スタートを切る必要がある。ポスト争いに過ぎない政治的な闘争に明け暮れるのではなく、再生のためにサッカーそのものに焦点を当てなければならない」

 その先頭に立つ人物が、「この新たな道のりを始めるにあたって最も信頼できる人物はグアルディオラであり、他の誰でもない。世界における彼ほどの信頼感と影響力を持つ者は他にいないからだ」と続けている。



 現場での指導だけでなく、FIGCに、代表再建と若手育成の道しるべとなる助言も期待できる。だが、グアルディオラとマンチェスター・シティの契約は2027年6月30日まで。グアルディオラ自身は、代表監督の指揮に関心を持っていることを公言している。

 仮に契約解除となっても、現在の年俸は2300万ユーロ(約42.6億円)と超がつくほどの高額だ。FIGCにその金額が払えるとは到底思えない。

 あくまでも、現時点で、グアルディオラの名前が浮上しているのは、願望でしかないだろう。

 さらに、もう一人、イタリア代表にとって忘れてはならない人物がいる。

可能性は極めて低いが…

ブラジル代表、カルロ・アンチェロッティ監督
カルロ・アンチェロッティは理想だが…【写真:Getty Images】

 指揮官としてCL最多優勝5回を誇り、5大リーグをすべて制覇した史上初の監督、カルロ・アンチェロッティである。

 しかし、彼の招聘もまた、障壁が大きい。FIGCの新会長は6月22日に選出され、その時点で代表監督の“有力な名前”を提示しなければならない。

 それゆえ、その時点で提示できる名前がアンチェロッティである可能性は極めて低い。なぜなら、その時、彼はブラジル代表の監督としてW杯を戦っているからだ。

 契約はW杯終了後となっているものの、6月22日にはアンチェロッティの去就は不透明となっており、指名できない可能性は高い。



 スパッレッティ監督が解任される1か月前に、セレソンに“強奪”されたアンチェロッティ。この時、アンチェロッティがフリーであったならば、イタリアの“救世主”となり得たかもしれない。

 なんとも、タイミングの悪いことが続くのか。様々な困難が降りかかるイタリアは今、幸運の女神にも見放されてしまったようだ。

 とにもかくにも、先導役が決まらないまではイタリア代表の方向性が示せない。

 だが、未来は待ってはくれない。

 ユーロ2028年での戦いも視野に入れて、イタリアは前進しなければならない。

(文:佐藤徳和)

【著者プロフィール:佐藤徳和】
1998年にローマでの語学留学中に、地元のアマチュアクラブ「ロムーレア」の練習に参加。帰国後、『ポケットプログレッシブ伊和・和伊辞典』(小学館)の制作に参加し、イタリア語学習書などの編集、校正、執筆に携わる。2007年から、フリーランスとして活動し、主にイタリア・サッカー記事のライティングに従事。2014年には、FC東京でイタリア人臨時GKコーチの通訳を務める。IL ROMANISTA、日本特派員。『使えるイタリア語単語3700』(ベレ出版)、『イタリア語基本の500単語』(語研)を共同執筆。日伊協会では、カルチョの記事を読む講座を開講中。X:@noricazuccuru

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【了】

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