
スーパーミドルを決めたジェフ千葉の安井拓也【写真:Getty Images】
目の覚めるような一発だった。しかし安井拓也は、そのゴールに満足していない。ジェフユナイテッド千葉を救う同点弾を決めながらも、“存在証明にはならない”と語った理由とは何か。現場取材からその胸中に迫る。(取材・文:石田達也)[1/2ページ]
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明治安田J1百年構想リーグ・地域ラウンド第10節
ジェフユナイテッド千葉 1-1(PK 2:3) 水戸ホーリーホック
フクダ電子アリーナ
安井拓也の渾身の一撃

第10節に臨むジェフユナイテッド千葉【写真:Getty Images】
これがMF安井拓也である。
72分にピッチに立つと、その3分後に息を吞むようなスーパーゴールで結果を出してみせた。
一切の迷いなく右足を振り抜いた安井は、次のように言う。
「決めるっていう気持ちだけでした。シュートについては、あんまり分からないんですけど(笑)。でも決めるためにはシュートを打たないといけないですし、前に行かないといけないですし、それがそのまま出たなっていう風には思っています。
それを何回も何回も続ける必要があると思うし、自分自身思い切りよく振っていくというか、そういう部分は本当に大事だと思っています」
DF河野貴志がドリブルでハーフウェイライン付近までボールを運ぶと、ゴール前中央に縦パスを刺す。FW呉屋大翔が右足でフリックし、安井にパスを流すと左足でトラップ。すぐさまシュートポジションにボールを置くと右足を大きく振り抜いた。
約25メートルの位置から放たれたボールは浮き上がり、まるでホップするかのような軌道を描きゴール右上に吸い込まれる。
その瞬間、安井は呉屋と抱き合うと両手を上げて吠えた。
水戸ホーリーホックの好守を攻めきれなかった前半戦

先制点をあげる水戸ホーリーホックのマテウス・レイリア【写真:Getty Images】
立ち上がりは、ジェフユナイテッド千葉が主導権を握る。水戸ホーリーホックのビルドアップを監視下に置き制限をかける。
ロングボールを蹴られる展開となってもファーストバトルの競り合いで勝ち、セカンドボールを回収し攻撃につなげ、球際のバトルに勝つことで鋭い攻撃でゴール前に迫った。
13分、中盤でボールをインターセプトするとMF津久井匠海がシュートを狙っていくが僅かに外れる。
17分には呉屋がボールを奪うと津久井とDF日高大とのコンビネーションからシュートにまで持っていく。だがこれもGK西川幸之助に阻まれてしまい、均衡を破るには至らない。
40分には日高が左サイドでのワンツーから相手を外しアーリークロスをゴール前に送ると、千葉の攻撃陣3枚がペナルティーエリア内に入っていたのだが、触れることはできなかった。
スコアが動いたのは45 + 4分だった。
前半終了間際にロングボールで攻略されるとCKの流れから、こぼれ球に反応したMFマテウス・レイリアにシュートを打ち込まれてしまう。
1点のビハインドを追う千葉は交代によって流れを引き戻しにかかると72分、MF前貴之に代わり安井が投入され、そのままボランチのポジションにつく。
前半をベンチから見守っていた41番は、チームの戦いぶりを冷静に分析する。
「もう結果しかないなと思っていたので…」

FC町田ゼルビア時代の安井拓也【写真:Getty Images】
「自分たちがやれているからこそ(前半で)1点が獲れなかったことが、試合を難しくしたとは思っていますし、相手からするとゼロで守れたこと、それが大きかったのかなと思います」
その上で「今回、スタメンが叶わなかったことを含めて、もう結果しかないなと思っていたので、それを出すという、自分自身のマインドのところの準備がすべてかなと思っていました」と、試合前の胸の内を明かした。
前節の東京ヴェルディ戦では今シーズン初先発を果たすと、10分には左ボランチのポジションから一気にペナルティーエリアに向かい加速。先制点につながるPKを獲得するなど、ダイナミックに中盤から飛び出しチームに流れを呼び込んでいた。
安井は昨シーズンにFC町田ゼルビアから完全移籍で加入するもののリーグ戦7試合の出場にとどまり、2025年8月にはFC今治へ期限付き移籍で加入した。
今年1月から千葉に復帰し、強い決意と思いで臨んだ今シーズンでもあったが、右足の負傷で出遅れる。
試練の多い時期を過ごしながら、徐々にコンディションを上げて好パフォーマンスを体現できる状態にまで戻ってきた。
大きく変わったのが結果へのマインドだ。