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ジュビロ磐田には何が欠けていたのか。植村洋斗の鋭い言葉が象徴する、“突き抜け切れなかった”要因【コラム】

シリーズ:コラム text by 河治良幸 フリーライター photo by Getty Images

ジュビロ磐田の植村洋斗
ジュビロ磐田の植村洋斗【写真:Getty Images】



 ジュビロ磐田が6試合ぶりに敗北を喫した。三浦文丈監督就任後、チームの課題とストロングが整理されつつあるが、いわきFC戦ではそれらがより鮮明になった。ゴールデンウィークの連戦で目下最も多くピッチに立つ植村洋斗は、敗北に終わったゲームを冷静かつ鋭い視点で振り返る。(取材・文:河治良幸)[2/2ページ]

「そこで成長できる時間はいっぱいある」

ジュビロ磐田対いわきFC
自分たちの流れを引き寄せきれずに敗れたジュビロ磐田【写真:Getty Images】

 それがFC岐阜戦の勝利や完全ターンオーバーで戦った松本山雅FC戦のPK戦勝ちに繋がった部分もあるが、その先の“試合を握る”部分の課題が浮き彫りになった。

 植村が「もっと動かせる時間はあった」と語ったように、後半はいわきを走らせながらゲームを落ち着かせられる状況もあっただけに、そこを自分たちの時間へ変え切れなかったことは大きかった。

 興味深かったのは、植村自身が、この試合を単なる反省材料としてではなく、自分がさらに成長するための機会として捉えていることだ。

 現在は3バックシステムの中でもウイングバック、ボランチ、3バックの右など複数ポジションを任され、連戦の中でも継続して出場時間を伸ばしている。



 三浦監督の“初陣”となった岐阜戦は3バックの右で90分フル出場。続くアウェイの松本戦は前半終わりに負傷した相田勇樹に代わり、残り時間をボランチでプレーした。

 そして、いわき戦のフル出場。この連戦で最も多く試合に出た選手となっている。

「この連戦でも、いっぱい試合に使ってくれてますし、そこは自分自身でも体自体はきついですけど、そこで成長できる時間はいっぱいある」と語ったように、植村は様々な役割を経験している現状を前向きに受け止めている。

 しかし、大卒3年目の植村が、ここから本当に突き抜けていけるのか、普通に良い選手で終わるのか。岐路に立たされているのは確かだ。

ジュビロ磐田は「リアルと未来」にどう向き合うか

ジュビロ磐田
ジュビロ磐田が勝ち切れるチームになるために【写真:Getty Images】

「今日はボランチで出ましたけど、もっとゴール前に関わっていきたい」と自分に厳しく語る。

「今日も1点じゃ足りなかったですし、2点、3点取れるチャンスはあった」と振り返ったように、試合を締め切るための攻撃面にも強く目を向けていた。

 サイドの選手との関わりについては、2人の選手に言及しながら次のように振り返る。

「(川﨑)一輝くんも、(松原)后くんも1対1になったら、自分で仕掛けられるタイプだと思うので。そこのサポートはあったらやりやすいと思いますし、なくてもやれると思うんですけど、あそこでサポート入って、敵陣で落ち着かせるとかはもうちょいやっていきたい」

 複数ポジションをこなす植村だからこそ、ボランチのスペシャリストとは違う景色はある。

 現在の磐田はチームとしての守備強度に関しては、志垣良前監督から三浦監督がベースを受け継ぎながら、エッセンスを加える形で、整理できているところもある。



 そして、良い守備から狙い通りのカウンターで先制点も奪えた。

 ただ、その先で主導権を握りながら、試合をコントロールしていくためのゲーム運びの力は不足している。

 植村が勝ちきれなかった要因を「やっぱり先制してからの戦い方」とまとめるように、自分たちでボールを握り、相手を押し返し、高い位置を取りながら試合を落ち着かせる戦い方が、昇格を目指す2026/27シーズンに向けても必要になる。

 植村洋斗の言葉から見えてきたのは、現在の磐田が“戦えるチーム”にはなりつつある一方で、“勝ち切れるチーム”へ進むための過程にいるという現実だった。

 そして植村自身にとっても、「どこのポジションでも、もっとやれる」と語ったように、経験を積み重ねながら、チームを動かし、試合を決定づける存在になるために、どういったことが必要なのかを改めて整理する機会にできそうだ。

 結果として「勿体なかった」ゲームが、三浦監督の言う「リアルと未来」を磐田と植村の両方に突き付けているように見えた。

(取材・文:河治良幸)

【著者プロフィール:河治良幸】
東京都出身。サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で日本代表を担当し、プレー分析を軸にグローバルな視点でサッカーの潮流を見続ける。セガ『WCFF』の選手プロフィールを担当。著書に『勝負のスイッチ』『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』『サッカー番狂わせ完全読本ジャイアントキリングはキセキじゃない』がある。X:@y_kawaji

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【了】

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