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コラム 4時間前

インテルの新常識が、ディマルコを変えた。18アシストを生んだ“世界最高峰WB”の進化論【コラム】

フェデリコ・ディマルコ
インテルのフェデリコ・ディマルコ【写真:Getty Images】



 セリエAのアシスト記録を塗り替えたのは、ストライカーでもトップ下でもなかった。インテルの左ウィングバック、フェデリーコ・ディマルコである。今季18アシスト。守備負担の大きいポジションで、なぜこれほど異常な数字を叩き出せたのか。そこには、クリスティアン・キヴ監督による徹底したマネジメントと、“90分プレーできる身体”への変化があった。イタリアサッカーを継続的に追う佐藤徳和が、ディマルコ覚醒の理由を読み解く。(文:佐藤徳和)[2/2ページ]

「重要なのはシーズンを通して…」

「昨シーズンは疲労があった。非常に高いレベルの試合を多くこなさなければならなかった。その上、監督と選手の間に問題があったかどうかはわからない。フィジカルの準備についてもよく語られるが、それは重要だ。しかし、最終的にはすべてにおいて最後まで到達しようとしたのだから、終盤でフィジカル面が落ちることもあり得る。

 重要なのはシーズンを通して一定のレベルを維持することで、それは簡単ではない。ただ、私が見ているのは、フィジカル的にコンディションが良好で、メンタル面でも問題がないということだ。とても落ち着いて見えるし、あの“左足”も健在だ」

 ガニ股で、キックフォームはお世辞にも優雅とは言えないが、クロスの精度は極めて高い。ボールは美しい弧を描き、ペナルティエリア内へ走り込むアタッカーに向けて、絶妙なピンポイントクロスが供給される。

 攻撃側の選手は、頭や体の一部に合わせるだけで得点に結びつく。得点者にとって、これほどまでに完璧に呼び込まれるクロスは、そう多くはない。



 しかもそれが一度きりではなく、繰り返し送り込まれ、多少フォームを崩しても正確にFWへ届くのだから、その質の高さは圧巻と言うほかない。

 インテルがセリエAを制し、ディマルコにMVPが与えられても、もはや異論はないだろう。

 もし、この左ウィングバックに受賞されれば、リーグが公式に選出した18/19シーズン以降、イタリア人選手としては、初の受賞となる。

 ディマルコが受賞した場合には、どのような少年時代を過ごし、キャリアを歩んできたか、改めて振り返りたいと思う。

(文:佐藤徳和)

【著者プロフィール:佐藤徳和】
1998年にローマでの語学留学中に、地元のアマチュアクラブ「ロムーレア」の練習に参加。帰国後、『ポケットプログレッシブ伊和・和伊辞典』(小学館)の制作に参加し、イタリア語学習書などの編集、校正、執筆に携わる。2007年から、フリーランスとして活動し、主にイタリア・サッカー記事のライティングに従事。2014年には、FC東京でイタリア人臨時GKコーチの通訳を務める。IL ROMANISTA、日本特派員。『使えるイタリア語単語3700』(ベレ出版)、『イタリア語基本の500単語』(語研)を共同執筆。日伊協会では、カルチョの記事を読む講座を開講中。X:@noricazuccuru

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【了】

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