
なでしこジャパンの長谷川唯【写真:Getty Images】
イングランド女子1部リーグ(WSL)のマンチェスター・シティWFCで10季ぶりのリーグ優勝に貢献した長谷川唯。なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)でもチームの顔として、卓越したテクニックはさることながら、豊富な運動量とゲームを読む力で攻守にわたって牽引している。リーグ優勝後初の取材で、今の代表や、およそ1年後に迫ったFIFA女子ワールドカップへの思いを聞いた。(取材・文:竹中愛美)[2/2ページ]
【単独インタビュー/取材日:5月20日】
「本当にできるのって日本だけだな」海外でプレーする中で感じたこと

所属するマンチェスター・シティWFCでは優勝に大きく貢献した長谷川唯【写真:Getty Images】
「1対1のところで負けないとか、サボらないとか。本当に根性論みたいになってしまうところももちろんあるんですけど、今時そういうのがない中で、まず、それを前提に戦術とかがあるというのが自分の認識なので、最低限やるべきことをやって、そこに戦術があるんだよというのはチーム全体として、同じように意識付けしていきたいと思います」
最低限やらなければならないことの意識付けをする中で、長谷川はもう一つ付け加えた。
「プレーって、1つの意識ですごく変わるところがあって。チームとしても切り替えの部分は特にわかりやすいところで、取られた後、誰かがすぐに取り返しに行くことで違う選手も連動して動けます。
そこを1つサボるかサボらないかでチームの流れが変わってくると思うので、最低限やるべきことを徹底できるチームは作っていきたいと思います。本当にできるのって日本だけだなと海外でやっていると感じるので、この1年間でそういうチーム作りができたらいいなと」
世界最高峰のイングランド・ウィメンズ・スーパーリーグ(WSL)で鎬を削り、157㎝と小柄な体でもフィジカルで上回る海外の選手を相手に瞬時に判断し、ボールを運べるポジション取りをする。
マンチェスター・シティWFCの中盤の軸として、チームをまとめているという確かな手応えがこうした考えを生むのかもしれない。
来年のW杯は出場すれば自身3度目の大会となる。これまで長谷川が築き上げてきたものを証明する舞台にもなる。
「最大限できることを」サッカーもW杯もあくまでも自然体で

なでしこジャパンの中盤を支える長谷川唯【写真:Getty Images】
「毎回同じように臨んでいるというか、最初だからということもなかったですし、2回目だからということもなければ、次も3回目だからどうとか、最後かもしれないとか、そういうのはあんまり頭に置いてない。
今までの経験を活かすという意味では、3回目は意味があるかなとは思いますけど、自分のマインドとしてはあまり変わらないというか。ひとつひとつの大会、試合もそうですし、同じ気持ちで臨んでいるので、今回も自分のできることを、最大限できることをできればいいかな」
サッカーをするうえでのモチベーションは「ないですね(笑)」と小さな声で漏らしたが、「とりあえず楽しいからやっているという感じなので、何かあるからやっているわけでもなく、本当に自分の好きなことだからやっているというぐらいです」と長谷川にとってはこれが平常運転だ。
3度目のW杯もあくまでもひとつの大会。サッカーも楽しいから、息をするように、あくまでも自然に、やっているだけ。天衣無縫とも言えようか。
今、長谷川の頭の中で描きたい夢があるかどうか聞いたときも飾り気のない言葉が返ってきた。
「(UEFA女子)チャンピオンズリーグで結果を出すことは海外に行きたいと思ってから、ずっと考えていることで、正直、この4年経っても1回しか出ていない。本当に去年だけだったし、去年もすごく良い状態だったにも関わらず、チームの怪我人の問題もあって、冬から後悔した感じだったので、すごくもったいなかったなと思います。
クラブの規模としてもチャンピオンズリーグで結果を出せるだけの大きさを持っていると思う。自分自身はそこが1番というのは決められない。もちろん、代表で結果を出すこともそうですけど、チャンピオンズリーグで結果を出すことはすごく大きなものではあります」
このまま自然体で長谷川らしくどこまでも突き進んでほしい、そう願わずにはいられなかった。めまぐるしいなでしこジャパンの中でも、彼女がもたらす基準がチームをさらに引き上げていくに違いないと思ったから。
(取材・文:竹中愛美)
【著者プロフィール:竹中愛美】
1990年、北海道生まれ。Jリーグ開幕で世の中がサッカーブームに沸いていた幼少期、「入会したらヴェルディ川崎のボールペンがもらえる」の一言に釣られて地元のクラブでサッカーを始める。以降、サッカーの魅力に憑りつかれた日々を送ることに。ローカルテレビ局時代に選抜甲子園や平昌冬季五輪、北海道コンサドーレ札幌などを取材し、2025年よりカンゼンに所属。FWだったからか、この限られた文字数でも爪痕を残したいと目論むも狭いスペースの前に平伏す。ライターとして日々邁進中。
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