
『Copa City』のイベントにゲストとして登壇した元サッカー日本代表の佐藤寿人氏【写真:編集部】
6月17日に発売される新作フットボールゲーム『Copa City』のイベントに、元日本代表FWの佐藤寿人氏がゲストとして登壇した。本作は、選手や監督ではなく、試合を運営する側に焦点を当てた異色のサッカーゲームだ。プレイヤーは都市全体をマネジメントし、交通網の整備や警備計画などを行いながら、巨大フットボールイベントの成功を目指していく。イベント後に行われた個別取材では、佐藤寿人氏が日本代表を率いる森保一監督との秘話を明かした。(取材・文:佐藤彰太)[1/1ページ]
異なる立場で森保一監督と共闘した佐藤寿人氏

2015 J1リーグ2ndステージ第3節の浦和レッズ戦で逆転勝利したサンフレッチェ広島【写真:Getty Images】
サッカー日本代表の森保一監督は、選手の自主性を重んじる指導者として知られる。
ベガルタ仙台ではチームメイトとして共闘。サンフレッチェ広島では監督と選手という立場で戦った佐藤寿人氏は、「森保さんのなかには、選手が自立していかなきゃいけない、という考えがあると思うんです」と語る。
2015年、敵地・埼玉スタジアムで行われたJ1リーグ2ndステージ第3節の浦和レッズ戦では、ハーフタイムに珍しく激しい叱責を飛ばしている。この出来事は広島サポーターの間では有名なエピソードだ。
「こんな腰の引けた試合をしてる場合じゃないよ!この後チャンピオンシップを争っても、向こうのアドバンテージいっぱいあるよ。宇賀神(友弥)なんて笑いながらやってるよ。そんな戦い絶対しちゃダメだ!」
その言葉はチームに強いインパクトを与えた。佐藤氏も「普段は絶対怒らないですよ!」と即答するほどだ。
この言葉に奮起した選手たちは、気持ちを入れ直して後半へ。浅野拓磨と青山敏弘のゴールでチームは逆転し、2-1の勝利を収めた。
普段は感情をあらわにしない森保監督だからこそ、選手たちの心を動かしたのだろう。
選手との信頼関係が築かれていたからこそ成立した喝だった。
「言葉を発しなくても…」

元サンフレッチェ広島の佐藤寿人氏と森保一監督【写真:Getty Images】
佐藤氏は「監督として、選手に対して発破をかけるようなことはあまりないですよね。選手が自分たちでモチベーションを上げていかなきゃいけない、という考えがあると思う」と当時を振り返る。
毎週のように各地を飛び回り、多くの試合を視察する森保監督。その姿勢は、広島時代から何ひとつ変わっていない。
「クラブの時も、若手の練習をすごく見ていましたし、練習試合も含めて常に見ていた。言葉を発しなくても、“常に見ている”っていうメッセージはあったと思います」
出場機会の少ない選手も含め、自分の取り組みをしっかり見てもらえている。その空気が、チーム内の緊張感や責任感につながっていたのだろう。
それは、現在の日本代表が生み出している空気感にも通じる部分がある。
そんな森保監督から、佐藤氏は現役時代に一度だけ諭されたことがあった。
当時の広島は結果が出ず、チーム内には閉塞感が漂っていた。キャプテンを務めていた佐藤氏自身も、現状への苛立ちが募っていたという。
「お前が今そういう振る舞いをすると…」

『Copa City』のイベントにゲストとして登壇した佐藤寿人氏【写真:編集部】
「チーム状況とか、戦い方とか、守備的な所とか色々不満があって、なんで?っていうのが表情とかで出ていた」
すると、当時コーチだった森保監督から「ちょっといいか?」と声を掛けられた。
グラウンドを歩きながら、森保監督は静かにこう伝えた。
「色々思うのは分かる。ストレスになるのも分かる。でも、お前が今そういう振る舞いをすると、その不満は周りに伝染するから。ここはぐっとこらえてやってくれ」
決して感情的に怒鳴るわけではない。ただ、その言葉は佐藤氏の胸に深く刺さった。
「ポイチさんだから、スッと入ったんですよね。他の人だったら、もしかしたら言い返していたかもしれない(笑)」
仙台では同じピッチに立ち、広島では監督と選手という立場で時間を共有した。選手を一方的に管理するのではなく、常に理解しようと寄り添い続ける。
その姿勢があったからこそ、佐藤氏も素直に言葉を受け止めることができたのだろう。
森保監督が築いてきた信頼のマネジメントこそが、現在の日本代表の一体感を支える土台となっているのかもしれない。
(取材・文:佐藤彰太)
【著者プロフィール:佐藤彰太】
1997年兵庫県生まれ、広島育ち。2025年よりフットボールチャンネル編集部に所属。2011-12シーズンのUEFAヨーロッパリーグ決勝でラダメル・ファルカオのプレーに心を奪われて以来、アトレティコ・マドリードのファンとなり、そこからラ・リーガの世界に深く魅了される。これまでの現地観戦は恐らく30試合以上に及ぶ。現地での交流を通じて、ラ・リーガ複数クラブと関係を築き、元アルゼンチン代表MFエベル・バネガと食事を共にしたほか、元スペイン代表DFセルヒオ・ラモスとも親交を深めるに至った。なお、スペインの空気を吸った瞬間に人格が変わると周囲から評されており、前世はスペイン人であることが有力視されている。
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