
ブラジル戦に敗れた日本代表【写真:Getty Images】
FIFAワールドカップ北中米大会(北中米W杯)ラウンド32、日本はブラジルに1-2で敗れ、またしても決勝トーナメント1回戦の壁を越えられなかった。2018年ロシア大会のベルギー戦しかり、日本は「あと一歩」を繰り返し続けている。その根源的な問題を、カルロ・アンチェロッティのブラジルが示した「意思統一」と比較しながら読み解く。
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よみがえる「ロストフの悲劇」
2018年、ロシア。日本はベルギーを相手に後半開始早々から2点を奪い、世界を驚かせた。
しかしリードを守り切れず、逆転負け。後に「ロストフの悲劇」と呼ばれるこの敗戦で象徴的だったのは、後半アディショナルタイムのコーナーキックだ。
得点を狙って吉田麻也ら守備の要まで攻め上がった日本は、GKにキャッチされたボールから14秒でゴールを破られた。この試合ほど劇的でないにせよ、日本は決勝トーナメントに進出したこれまでのW杯にて、僅差で敗北を喫している。
前半に失点を喫してから巻き返せずにホイッスルを聞いたトルコ戦(日韓W杯)、お互いに決定機を作りながらスコアレスの末にPK戦で敗北したパラグアイ戦(南アフリカW杯)。前回のカタールW杯・クロアチアとの試合でもPK戦で惜敗している。さらに言えば、ロシア大会を含む4回のうち2回で先制点を奪っていた。
いずれの試合も、選手間の判断にバラつきが見られた。とりわけベルギー戦では最後の局面で点を取りに行くのか、キープして時間を使うのか意思統一ができていなかった。「ベンチでは延長戦に向けた準備を進めていた」と、のちに槙野智章が語っている(鈴木啓太のYouTubeチャンネルで2022月2月配信)。
そして2026年、ヒューストン。日本はまたしても先制しながら逆転された。ガブリエウ・マルティネッリに決められた90+6分のゴール。その直前の場面もまた、終盤の間延びした局面でボールを失うという、8年前と重なる構造を持っていた。
一方で、同じ試合を戦ったブラジルはどうだったか。前半は低調で、ヴィニシウス・ジュニオールも沈黙。しかし指揮官のカルロ・アンチェロッティはハーフタイムに迷わず動いた。
クロス戦術へのシフトを明確に指示し、エンドリッキを投入して流れを変え、疲弊した前線にガブリエウ・マルティネッリという切り札を用意した。前半のクロス本数「2」に対して、後半に「8」へ達する。4倍に増えたロングボールは、明確にブラジルの攻め手に繋がっていた。
采配一つひとつに明確な意図があり、チーム全体がそれを共有していた。「監督の修正に選手が応えた」のではなく、「修正の意図が全員に伝わっていた」から機能したのだ。
指揮官にすべての責任を追及するのは簡単だが、それは本稿の本意ではない。というのも、交代策を通して見るメッセージが妥当に見えたからだ。上田綺世がボールを収められるので、菅原由勢を投入して出来るだけ前でキープする。推進力と中盤のインテンシティを補強したいので、田中碧をピッチに送り込む。
気が利くプレーで最前線と中盤のリンクマンになれる町野修斗も、選手のキャラクターで考えると起用の意図は明確だったのではないか。押し上げられなくなっていた前線にテコ入れを図ったと推察できる。
問題は、想定された現象を途中投入のほとんどの選手が起こせなかったこと。まさにベルギー戦の最終盤に見られたような、個々人の足並みが揃わない状況が露呈してしまった。
W杯最多優勝国・ブラジルを相手に善戦したことは称賛されてしかるべきだが、またひとつ増えてしまった「悲劇」を検証することも重要だ。
選手と監督が変わっても、個々のプレーレベルが向上しても、チームとしての根本的な課題が変わっていない可能性がある。
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