
出身地の埼玉県戸田市でサッカー教室を開いたなでしこジャパンの長谷川唯【写真:編集部】
世界最高峰の舞台で結果を追い求める一方、その先にある女子サッカーの未来も見据えていた。なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)の長谷川唯は7月11日、元なでしこジャパンの澤穂希氏との刊行記念イベントに登壇。その後、地元・埼玉県戸田市で約100人の子どもたちとサッカーを通じて交流した。来年のFIFA女子ワールドカップ2027へ向かう中、自身の原点と未来を改めて見つめ直す一日となった。(取材・文:竹中愛美)[2/2ページ]
女子サッカーを広げるために、一番必要なもの

2回目の開催となった『Dream Clinic 唯「夢を未来につなぐtoda」』。長谷川唯の中で女子サッカーの普及や育成への思いは日ごとに増している【写真:編集部】
「はっきりとこの年っていうのはあんまり覚えてないというか、記憶にはないんですけど、この数年で一番感じていて、上の選手ももちろん、どんどん人が減っていくので、自分が年上になっていくことで、そういう気持ちはどんどん増してきてはいます」
だからこそ、地元でサッカー教室を開く意味がある。
「女子サッカーの普及はもちろん自分の頭にもありますし、この地元もすごく大事。本当にずっと戸田に住んで、実家もずっと戸田でというところで、もっと多く女子サッカーをする子が増えたらいいなと思います。
あとどれくらい自分がサッカーをやるかわからないですけど、ぜひ同じチームだったり、対戦相手でもやる選手が出てきてくれたら嬉しいなという気持ちがあります」
ただ、長谷川はもっと大きな力があるものを知っている。
「スクールとかも地道なところで、興味を持ってもらうためにすごく大切だと思うんですけど、それよりもやっぱり大きな力があるのが結果だと思う。
(FIFA女子ワールドカップ2027で)優勝をひとつするだけで、もっと多くの人に広まると思うので、本当に決して簡単なことではないですけど、選手として一番できることは、大会で結果を出すことなのかなと思っています」
長谷川が口にしたFIFA女子ワールドカップ2027開幕までは1年を切っている。
クラブではUEFA女子チャンピオンズリーグ、そしてリーグ連覇を目指すシーズンが始まる。
「チャンピオンズリーグで結果を出すことを目指してやってきていたので、今シーズン、自分の年齢も含めて経験も増えてきた中ですごく良い時期だなとも思う。ここで良い結果を残せるように頑張りたいと思いますし、イングランドという舞台で日本人の評価を上げるところは引き続きトライしていきたいなと思っています」
なでしこジャパンでも、「ワールドカップ(W杯)という舞台がある中で、活動の数は少ないと思うんですけど、その中でしっかりみんなで積み重ねていきたい」と前を見据える。
日本でのオフも残りわずか。「来週までに美味しいご飯を食べて、しっかり準備していけたらいいなと思います」と笑顔を見せた長谷川。その表情は穏やかだったが、視線の先には新シーズン、そして女子W杯がある。
その女子W杯で子どもたちへどんな姿を見せたいか問われると、長谷川はこう締めくくった。
「やっぱり応援してもらえるようなプレーをしたいですし、それには気持ちがこもったプレーをしなければいけないなと思っていて。こうやってサッカーをしたことで、この選手とやったんだっていうふうに思ってもらえるように、こんなすごい選手とやったんだと思ってもらえるようなプレーをできたらいいなと思います」
澤穂希ら先輩たちから受け継いだ思いを、次の世代へ。その一日は、長谷川唯が次の世代へ夢をつなぎながら、自らは世界一という結果を目指して歩み続ける現在地を映し出していた。
(取材・文:竹中愛美)
【著者プロフィール:竹中愛美】
1990年、北海道生まれ。Jリーグ開幕で世の中がサッカーブームに沸いていた幼少期、「入会したらヴェルディ川崎のボールペンがもらえる」の一言に釣られて地元のクラブでサッカーを始める。以降、サッカーの魅力に憑りつかれた日々を送ることに。ローカルテレビ局時代に選抜甲子園や平昌冬季五輪、北海道コンサドーレ札幌などを取材し、2025年よりカンゼンに所属。FWだったからか、この限られた文字数でも爪痕を残したいと目論むも狭いスペースの前に平伏す。ライターとして日々邁進中。
「応援したいと思ってもらえるチームに」なでしこジャパン、長谷川唯が日本代表から受けた刺激。澤穂希氏も女子W杯へ期待
「本当にできるのって日本だけだな」長谷川唯がなでしこジャパンで見据えるW杯「世界と戦えるチャンスは十分にある」【単独インタビュー】
女子W杯まであと1年。なでしこジャパン、宮澤ひなたの自己評価は「50点」。それでも「もっともっと進んでいきたい」理由【コラム】
【了】
