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北中米W杯にハーフタイムショーは必要だったのか? 本家NFLと比較して「足りなかった」部分。露呈したアメリカの“独善性”

text by 編集部 photo by Getty Images
ワールドカップ ハーフタイムショー
北中米W杯・決勝戦、ハーフタイムショーの模様【写真:Getty Images】



 2026 FIFAワールドカップ(北中米W杯)決勝で、史上初のハーフタイムショーが実施された。マドンナやBTSら豪華アーティストを揃え、スーパーボウル級の演出は確かに”成立”していた。だが問題はクオリティではない。3カ国共催の大会でありながら、そこにあったのはあくまで”アメリカ仕様”のエンターテインメントだった。

あらゆる“プロフェッショナル”が揃っていたが…

 北中米ワールドカップ決勝、スペイン対アルゼンチンの一戦で、大会史上初となる本格的なハーフタイムショーが行われた。

 マドンナ、BTS、ジャスティン・ビーバー、シャキーラ、バーナ・ボーイ、コールドプレイら世界的アーティストに加え、指揮者グスターボ・ドゥダメルがニューヨーク・フィルとベネズエラのシモン・ボリバル交響楽団を指揮するという、まさにスーパーボウル級の布陣だった。

 しかし開催前から批判は絶えなかった。当初30分と報じられた長さそのものが物議を醸し、結果的にパフォーマンスは約12分、ハーフタイム全体では約27分に及んだ。

 英ガーディアン紙は「W杯決勝にハーフタイムショーは必要なのか」と皮肉り、NBAファイナルやワールドシリーズにはこうした演出がないことを指摘した上で、サッカーがNFLと違うことこそ多くの米国人にとっての魅力だと論じた。
 
 多くのファンサポーターが見守る中、ファイナルの間に展開されたのは、結局のところ徹頭徹尾スーパーボウル仕様のエンターテイメントだった。12分という長さも、直近5回分の本家ハーフタイムショーと比較しても遜色なく、それらの過去公演も14分前後の尺に収められている(NFL公式YouTubeチャンネル参照)。



 北中米W杯のハーフタイムショーの製作総指揮にはイベント演出を専門とするDone and Dusted社が名を連ね、実績も技術も十分に備えたスタッフが裏方に揃っていた。同社は米アカデミー賞やiHeartRadio ミュージックアワードなどでイベントの企画・撮影を行ってきたプロフェッショナルである。

 実際、「ハーフタイムショー」としては成立していた。エンターテイメント大国の矜持も見えたが、それを対外的に魅せようとする努力は怠っていたように思われる。

 スーパーボウルはアメリカ国内のビッグイベントのため、対外的な折衝はほぼ必要ない。英国のバンドであるコールドプレイも本家ハーフタイムショーに出演経験があるが、ショーとしての基準はアメリカ人にある。

「W杯」において、そこを譲らなかったのが最大の敗因なのではないだろうか。試合前のクロージングセレモニーでは3か国開催でありながら、アメリカ合衆国国歌のみが歌われ、同じホスト国であるカナダとメキシコの存在感は極めて薄かった。

 ハーフタイムショーではジャスティン・ビーバーの登場によってようやくカナダの要素が追加されたが、あれだけ多くのアーティストが登場しながら最後までメキシコ人のミュージシャンは姿を見せなかった。

せめてW杯仕様の…

W杯決勝ハーフタイムショー
ハーフタイムショーに登場したマドンナ【写真:Getty Images】


 恐らく理由は知名度ではない。メキシコ人ラッパーのナタナエル・カノやペソ・プルマなどは国際的に知られており、米国内のビルボードホット100にランクインした実績もある。選択肢は豊富にあっただろう。

 この文脈的な正当性がいかに重要かについては、まさにハーフタイムショーからもヒントを得られたはずだ。2026年7月現在、NFLの公式YouTubeチャンネルにおいてぶっちぎりの再生数を誇るのが、第56回NFLスーパーボウルのハーフタイムショーである。

 ドクター・ドレー、スヌープ・ドッグ、メアリー・J.ブライジ、ケンドリック・ラマー、エミネム、さらにはサプライズ・ゲストの50セントとアンダーソン・パークが登場したショーは、“ウエストコースト・ヒップホップ”が重要なモチーフだった。

 同大会の開催地がロサンゼルスのSoFiスタジアムだったこともあり、まさに地元のパワーを前面に押し出したパフォーマンスが展開された。実際、上述のアーティストの半数以上がカリフォルニア出身である。



 その結果、当日のライブ映像は今日までに4億再生を突破。その“地縁”を今大会で少しでも大事にしていれば、多少は異なる見方になったかもしれない。北中米W杯のアメリカはドナルド・トランプ大統領のレッドカード取り消し介入をはじめ、様々な面で世界の注目を集めた。

 ホスト国でありながらひたすら独善性をさらしてしまったが、強みのはずのハーフタイムショーでも挽回するどころか、むしろまたケチが付いてしまったと言って差し支えないだろう。

 開催するにしても、せめて「W杯仕様」のパフォーマンスが見たかった。

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