UEFA【写真:Getty Images】
欧州サッカー連盟(UEFA)に加盟する全55協会が、国際サッカー連盟(FIFA)がワールドカップ(W杯)関連事業への民間資本導入計画を進めた場合、FIFA主催大会をボイコットする方針で合意した。英紙『ガーディアン』が現地時間30日に報じている。
“W杯事業売却”撤回まで不参加
今回の決定は、同日に行われた約2時間の緊急会議で下された。資金面でFIFA案を支持する小規模協会が出る可能性も指摘されていたが、55協会は計画を全会一致で拒否。UEFAは、計画が存続する限り、欧州の代表チームをFIFA主催大会へ参加させない方針を示した。FIFAが構想を全面撤回し、今後も統治や大会を民間所有に開放しないとの拘束力ある保証を示すことが、ボイコット解除の条件となる。
発端となったのは、FIFAが新会社「FIFA Forward Enterprise(FFE)」を設立し、男子・女子W杯やクラブW杯などの商業権を集約する構想だ。新会社の企業価値を約200億ドルと見積もり、外部投資家に約20%の少数株式を売却。最大42億ドルを調達し、加盟211協会への開発資金を増額する計画だった。FIFAは競技運営や国際日程の決定権を維持すると説明している。
なお、英紙『フィナンシャル・タイムズ』によると、FIFAは米金融大手JPモルガンと計画を進め、投資ファンド「Thrive Eternal」と投資主導に向けた協議を行っている。この同ファンドを立ち上げたジョシュア・クシュナー氏は、ドナルド・トランプ大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏の弟だ。
各協会には、計画に基づく最大2000万ドルの初回資金を申請するか、9月19日までに判断するよう求められていた。UEFAは、この期限設定を事実上の圧力と捉え、資金を使って支持を取り付けようとしていると批判。投資家が将来的に大会形式、開催頻度、開催地などへ影響力を持つことや、利益を得る人物が不透明である点も問題視してきた。
最初に影響を受ける可能性があるのは、9月5日にポーランドで開幕予定のU-20女子W杯だ。同大会にはイングランドを含む欧州勢6チームが出場予定。シニアカテゴリーでは2027年女子W杯が最初の対象となる見通しで、計画が撤回されなければ、将来の男子W杯を含むすべてのFIFA大会へ不参加となる可能性がある。
UEFAは今週中にもFIFAへ正式な通知を送る予定で、他の大陸連盟にも同調を呼びかける。北中米カリブ海サッカー連盟(Concacaf)も計画を全会一致で拒否したが、現時点ではボイコットまでは表明していない。アジアでもFIFA案に反対する協会があるとされ、欧州以外へ動きが広がるかが焦点となる。
UEFAは単なる商業条件への反対ではなく、W杯やサッカーの統治を民間投資家の利益に結び付けること自体を問題視している。FIFAが計画を強行すれば、世界最高峰の代表大会から欧州勢が一斉に姿を消す異例の事態に発展しかねない。
【関連記事】
W杯の48ヵ国開催を続けるべきか。やはり出場国が多すぎる? 拡大で見えた限界と弊害
北中米W杯ベストイレブン! 優勝したスペイン代表から4人! 大舞台で輝いた世界最高の11人
全然ダメ….。北中米W杯で期待を裏切った国10選
【了】
