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「ほんまに這い上がるしかない」ジェフ千葉、松村拓実に漂うブレイクの予感。熾烈な競争を勝ち抜くうえでの「生き残っていく道」とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 石田達也 フリーライター photo by Getty Images
ジェフユナイテッド千葉 松村拓実
ジェフユナイテッド千葉 松村拓実【写真:Getty Images】



 想定外のシステム変更の中で、松村拓実が存在感を示した。柏レイソルとのちばぎんカップでは慣れないシャドーを任されると、背後への抜け出しやチャンスメイクで攻撃面に持ち味を発揮。得点こそなかったものの、J1で戦うための可能性を示した。一方で、プロで生き残るための課題も痛感。熾烈なポジション争いに挑む22歳が、さらなる飛躍へ向けた第一歩を踏み出した。(取材・文:石田達也)[1/2ページ]

「移籍の問題もあって…」

ジェフユナイテッド千葉・小林慶行監督
ジェフユナイテッド千葉・小林慶行監督【写真:Getty Images】


 蹴夏到来――。

 Jリーグのシーズン移行に伴い、春の風物詩が夏の風物詩へと姿を変えたちばぎんカップ。

 今年で2回目となる一戦が8月1日にフクダ電子アリーナで行われ、ジェフユナイテッド市原・千葉は柏レイソルと対戦した。試合は90分間で決着がつかず、PK戦の末に4-5で敗れた。

 千葉は、これまでの[4-4-2]ではなく[3-4-2-1]の布陣。最終ラインの3枚にはダニエル・ホール、鳥海晃司、河野貴志の本職のセンターバックが並び立った。

 その理由について小林慶行監督は「自分が千葉に来てから初めてだったと思う」と話し、「ケガ人やコンディション不良、あるいは移籍の問題もあってサイドバック(SB)の選手が、まったくいなくなってしまったことがありました。

 先週のトレーニングマッチ後にはしっかりとトレーニングできるSBが(いなかった)というところでの1週間の準備という背景があった」ことを明かした。

 一番の要因は、先月28日に右サイドバックの髙橋壱晟がヴィッセル神戸へ完全移籍したことだ。小林監督によって2023シーズン途中に中盤からSBにコンバートされると、不動のレギュラーとしてピッチに立ち続け、チームの屋台骨を支えてきた。

 前線の形も1トップ2シャドーとなる中で、右シャドーで先発した松村拓実が気を吐いた。

松村拓実が示した可能性と課題

横浜F・マリノス 木村卓斗
ジェフユナイテッド千葉 松村拓実【写真:Getty Images】


 これまでシャドーでのプレー経験はなく、今キャンプでも2トップ、トップ下でプレーしていたが「正直、3バックは、今週からというか、全然予定してなかったことでした。試合に出る準備はしていましたが、監督がスタメンで使ってくれたので“やってやろう”という気持ちで臨みました」と話した。

 キャンプから積み上げてきたものが評価をされて、スタメンの座を勝ち取った。松村は確実に歩みを進めている。

「自分の成長ですし、そういう積み重ねもあって、今日は自信を持ってプレーすることができました」

 開始5分、右サイドでダニエル・ホールとワンツーから相手の背後へ抜け出す。その後のプレーでゴール前に入った松村がクサビ役となってボールを落とし、チャンスを創出。上手く幅を取り、絶妙なタイミングで抜け出していった。

「エリソンに相手のマークが行くことは分かっていたので、『その裏を狙っていけ』と言われていました。自分が落として誰か来てくれるかなと思ったんですけど、自分で打っても良かったかなと思います」

 また後ろからのロングボールに対し、相手と競り合いながらも収め、セカンドボールを回収し前に出て行く。J1の舞台で戦うために俺はここにいる、そんな気持ちのこもったプレーを見せた。   

 時間の経過と共にじわじわと柏にボールを握る時間が増えるなか、51分には松村が絶妙なスルーパスをエリソンに送り、相手GKと1対1の場面を作ったが、惜しくも得点には至らなかった。

 エリソンが途中交代となりピッチを退くと松村が1トップに移行。「相手CBの古賀(太陽)選手と競り合おうと思いましたが、跳ね返されたところもありました。ああいうとこでしっかり体を当てて収めないと、1トップは務まらないのかなと思います」と、課題に目を向ける。

「ボールを受けるまでの…

ジェフユナイテッド千葉 松村拓実
ジェフユナイテッド千葉 松村拓実【写真:Getty Images】


 その後も柏に主導権を握られながらも千葉は最後の部分で体を張ると、時計の針が進みスコアレスで試合終了の笛が鳴った。

 急造3バックで、無失点に抑えたことについて指揮官は「選手たちは、よくやってくれたと感じています」と労いの言葉をかけると、松村は「想定していたよりも、やっぱり持たれすぎました。その中で0対0で守り切れたというのは90分間で大きな収穫かなと思っています」と評価した。

 松村は2026年に拓殖大学から加入。背後へのランニングと両足での力強いシュートを武器に、2025年関東大学サッカーリーグ戦2部では19得点&7アシストで得点王とアシスト王に輝くなど、攻撃のキーマンとして活躍した。

 明治安田J1百年構想リーグでは7試合に出場したものの、FWとしては悔しさが残るノーゴールで終わっていた。

「自分が点を決めるという気持ちで毎試合挑んでいますが、シュートまで行く難しさがあります」と、隙を与えてくれないプロの壁を実感する一方で、「自分がボールを受けて前を向いたときは結構やれるなと思っていて、ボールを受けるまでの過程が課題。オフ・ザ・ボールで、もっと相手を剥がして、自分が余裕を持ってボールを受けられたときは持ち味が出せると思う」と、ここまでの手応えを口にする。

 この日、シュート数はゼロに終わったが、ひと皮むけて確変する雰囲気が漂う。

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