
今年3月のAFC女子アジアカップで優勝したなでしこジャパン【写真:Getty Images】
日本サッカー協会(JFA)は8月14日、東京都内で「JFAみらい会議―女子サッカーの成長へ―」を開催し、2026年から2031年を対象とするJFAの成長戦略のうちのひとつである「女子サッカーの拡大」の実現に向けた「女子全体戦略」を発表した。掲げた目標は、主要国際大会での優勝、女子サッカー関連人口の倍増、そしてブランド価値向上の3つ。なでしこジャパンの強化だけにとどまらない、女子サッカー界全体の成長を目指す5年間の構想が示された。(取材・文:竹中愛美)[2/2ページ]
「投資」から「価値を生む」へ。宮本恒靖会長が描く好循環

「JFAみらい会議―女子サッカーの成長へ―」に登壇したJFA会長の宮本恒靖氏【写真:編集部】
JFAは、女子サッカーの商業的な価値を高め、投資が再び女子サッカーへ還元される市場をつくることを目指している。海外では、女子サッカーへの投資が進み、観客やファンの増加、リーグの成長、スポンサー価値の向上へとつながっている。
平井氏はイングランドの関係者から、「女子サッカーは、10年は投資と思ってやってきていますと。そして、今その価値がようやく収入につながるフェーズに入ってきた」と聞いたという。
日本も現在は「投資フェーズ」にある。だからこそ、商業的な価値を高め、そこで得た収入を再び育成や環境整備へ投資する循環を2031年までにつくる。
宮本会長は、U-18女子プレミアリーグについても、全国リーグの運営には遠征費や宿泊費など多くのコストがかかると説明したうえで、こう語った。
「サッカーの社会的な価値を上げることで商業的な価値を高めることに繋がって、収入を増やしたい。増えた収入をしっかりとそういうところに施策として投資していく」
つまり、選手が増える。競技力が上がる。代表やリーグで活躍する選手が生まれる。憧れが生まれ、観客やファンが増える。そこから新たな価値が生まれ、得られた収入を再び育成や環境に投資する。
今回の戦略が描いているのは、こうした好循環だ。
その先にあるのは、単に「女子サッカーが盛んになった日本」ではない。
宮間氏はイベント後の取材で、急速に変化する女子サッカーについてこのように語った。
「日本で女子サッカーが動き始めたとか、動いたと思ったのは間違いなくきょうです。きょう皆さんがこれだけ集まってくださって、本気なんだなというのが本当に皆さんにも伝えられたと思いますし、本当にここからだなっていうふうに思えた」
JFAが2031年までに描くのは、「近所の女の子が当たり前にボールを蹴っている。憧れの選手がいる。そして、新聞テレビ雑誌で女子サッカーの選手が取り扱われている。企業の広告に女子サッカー選手が使われている」世界だという。
競技力だけでも、登録者数だけでもない。する人、支える人、みる人を増やし、そこで生まれた価値を再び女子サッカーへ投資する。その循環を5年間でつくる。
「覚悟を胸に、ともに挑む。次のステージへ」
8月14日に示されたのは、なでしこジャパンを再び世界一にするためだけの戦略ではない。日本で女子サッカーが「選べるもの」から「当たり前のもの」へ変わっていくための、2031年までの道筋そのものだった。
(取材・文:竹中愛美)
【著者プロフィール:竹中愛美】
1990年、北海道生まれ。Jリーグ開幕で世の中がサッカーブームに沸いていた幼少期、「入会したらヴェルディ川崎のボールペンがもらえる」の一言に釣られて地元のクラブでサッカーを始める。以降、サッカーの魅力に憑りつかれた日々を送ることに。ローカルテレビ局時代に選抜甲子園や平昌冬季五輪、北海道コンサドーレ札幌などを取材し、2025年よりカンゼンに所属。FWだったからか、この限られた文字数でも爪痕を残したいと目論むも狭いスペースの前に平伏す。ライターとして日々邁進中。
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