
バルセロナに加入したロドリ【写真:Getty Images】
マンチェスター・シティで長く中盤の核を担ってきたロドリが、バルセロナに加入した。試合の流れを読み、攻守のバランスを整えるスペイン代表MFの加入は、ハンジ・フリック率いるチームに何をもたらすのか。すでに多彩なタレントが揃う中盤の顔ぶれと、それぞれの役割から、新シーズンのバルセロナを展望する。(文・金山悠吾)[2/2ページ]
W杯で示した「相手に何もさせない」価値

スペイン代表 ロドリ【写真:Getty Images】
ロドリは立ち位置によって中央の危険なスペースを管理し、攻撃の背後を支えることができる。
2026 FIFAワールドカップのフランスとの準決勝を見た人なら、それは簡単に理解できるだろう。ロドリは中盤の要所を押さえ続け、フランスが前進するためのスペースを消し、危険な攻撃へ発展する前に何度もその芽を摘んだ。
派手なゴールやアシストがなくても、彼が中央にいるだけで相手がそこで選べるプレーは少なくなる。あの試合は、なぜロドリがフリックのバルセロナにこれほど適しているのかを象徴するような90分だった。
彼の影響力は、ボールを持っているときだけに表れるものではない。相手に何をさせないかという部分にもある。ロドリが後方の基準点となれば、周囲の選手はこれまで以上に自分の特徴を前面に出しやすくなるはずだ。
その恩恵を最も受けるのは、やはりペドリだろう。これまではゲームを組み立てるために低い位置まで下りる場面も少なくなかったが、ロドリが後方を支えれば、より自由に攻撃へ関われる。
今季は、ペドリならではの創造性がゴールに直結する場面を、これまで以上に多く見られるかもしれない。
ロドリ加入で生まれる「贅沢な悩み」

バルセロナ ロドリ【写真:Getty Images】
一方で、選択肢が増えることは、全員にとって歓迎すべきこととは限らない。特に、将来のアンカーとして期待されるベルナルにとって、ロドリは最高の教材であると同時に、出場時間を奪う最も高い壁でもある。
フリック体制初のリーガ開幕戦に先発し、将来を嘱望されていたカサドには今夏の退団報道もある。負傷明けのデ・ヨングやガビを含めた豪華な中盤をどう使い分けるかは、フリックにとって新たな仕事になる。
メトロノームは、自ら音楽を奏でるわけではない。ただ一定のリズムを刻むことで、周囲の奏者がそれぞれの音を出すための基準を作る。
ヤマルが仕掛け、ペドリが創造し、オルモやフェルミンがゴールへ向かう。その背後でロドリが時間と空間を整える。
「The master of space and time」。加入発表で使われたその言葉が単なる宣伝文句だったのかどうかは、これから分かる。
ただ、フリックの大胆さを損なうことなく、そこに安定感を与えられる選手として、ロドリほど適した存在もそう多くはない。危うさを魅力に変えてきたバルセロナは、そのスタイルを保ったまま、もう少しだけ安心して前へ出られるチームになるかもしれない。
(文:金山悠吾)
【著者プロフィール:金山悠吾】
2001年生まれ、神奈川県出身。2026年よりフットボールチャンネル編集部に所属。3歳のころにYS横浜のサッカースクールでサッカーを始めるも、幼少期から「やるより見る派」。2006 FIFAワールドカップの録画を何度も繰り返し見て育つ。2010/11シーズンをきっかけにバルセロナに魂を奪われ、以来、ラ・リーガを中心に海外サッカーを追いかけ続けている。愛読書はサイモン・クーパーの『サッカーの敵』。フットボールの尽きない魅力に惹かれながら、日々勉強中。
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