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コラム 4時間前

4度の得点王でも過小評価… “ラツィオの王”インモービレ現役引退。挫折を越えて築いた栄光の軌跡【コラム】

SSラツィオ チーロ・インモービレ
SSラツィオ チーロ・インモービレ【写真:Getty Images】



 セリエAで4度の得点王に輝き、ラツィオではクラブ最多207ゴールを刻んだチーロ・インモービレが現役を引退した。一方で、その実績に見合う評価を受けてきたとは言い難い。デル・ピエーロに憧れた少年は、いかにして“ラツィオの王”となったのか。その軌跡を振り返る。(文・佐藤徳和)[2/2ページ]

ラツィオで“王”に。 
4度の得点王、1シーズン最多得点記録、そしてクラブ最多207ゴール

SSラツィオ チーロ・インモービレ
SSラツィオ チーロ・インモービレ【写真:Getty Images】


 そして、2016年夏、SSラツィオへの移籍となる。首都ローマではいきなりラツィアーレのハートを鷲掴みした。16/17シーズンに23ゴールを決めると翌シーズンはインテルのマウロ・イカルディと並び29得点を挙げて2度目の得点王となる。

 そして20代最後で迎えた4年目の19/20シーズン、大記録を打ち立てる。37試合で36得点を挙げ、3度目のセリエA得点王となるだけでなく、欧州主要リーグのシーズン最多得点者としてゴールデンシューを獲得。

 4年前にゴンサーロ・イグアイン(SSCナポリ)が記録した、セリエAが現在の1リーグ制となって以降の1シーズン最多得点記録に並んだ。21/22シーズンも4度目の得点王となる27ゴールをマークしている。インモービレは、ラツィアーレにとっての新しい王となった。

 SSラツィオでは、退団する2024年夏までにリーグ戦で169ゴール、公式戦通算207ゴールを挙げており、いずれもSSラツィオの最多記録だ。

 また、宿敵ASローマにとっても、厄介な存在であった。ローマ・ダービー通算6ゴールは、SSラツィオに限れば、第二次大戦前から大戦後にかけて活躍したシルヴィオ・ピオーラの7ゴールに次ぐ数である。

 セリエAでは201ゴールを決めて、ロベルト・バッジョに次ぐ8位であるが、1試合あたりのゴール平均では、0.56で、バッジョの0.45を大きく上回る。活躍の場を国外に求めず、イタリア国内でもっとプレーしていれば、ゴール数はさらに伸びていたはずだ。

インモービレは「内弁慶」だったのか?

イタリア代表 チーロ・インモービレ
イタリア代表でのEURO 2020優勝を祝うチーロ・インモービレ【写真:Getty Images】


 インモービレには、海外で活躍できない内弁慶だったという評価がある。だが、SSラツィオを退団した後にプレーしたトルコのベシクタシュJKではリーグ戦15ゴールを挙げた。

 代表でも、クラブほどのインパクトを残すことはできなかったが、ユーロ2020では、6試合に出場して、2ゴールを決め、優勝に貢献した。アッズーリでは、通算17ゴールをマークしている。SSラツィオでゴールを量産したように、代表でもインモービレが得点しやすいようなやり方が敷かれていたら、もっとゴール数は増えていただろう。

 インモービレを評価する往年のストライカーは少なくない。SSラツィオOBのクリスティアン・ヴィエーリは、YouTubeの自らの番組『Bobo TV』で2023年4月にこのように語っている。

「いつでもイタリア代表に呼ばれ、先発で出場するべきだと言えるのはインモービレだけだ」

 同年11月には「インモービレは身体の状態が良ければ、いつだってゴールを決める選手だ」とも話した。

 また、セリエA、セリエB、セリエC1と3つのカテゴリーで得点王となったダーリオ・ウブネルは、2024年12月の『Calciotime.it』によるInstagramライブで、「イタリア史上最高のストライカー5人」を挙げ、その中にインモービレを入れている。
 
 インテリスタであったウブネルは、フィリッポ・インザーギ、アレッサンドロ・アルトベッリ、ロベルト・ベッテガに続き、インモービレを4位に入れ、「近年、チーロは本当に素晴らしい活躍をしている」と称していた。

過小評価されたストライカー。いつの日か再びラツィオへ

SSラツィオ チーロ・インモービレ
SSラツィオ チーロ・インモービレ【写真:Getty Images】


 現役時代のインモービレに対する評価は、辛辣なものが少なくなかった。過小評価されていた一人であったと言わざるを得ない。とりわけ、ビアンコチェレステ(SSラツィオの愛称)で見せたパフォーマンスを振り返れば、彼が残した功績はもっと高く評価されてしかるべきだろう。

 今年7月、SSラツィオ専門サイト『Noi Biancocelesti』でインモービレがインタビューに応じていた。

「いつの日か、どんな立場であれ、サッカー選手としてではなく、クラブとファンのために何かをしたいと思っている」

 その日がいつ訪れるのかは、まだわからない。今は愛する家族と穏やかな時間を過ごしながら、長きに渡る現役生活の疲れを癒やし、次なる人生に向けて英気を養っていることだろう。再び歩み始めるために。

(文・佐藤徳和)

【著者プロフィール:佐藤徳和】
1998年にローマでの語学留学中に、地元のアマチュアクラブ「ロムーレア」の練習に参加。帰国後、『ポケットプログレッシブ伊和・和伊辞典』(小学館)の制作に参加し、イタリア語学習書などの編集、校正、執筆に携わる。2007年から、フリーランスとして活動し、主にイタリア・サッカー記事のライティングに従事。2014年には、FC東京でイタリア人臨時GKコーチの通訳を務める。IL ROMANISTA、日本特派員。『使えるイタリア語単語3700』(ベレ出版)、『イタリア語基本の500単語』(語研)を共同執筆。日伊協会では、カルチョの記事を読む講座を開講中。X:@noricazuccuru

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