
リールでプレーする上田綺世【写真:Getty Images】
今夏に活躍の場をフランスに移した上田綺世。現地時間9月8日のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)のベティス戦でも先制点を挙げたが、チームは2度リードしながら2-3で逆転負けを喫した。現地メディアの採点は総じて上々ながら、タッチ数の少なさが示す”孤立”も浮き彫りに。鹿島アントラーズ時代を振り返り、リールでの関わり方の変化を占う。
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レッドカードの影響は大きかったが…
リール移籍後の上田綺世は、開幕から結果を出し続けている。加入4日目のトゥールーズ戦では途中出場から決勝点、現地時間9月8日のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)開幕節のベティス戦でも11分に先制点を叩き込んだ。
それでも、CL初戦に臨んだチームは2度リードしながら2-3の逆転負けを喫している。上田は結果を残しているものの、彼自身も、そしてリールというチームそのものも、まだ発展途上の段階にあると言っていいだろう。
エタン・エムバペへのレッドカードはゲームの内容に響いたが、リールは同選手がピッチにいた前半から攻め込まれている。ハーフタイムを迎えるまでに、シュート本数で5対12と大きく差がついていた。
現地メディアによる上田への採点はおおむねポジティブだが、若干評価が分かれている。
『Get French Football News』はナビル・ベンタレブに並ぶチーム最高の6点を与え、「この日本代表が1試合平均1ゴールというペースで得点を重ね続けるなら、今シーズンはオリヴィエ・ジルーの出場機会は少なくなるかもしれない」と踏み込んだ評価まで下した。
リール専門メディア『Le Petit Lillois』も「チームの新たな得点源」と称え、ファーポストへの動き出しやシュートの質を評価し、チーム単独トップの5.5点を与えている。
一方『433foot.fr』はやや辛口の5点にとどめ、「なかなかボールが来ず、孤立していた」と指摘している。こちらではベンタレブやロマン・プローが最高評価の「6」をもらっており、5点はそれに次ぐ立ち位置である。
今こそ振り返る鹿島アントラーズ時代
この指摘には数字の裏付けもある。上田がピッチを退いた77分までのタッチ数はわずか「14」。同じくこの試合で1ゴールを記録したベティスのセンターフォワード(CF)トロイ・パロットの「34」と比べると、その差は歴然だ。
ゴールという結果を出しながら、試合を通じてボールに触れる機会が極端に少なかったことになる。チャンスが少ないながらも、上田は相手MFマルク・ロカのファウルを誘発してイエローカードを引き出すなど個人で奮闘していたが、本格的な連係強化はこれからだ。
そこで参照したいのが、鹿島アントラーズ時代の上田である。2020シーズンにエヴェラウドとの2トップを組んだ際には、J1リーグにおける上田の90分あたりのタッチ数は40.27(出典:データサイト『FotMob』)を記録していた。
エールディビジ得点王に輝いたフェイエノールト時代(2025/26シーズン)の30.06と比べると、その差は10回以上にのぼる。
ヨーロッパでの上田はゴール前で仕事をする「ボックスストライカー」のイメージが強いが、本来は組み立てにも積極的に関与し、味方を活かすチャンスメイカーとしての資質を併せ持つ選手である。鹿島時代の数字からもその事実がうかがえる。
エヴェラウドが控えに回ってからは鹿島でもフィニッシャーとして主軸を担っていたが、2022シーズンのJ1で2トップを組んだ鈴木優磨とは役割を補完しあっていた。『433foot.fr』が指摘する課題は確かに現状存在するが、Jリーグでの活躍を振り返ると間もなく越えられるハードルに感じられる。
そして上田までボールがつながらない問題は彼ひとりによって解決できるものではなく、今回のベティス戦のようにベンタレブがベンチへ下がったときにボールの配球役が不在となる懸念はある。同選手は2024年6月に心停止を起こした過去があり、無理はさせられないだろう。
そうした課題を踏まえ、ダヴィデ・アンチェロッティ監督が上田をどう組み込み、周囲との関係性をどう設計していくかも、今後注目すべき点だ。
CLでの次なる相手は、昨季プレミアリーグの覇者・アーセナル。強豪相手の難しいゲームだが、敵地エミレーツ・スタジアムに乗り込むまでに約1か月の猶予がある。リールと上田は、どこまで積み上げられるか。
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