
アストン・ヴィラ、補強診断【写真:Getty Images】
今夏のプレミアリーグで最も移籍市場での出入りが多かったのがアストン・ヴィラだ。主力の大量流出があった中でも有望株を確保した。昨夏はほとんど動かなかった中で、今夏の激動とも言える補強には、どのような意図があり、チームの課題を解決するものだったのだろうか。「獲得」「放出」「計画性」「バランス」「コスパ」の5項目を各20点、計100点満点で採点する。(文:安洋一郎)[1/2ページ]
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「世代交代」の意図が強かった放出

今季移籍したモーガン・ロジャーズとユーリ・ティーレマンス【写真:Getty Images】
今夏のアストン・ヴィラは「放出」の印象が強いだろう。
昨季UEFAヨーロッパリーグ(EL)を制したメンバーからは、MFモーガン・ロジャーズ(→チェルシー)、DFエズリ・コンサ(→アーセナル)、FWオリー・ワトキンス(→アル・ヒラル)、MFユーリ・ティーレマンス(→マンチェスター・ユナイテッド)、GKエミリアーノ・マルティネス(→チェルシー)、DFルカ・ディニュ(→PSG)、FWレオン・ベイリー(→オリンピアコス)がチームを去った。
ベイリー以外は絶対的なレギュラーを務めていた選手であり、その穴が大きいのは間違いない。
彼らの「放出」に踏み切った理由の一つが世代交代だ。アストン・ヴィラは2020/21シーズンから2025/26シーズンにかけて最も戦力が変わらなかったプレミアリーグのクラブだった。
5年もの月日が経てばスカッドの平均年齢が上がるのは必然的で、優勝したEL決勝のスタメンの平均年齢は30歳。昨季はフラムと並んでリーグ最年長のチームだった。
実際に放出した上記の7人の平均年齢は29.3歳。後に詳細を綴るが、獲得した選手の平均年齢は23.6歳であり、明確に「世代交代」を図るための移籍市場となった。
放出した選手で最年少のロジャーズは、チェルシーに英国人史上最高額となる1億1700万ポンド(約234億円)で移籍。契約が残り2年に迫っていた29歳のコンサと30歳のワトキンスはそれぞれ約5000万ポンド(約100億円)で移籍と、年齢と契約年数を考慮すると、可能な限りの移籍金は回収できたと捉えても良いだろう。
将来有望な若手選手を多数

今季加入した鈴木彩艶【写真:Getty Images】
先述した通り、獲得した選手の平均年齢は23.6歳と大規模な若返りを図った。
最高額となる6000万ユーロ(約111億円)で獲得したスイス代表MFヨハン・マンザンビは、FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)で活躍した20歳。パリ・サンジェルマンから5500万ユーロ(約101億円)で獲得したセネガル代表FWイブラヒム・エンバイェは18歳と、将来が有望視される逸材を争奪戦の末に制している。
今夏はW杯が開催された影響と、クラブとして放出を先に進めなければいけなかったこともあり、全体的にプレシーズンの後半に獲得が相次いだ。プレシーズンマッチに出場できたのはMFジョアン・ゴメスとFWアレハンドロ・ガルナチョ、昨夏の時点で獲得が決まっていたDFモドゥ・ケバ・シセの3名のみであり、それ以外の8名がぶっつけ本番でシーズンに臨んでいる。
ウナイ・エメリは規律を重要視する監督であり、過去の例を見ても新加入選手の適応に時間をかける。2023年夏に加入したティーレマンスがプレミアリーグで初先発を飾ったのは、開幕から4カ月目の11月だった。
GKの鈴木彩艶はエミ・マルティネス退団に伴う正GKだったこともあって、第2節から先発に定着した。早くもエメリが求めるフィールドプレイヤーの一員としてビルドアップに参加しており、味方選手の動き出しや対戦相手に合わせて長短のパスを蹴り分けながら組み立てに貢献している。
ワトキンスの11番を継承する形でチェルシーから加入したニコラス・ジャクソンは、エメリのビジャレアル時代の教え子ということもあって、早くもチームに馴染んでいる。
それ以外のマーケット後半に加入した選手は、じっくりとチームに馴染ませる予定であり、9月から10月にかけて行われる代表ウィーク期間中のスペイン合宿で本格的に適応を進めることが予想される。