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サッカー日本代表、逆転勝利でも残る「ターンオーバー」への疑問。先発10人変更は、新戦力を本当に生かせたか?

text by 編集部 photo by 田中伸弥
サッカー日本代表
ベネズエラ代表と対戦したサッカー日本代表【写真:田中伸弥】



 ベネズエラ代表に2-1で逆転勝利した日本代表。先発を10人変更して臨んだ前半は、若い前線が個々の持ち味を見せながらも、得点には結びつけられなかった。後半は途中出場の上田綺世が2ゴール。ただ、その違いを個人の能力差だけで説明できるのか。周囲の顔ぶれも大きく変わった一戦から、新戦力の起用と評価のあり方を考える。



持ち味は見せた前線3人

 サッカー日本代表は9月28日、エディオンピースウイング広島で行われたキリンチャレンジカップ2026でベネズエラ代表と対戦し、2-1の逆転勝利を収めた。

 前半を0-0で終え、後半開始直後に先制されたが、途中出場の上田綺世が49分に同点ゴール。後半アディショナルタイムにはPKで決勝点を挙げた。

 森保一監督は、4日前のウルグアイ戦から瀬古歩夢を除く先発10人を変更。小久保玲央ブライアン、中野就斗、熊坂光希、齋藤俊輔の4人が国際Aマッチ初出場を果たした。布陣は基本の【3-4-2-1】で、ワントップに後藤啓介、2シャドーに佐藤龍之介と齋藤が入った。

 4分には後藤のパスを受けた齋藤が左サイドからカットインし、シュートを放った。相手にブロックされたものの、コーナーキックを獲得。齋藤はプレースキックでも鋭いクロスを供給し、持ち味を見せた。データサイト『FotMob』によると、デュエルは4回のうち3回に勝利し、チャンスメイクも2回記録している。

 ただ、開始早々にアクシデントも起きた。熊坂が負傷し、8分に田中聡と交代。日本は中盤の組み合わせを早い段階で変更することになった。

 佐藤も10分に中野との連係から右サイドのポケットへ進入し、グラウンダーのクロスを送った。しかし、マイナス方向への折り返しに合わせる味方はおらず、ベネズエラの選手にカットされる。

 21分には田中聡のボール奪取から佐藤にボールが渡り、持ち前の推進力を発揮できそうな場面があった。しかし、前進を支える味方の動きが乏しく、ボールを後方へ戻した。その後もライン間で受ける場面は見られたが、決定機の創出にはつながらなかった。

 それぞれが持ち味を示す場面はあったものの、周囲との連係を通じてゴールへ迫るところまでは至らなかった。前線の3人は前半限りで交代し、不完全燃焼の印象が残る。

 ただ、その出来を個人の能力だけに帰することはできない。組み合わせや、互いの動きを共有する時間が十分だったかも含めて考える必要がある。



上田と後藤、周囲の条件も異なっていた

 後藤に代わって入った上田は、2ゴールを挙げただけでなく、タッチ数やポストプレーでも背番号「9」を上回った。

 ただし、その差をそのまま2人の能力差と捉えることはできない。上田とともに後半開始から投入されたのは、鈴木彩艶、伊東純也、久保建英、田中碧。周囲の顔ぶれも大きく変わっていたからだ。

 代表で経験を重ねてきた選手たちは、個々の質に加え、互いの特徴を理解している強みも示した。その後には堂安律や中村敬斗も投入されている。後藤、佐藤、齋藤がプレーした前半とは、連係を支える条件が異なっていた。

 後藤と佐藤は、この試合前までの国際Aマッチ出場がそれぞれ5試合。齋藤は今回が初出場だった。代表経験の少ない3人で前線を組んだことが、互いの持ち味を引き出す難しさにつながった可能性はある。

 もっとも、森保監督は試合前から、経験の浅い選手を先発させ、強度の高い相手に何ができるかを試し、成長につなげたいという意図を説明していた。難しい条件の中でプレーする経験そのものにも、意味はある。

 新しい選手を試すことは、選手層を厚くするうえで欠かせない。初出場の選手を含め、多くの選手が国際Aマッチの強度を体感したことは、今回の起用で得られたものだ。

 一方で、選手個々の適性や、既存のチームに加わった際の力を見極めるのであれば、常連組の中に新戦力を段階的に組み込む方法も考えられる。先発を大幅に入れ替えた場合、個人の課題と組み合わせによって生じる問題を切り分けることは難しくなる。

 前半限りで退いた3人にも、周囲の組み合わせを変えた中で持ち味を示す機会があってよかったのではないか。後藤と齋藤はこのあとの2試合でもチャンスが舞い込む可能性があるかもしれないが、佐藤はクラブ事情により途中離脱が決まっている。

 経験を与えることと、力を引き出して評価すること。その両方を、この大幅なターンオーバーでどこまで実現できたのか。逆転勝利の一方で、新戦力の生かし方には検証すべき点が残った。

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【了】

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