
U-21日本代表の大関友翔【写真:Getty Images】
U-21日本代表はアジア競技大会準決勝でウズベキスタン代表と対戦し、1-1からPK戦の末に勝利した。決勝進出という結果を手にした一方で、その内容からは大岩ジャパンが今後解決すべき課題も浮かび上がった。
良くも悪くも、大関友翔のチーム
良くも悪くも、アジア大会を戦う大岩ジャパンは大関友翔のチームである。
日本は準々決勝の北朝鮮戦から先発11人全員を入れ替える大胆なターンオーバーを敢行した。しかし、前半の攻撃は低調だった。全体的に縦へ急ぎすぎる場面が多く、ボールを落ち着かせながら相手を動かし、前進していくことができなかった。
古谷柊介や石井久継にもボールロストは多かったが、特に見ていて悩ましかったのが中盤の底だ。
アンカーに入った保田堅心は、なかなかボールを受けることができなかった。受けられたとしても、そこから相手を動かしながら効果的にゲームを組み立てられたとは言い難い。前方の選手たちも早く縦へ向かうため、保田がボールを受けた時点で次のパスコースが限られ、攻撃が一本調子になっていた。
保田が自らドリブルで持ち運ぶ場面もあった。ただ、それもチームとして意図的に空けたスペースへ運ぶというより、パスの出しどころが見つからない中でのアドリブに見えるシーンがあった。
そこで際立ったのが、大関の存在である。
大関がやっていること自体は、インサイドハーフとして特別な動きではない。必要に応じてアンカーの横まで下りてボールを引き出し、前進を助ける。敵陣まで進めば、今度は相手の中盤と最終ラインの間に立ち、狭いスペースでもボールを受ける。
ただ、このチームでは、それを大関がやることでボールが循環する。
低い位置で大関がボールを引き出せば、周囲に新たなパスコースが生まれる。そこから前進すると、今度はライン間で受け直し、攻撃を次の局面へつなげる。本来ならチーム全体の関係性の中で成立させたい循環を、現状では大関の判断と技術に頼っている部分が大きい。
後半、日本はまず左ウイングに横山夢樹を投入。さらに62分に大関を送り出すと、石渡ネルソンが中盤の底を担う形になった。
大関は高い位置だけにとどまらず、必要に応じて石渡の横まで下りてボールを引き出す。中盤にボールの逃げ道ができ、日本は徐々に敵陣でプレーする時間を増やしていった。
すると、左サイドバックの小杉啓太も一列高い位置を取れるようになった。
“大関頼み”と“小杉頼み”は別の問題ではない
ここは、このチームの攻撃を考える上で重要なポイントだろう。
サイドバックが高い位置を取れているかどうかは、チームとして安定して前進できているかを見る一つのバロメーターになる。後方でボールロストが続けば、サイドバックはリスク管理のために前へ出づらい。反対に、中盤でボールを安定させ、相手を押し込むことができれば、サイドバックを一列高い位置へ送り出せる。
同点ゴールは、その象徴だった。
88分、高い位置まで出た小杉が左からクロスを送り、石橋瀬凪が頭で仕留めた。もちろん、小杉のクロスの質は高かった。ただ、重要なのは小杉個人の能力だけではない。左サイドバックをそこまで高い位置へ送り込める状況を、チームとして作れていたことだ。
だからこそ、「小杉頼み」から脱却するために必要なのも、小杉以外に同じタイプのサイドバックを探すことだけではない。
左右を問わず、サイドバックを高い位置まで押し上げられる状況を作ること。そのためには、中盤でパスコースを作り、不用意なロストを減らし、縦へ急ぎすぎずにボールを循環させなければならない。
そして現状、その循環を成立させる上で、大関の存在感があまりにも大きい。
つまり、“大関頼み”と“小杉頼み”は、それぞれ別の問題ではない。
中盤で安定してボールを前進させられない時間が続く中、大関が入ることで循環が生まれる。その結果、相手を押し込み、小杉を高い位置まで送り出せる。そして最後は、その小杉の攻撃力が大きな武器になる。この構図そのものが、現在のU-21日本代表の攻撃を象徴している。
もちろん、大関がこの世代の中心であること自体は問題ではない。その能力は最大限に生かすべきだろう。小杉についても同じだ。高い位置まで送り出せば、左足のクロスや攻撃参加で違いを生み出せる。
問題は、その2人への依存度が高く、別の形で同じように攻撃を成立させる答えがまだ十分に見えていないことだ。
必要なのは、大関と同じことができる代役や、小杉と同じタイプのサイドバックを探すことだけではない。その日の選手の特徴に合わせて中盤の配置を変えるのか。ビルドアップの方法を変えるのか。あるいは別のルートからサイドバックを高い位置へ送り込むのか。
誰が出ても同じ形を求めるのではなく、ピッチに立つ選手に合わせて攻撃の仕組みを変えられるか。
アジア大会で浮かび上がったのは、単なる選手層の問題ではない。“大関頼み”“小杉頼み”から脱却し、それぞれの個性をチームの仕組みの中でどう生かすのか。大岩ジャパンが今後解決していくべき、攻撃の設計に関わる課題である。
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