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先制されると勝ち切れない。U-21日本代表・大岩剛監督、鹿島時代にも見られた“ある傾向”

text by 編集部 photo by Getty Images
大岩剛監督
鹿島アントラーズで指揮を執っていた大岩剛監督【写真:Getty Images】



 アジア競技大会準決勝で、U-21日本代表はU-21ウズベキスタン代表とのPK戦を制し、3大会連続の決勝進出を決めた。88分に追いついた粘り強さの一方で、120分を戦っても勝ち越せなかった課題も残る。そしてその問題は、鹿島アントラーズを指揮していた頃から繰り返されているものでもある。

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24本のシュートでも奪えなかった勝ち越し点

 9月30日、大阪・長居陸上競技場で行われたアジア競技大会男子サッカー準決勝で、U-21日本代表はウズベキスタン代表と対戦した。U-23代表と表記されるウズベキスタンも、今大会は日本と同じU-21世代で臨んでいる。

 2028年ロサンゼルス五輪を見据えた同世代の一戦は、延長戦を含む120分を終えて1-1。PK戦はサドンデスに入り、両チーム10人目までもつれた末に、日本が9-8で制した。16年ぶりの金メダルを懸け、10月3日の決勝でU-23韓国代表と戦う。

 延長戦を含むシュート数は、日本の24本に対してウズベキスタンが11本。ただし、その数字は前半の苦戦を覆い隠している。日本が最初のシュートを放ったのは、前半44分だった。

 序盤に主導権を握ったのはウズベキスタンだった。ボールを奪うと素早く縦へ運び、攻守の切り替えから効率よく日本陣内へ攻め込む。日本はその速い攻撃への対応で後手に回り、カウンターから先制点を奪われた。

 後半は、日本がボールを握って押し込む時間が増える。しかし、リードを守ろうとする相手のコンパクトな守備陣形は、なかなか崩れない。左サイドバックの小杉啓太や、後半から投入された横山夢樹が仕掛けても、複数のDFが寄せて突破口をふさぐ。ゴール前へ送り込んだボールも、何度もはね返された。

 ようやく追いついたのは88分だった。小杉が左サイドから上げたクロスに、石橋瀬凪が頭で合わせた。土壇場で相手の守備をこじ開けたが、延長戦でも勝ち越し点は奪えず、決着はPK戦に委ねられる。

 相手の失敗にも助けられたが、日本も10人中9人が成功させ、決勝への切符をつかんだ。ただ、120分のうちに勝ち越せなかったという課題は残った。

 ゴール前を固められれば、どんな強豪でも攻略には苦労する。ただ、大岩剛監督が率いる世代別日本代表の戦績を振り返ると、先制された試合で勝ち切れない傾向が浮かぶ。

 2021年12月にU-21チームの指揮官就任以降、先制を許してから勝った国際試合は、2025年9月のU23アジアカップ予選・クウェート戦だけだ(PK戦で決着した試合は引き分け扱い)。同試合では10分に先制されたものの、前半のうちに4得点を奪い、6-1で勝利した。

 2023年11月のU-23アルゼンチン戦や、2024年4月のU23アジアカップ準々決勝・カタール戦では、日本が先制した後に逆転を許し、そこから再逆転して勝っている。劣勢をはね返した実績はあるが、相手に最初の得点を許した試合では、勝利が極めて少ない。



鹿島アントラーズでも見られた同種の傾向

 日本サッカー協会(JFA)の公式記録に残っているものだけを数えると、大岩監督政権下の試合は64試合(+1試合は非公開のアルゼンチン戦)。全65試合のうち、先制された試合が「15」。クウェート戦の1勝以外は、5分け9敗という内訳だ。

 目下、その傾向は続いている。1月のU23アジアカップ準々決勝・ヨルダン戦では、先制を許してから追いついたものの、延長戦を終えて1-1。PK戦を制して勝ち上がった。3月の親善試合では、U-21アメリカ代表に0-2、U-23韓国代表に1-2で敗れている。

 今回の準決勝を加えると、今年、先制を許したのは4試合。PK戦を除いた試合結果では、0勝2分2敗となる。

 鹿島アントラーズで指揮を執っていた約2シーズン半の間にも同様の傾向は見て取れる。

 石井正忠監督が解任された2017シーズン途中から就任すると、初年度は優勝争いをするまでに立て直し、先制されても試合を覆す展開が多かった。だが、年を経るごとに逆転力が退潮していく。

 2018シーズンは公式戦全60試合のうち先制点を許したのは21試合。そのうち勝ち越しに至ったのは4試合だ。続く2019シーズンは全55試合のうち、先制点を奪われたのは20試合。逆転に成功したのは3試合にとどまる。2019年のJ1リーグに限ると、第6節の名古屋グランパス戦(ホーム)のみだ。

 この数字が小さいのか大きいのかはチームの規模に依存するだろうが、当時の鹿島は2シーズン続けて3位でフィニッシュしており、2018年はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)を制覇した。“常勝軍団”の数字として考えると、いささか物足りなく感じられる。
 
 そしてアジアサッカーにおける日本の立ち位置も、鹿島に限りなく近いように見える。常に優勝を目指すチームを作る上で、“先制されると勝ち切れない”という状況は早々に脱したいところだ。今回のウズベキスタンのように、今後も引いて守られる展開は数多く予想される。

 決勝の韓国戦は、3大会連続の顔合わせとなる。2018年は延長戦の末に、2023年は先制しながら逆転され、いずれも1-2で敗れて銀メダルに終わった。

 当然、先制すれば勝てるわけではない。リードを奪った後も、相手の反撃を受け止めながら追加点を狙う必要がある。それでも、追う展開で勝ち切れていない大岩監督のチームにとって、相手より先に試合を動かす意味は大きい。

 16年ぶりの頂点へ。立ち上がりから相手の圧力に対応し、自分たちの攻撃を得点へと結び付けられるか。準決勝で示した粘り強さに加え、試合を優位に進めるための先制点が求められる。

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【了】

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