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“世界基準”を示した田中碧と佐野海舟のボランチコンビ。W杯から続く好相性、その理由は?

text by 編集部 photo by Getty Images
田中碧 日本代表
日本代表MF田中碧【写真:Getty Images】



 10月1日に行われたエクアドル代表との一戦で、日本代表の中盤を支えた田中碧と佐野海舟。北中米W杯のチュニジア戦でもスタートからダブルボランチを組んだ2人は、攻守で互いの動きを補い合い、再び安定感を示した。



チュニジア戦のタッグが再び輝く

 キリンカップサッカー2026の初戦、日本代表はエクアドル代表と0-0で90分を終え、PK戦を5-4で制して10月5日の決勝へ駒を進めた。

 9月28日のベネズエラ戦から先発10人を入れ替えた一戦で、中盤の底に並んだのは田中碧と佐野海舟。FIFAワールドカップ 2026(北中米W杯)のグループステージ第2節・チュニジア戦でもダブルボランチを組んだ2人だ。

 あの日の日本は、上田綺世の2ゴールなどでチュニジアを4-0で下した。

『Sofascore』のデータを振り返ると、2人は計150本のパスを出し、143本を成功させている。成功率は95%を超え、チーム全体のパス583本のうち、約4分の1を2人で担っていた。

 佐野は83分、チーム4点目となる上田のゴールをアシストした。田中が後方で落ち着きを与え、佐野が一列前へボールを運ぶ。パス数は同じ75本でも、それぞれ異なる役割を果たしていた。

 守備でも補完関係が見える。田中はタックル4回をすべて成功させ、デュエルは7回中5回で勝利。佐野はインターセプト2回、ボール奪取4回を記録した。

 1人が前に出て相手に寄せれば、もう1人が背後のスペースを埋め、ボールを回収する。走行距離は2人とも約10.4kmとほぼ同じで、負担が片方に偏っていなかったことがうかがえる。

 そして今回のエクアドル戦。17分、佐野がジョン・イェボアへ寄せると、田中が内側へのパスコースを塞いだ。久保建英のプレスバックもあり、日本はボールを奪い返すことに成功する。

 その後も、2人は阿吽の呼吸で役割を分担した。佐野がサイドまでボールを追えば、田中が中央に残ってバイタルエリアをケアする。逆に田中が外側に出れば、佐野がセンターサークル付近を警戒する場面も見られた。前半のうちに、2人揃ってタックル2回をすべて成功させている。

 田中は試合後に「今日は相手のウイングのクオリティもあったんで、だいぶリスク管理に重きを置いてました」と前提を述べた上で、守備時における佐野との連係について「海舟と自分のところで奪い切れるシーンはすごく多かったのかなというふうに思う」と手応えを語った。



もっと決定機を作れたかもしれない

 ボール保持の局面でも、田中が最終ラインに下がって組み立てに参加すると、佐野が相手のマークを引き付けてパスコースを作った。攻守の切り替え時には、どちらかがボールを持つと、もう1人が後方でバランスを取っていた。

 25分には、伊藤洋輝が前進して相手GKのフィードをカットすると、佐野がその背後のスペースを埋めた。前方でボールを受けた田中は、即座に谷村海那へ縦パスを供給。背番号「31」がバイタルエリアへ落としたボールは、鈴木唯人のミドルシュートにつながった。

 日本はボール保持率47%とエクアドルを下回った一方、シュート数では12本対5本と大きく上回った。2人が再三にわたって示した切り替え時の強さとバランス感覚も、こうした攻守の内容を支えた一因だろう。チュニジア戦で見せた安定感は健在だった。

 田中は79分、佐野は86分までプレーした。2人がピッチを退いた後、日本は前線に人数をかけ、ロングフィードに前田大然らが走り込む戦い方へシフト。中盤を経由する場面が減り、攻撃はやや単調になった。

 中盤の安定感をより多くの決定機につなげるという課題は残った。チュニジア戦ではボール保持率62%と主導権を握って4得点を挙げたが、今回は北中米W杯・南米予選18試合でわずか5失点の堅守を誇るエクアドルが相手だった。パリ・サンジェルマンのウィリアム・パチョをはじめとする守備陣を崩すのに難儀した。

 そのなかで攻撃の可能性を感じさせたのが、右ポケットへの佐野の進入だ。何度も良い位置を取れていただけに、そこへボールを届けたかった。上下動の頻度とプレーエリアの広さは、さすがのひと言。こうした動きを生かし、佐野がシュートを狙える形まで持ち込めれば、決定機をさらに増やせた可能性がある。

 また、鎌田大地がシャドーに途中投入されたことで、約12分間ではあるが、先のW杯でボランチを担った3人が同時にピッチに立った。この並びもチュニジア戦の再現であり、今後のオプションとして定着するかもしれない。

 2030年に向けた新たなサイクルの中で、W杯の舞台で輝いた田中と佐野はあらためて可能性を示した。5日のニュージーランド戦も含め、2人が築く関係に注目したい。

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【了】

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