【写真:Getty Images】
第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)男子サッカーでU-23韓国代表がU-21日本代表を1-0で破り、史上初の4連覇を達成した。しかし、金メダル獲得後に一部選手が兵役上の優遇措置について語った言動が物議を醸し、韓国サッカー協会(KFA)が謝罪する事態に発展。さらに韓国政界からは、芸術・体育分野の兵役特例制度そのものを見直すべきとの声まで上がっている。
アジア大会金メダル獲得後に物議
韓国メディア『聯合ニュース』は、金メダル獲得後の選手たちの兵役をめぐる言動を相次いで取り上げた。
主将のイ・ギヒョクは、金メダルを逃していれば帰国から入隊まで9日しかなかったことを明かしたうえで、最後には笑顔で「軍隊には行きません」と発言したという。また、ヤン・ミンヒョクも試合後のインタビューで「メダルやトロフィーより、兵役問題の解決を見て戦った」という趣旨の発言。
さらにパク・スンスは、金メダル獲得後に“除隊帽”をかぶった写真を自身のSNSへ投稿した。『聯合ニュース』はこうした一連の言動をまとめて報じ、韓国内で批判が広がっていると伝えている。3選手はその後、それぞれ発言や投稿について謝罪した。
同メディアは、兵役上の優遇措置そのものを目的として国を代表することを「道具化」するのは度を越しているとの批判があると指摘。さらに、アジア大会のサッカーと野球について、兵役特例の特殊性から「韓国だけが兵役免除を狙って強力なチーム編成に力を入れている」との見方が以前からあり、公平性への疑問が出ていると伝えた。今大会では、サッカーがU-21世代だけで臨んだ日本に苦戦し、野球も社会人中心の日本に敗れている。
騒動を受け、KFAも「一部選手の軽率な言動とインタビューで、多くの国民と現役将兵に失望と傷を与えた」と謝罪。今後は「国家代表としての素養・倫理教育を強化する」とした。
さらに議論は政界にも波及した。アン・チョルス議員は「軍隊が嫌悪施設なのか」と批判し、「アジア大会の兵役特例は再考すべき」と主張。ナ・ギョンウォン議員も「BTSも兵役を履行した」としたうえで、「国威発揚という名分だけでは国民を説得できない」と制度の抜本的な見直しを求めた。一方、与党側からは選手の未熟な言動を政治論争に利用する「分断政治」との反論も出ている。
金メダル獲得直後の選手の言動から始まった騒動は、個人への批判だけにとどまらず、韓国スポーツ界に長く存在する兵役特例制度の是非そのものを問い直す議論へと広がっている。