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コラム 2026.10.10 11:30

「まるで茶番」アッズーリ再出発の裏でイタリア・サッカー連盟に何が? 会長資格問題に相次ぐ人事騒動【カルチョを読む】

ロベルト・マンチーニ
UEFAネーションズリーグを2勝1分け1敗でスタートした、イタリア代表のロベルト・マンチーニ監督【写真:Getty Images】



 ロベルト・マンチーニ監督の下、UEFAネーションズリーグを2勝1分け1敗でスタートしたイタリア代表。しかし、その裏でイタリア・サッカー連盟は大混乱に陥っていた。6月就任のマラゴー会長が資格問題で退任し、自ら特別管理者に就く異例の事態に。人事騒動や利益相反疑惑も相次ぐイタリア・サッカー界で、何が起きているのか。(文:佐藤徳和)[1/2ページ]

及第点のアッズーリ、その裏で連盟は大混乱

イタリア代表
2勝1分け1敗の成績でUEFAネーションズリーグの最初の4試合を終えたイタリア代表【写真:Getty Images】



 9月24日にリーグフェーズが開幕したUEFAネーションズリーグ2026/27。イタリア代表は、2勝1分け1敗の成績で最初の4試合を終えた。

 3大会連続でのワールドカップ欧州予選プレーオフで敗退し、ロベルト・マンチーニ監督が紆余曲折を経て2度目の監督に就任したこともあり、再出発を果たしたイタリア代表は、注目度も高かった。

 イタリア公共放送『Rai』で放送された2日のフランス代表との一戦は、40.8%もの視聴占拠率を記録(日本の「視聴率」とは異なり、その時間帯にテレビを視聴していた人のうち、その番組を見ていた人の割合)。約785万人が、この一戦を見届けている。

 マンチーニの2度目の初陣は、及第点が与えられる結果と言えるだろう。しかし、この間、イタリア代表の母体であるイタリア・サッカー連盟(FIGC)は蜂の巣を突ついた騒ぎとなっていた。何があったのか?

 10月6日、イタリア・オリンピック委員会(CONI)は、FIGCを特別管理下に置き、6月からFIGC会長を務めていたジョヴァンニ・マラゴーを特別管理者に任命することを決めた。FIGCが特別管理下に置かれたことで、マラゴーはFIGC会長を退任することになったが、その一方で、マラゴー自身が特別管理者としてFIGCの運営を担うことになった。

選挙後に発覚した問題

ジョヴァンニ・マラゴー
イタリア・サッカー連盟(FIGC)会長を退任したジョヴァンニ・マラゴー【写真:Getty Images】



 CONI前会長のマラゴーは、6月22日に行われたFIGC会長選挙に出馬し、68.58%の得票率を獲得して当選した。ところが、7月14日、『Il Fatto Quotidiano』が「マラゴーはFIGCに登録されていないまま会長に選出された」とスクープで報じた。マラゴーには、FIGCの会長になる資格がないというのだ。

 すでに6月24日には、弁護士で元ラツィオの選手でもあるレナート・ミエーレが、CONIの保証委員会に不服申し立てを行っていた。

 ミエーレはFIGC会長選挙に立候補したが、FIGCの規約24条5項が要求する「少なくとも1つのリーグ、または技術部門の代表者の過半数の推薦」を得られなかったため、立候補が受理されなかった経緯がある。そのため、ミエーレは、「自身は推薦が足りず候補から外されたにもかかわらず、マラゴーはFIGCへの登録がなかったのに候補として認められたのはなぜか?」と異議を申し立てたのだ。

 ただ、この時点では、「FIGCを揺るがす重大問題」にはなっていなかった。

 9月4日、FIGC検察局長のジュゼッペ・キネーが、マラゴー会長のFIGC登録がなされていなかった問題についての調査の打ち切りをCONI検察総局に提案する方針であると報じられた。

 マラゴーのFIGC登録がなされていなかったことは事実だ。キネーの解釈はこうだ。

 FIGC規約29条の「FIGC登録が適正であること」は、「立候補時点で、事務的にFIGC登録をしていること」を要求する規定ではなく、「FIGC登録をする際に必要となる条件・要件を満たしていればよい」というものだった。

 だが、その4日後、CONIの検察総局長、ウーゴ・タウチェルはこの提案を退け、追加の検討を求めた。9月14日には、タウチェルはマラゴー本人については調査を打ち切る一方、FIGCが登録のないマラゴーの立候補を認めた経緯について、FIGC側の対応を検証する方針を示した。その後、CONIの法務専門家から「FIGC登録は立候補の必須要件」とする見解が示された。

 こうして、「マラゴー本人を処分する問題」から、「FIGCのガバナンスそのもの(FIGCが、FIGC登録をしていなかった人物の立候補を認めたことが適切だったのか)」へと問題が移り変わった。

 そもそも、マラゴー自身には非はなかったとみられる。立候補時にFIGCの関係者が「FIGC登録は立候補の必須要件」であることを指摘していれば、このような事態には発展していなかった。例えば、自動車免許の資格を取得した者に対して、後になって「必要書類が足りなかったので、資格は無効だ」とするようなことは、通常はあり得ない。しかし、FIGCの会長選では、その“あり得ない”ことが起こってしまったのだ。

本人がトップに立つ異例の事態

ジョヴァンニ・マラゴー
2013年から2025年まで、イタリア・オリンピック委員会(CONI)の会長を務めていたジョヴァンニ・マラゴー【写真:Getty Images】



 こうして、10月6日、CONIはFIGCを特別管理下に置くことを決定。その特別管理者には、6月からFIGC会長を務めていたマラゴーを任命することを決めた。

『Post』によると、FIGCの登録証は、FIGCに加盟するクラブのいずれかに、選手、指導者、幹部として、どのようなレベルに属しているかに関係なく、登録・所属していることを示す、“単純な証明書”にすぎない。イタリアでは約150万人がこれを所有しており、決して特別なものではないのだ。

 そのような“単純な証明書”がないというだけで、FIGCの会長を“剥奪”され、そして“剥奪された”本人がFIGCを管理するというのは、茶番でしかない。しかも、FIGCの元会長である2人、ジャンカルロ・アベーテとガブリエーレ・グラヴィーナも会長選挙時、FIGCに登録されていなかったにもかかわらず、その後何年にもわたってFIGCのトップを務めていたのだ。

 当初は、長くマラゴーの下でCONIの副会長を務め、2025年6月26日にCONIの会長に就任したルチャーノ・ブオンフィッリョ、あるいは第三者が、特別管理者に就くと予想されていた。しかし、最終的にマラゴーを特別管理者とする特別管理は、まず執行委員会で全会一致で議決され、その後、全国評議会でも改めて全会一致で承認された。

 特別管理者マラゴーの主な任務はFIGCを一時的に運営し、新たな会長選挙へと導くことで、その選挙は2027年1月31日までに実施されなければならない。マラゴーは「最初に実施可能な日としては12月14日になるかもしれない」と述べている。そして、その再選挙に立候補するのが、マラゴーである。

 特別管理者に選ばれたマラゴーは、「悲しく、恥ずかしい出来事だった。しかし、最終的には、物事の道理と良識が勝った」と語っている。

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