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コラム 2026.10.16 10:00

なぜブレントフォードは強くなり続けるのか。監督交代や主力流出にも揺らがない独自のフィロソフィー【プレミアリーグを読む】

ブレントフォード
開幕6試合無敗のブレントフォード【写真:Getty Images】



 プレミアリーグ開幕から6試合無敗と、好調を維持するブレントフォード。その強さを支えているのは、ピッチ上の戦術だけではない。なぜ彼らは主力の流出や監督交代を乗り越え、競争力を維持できるのか。独自のクラブ哲学と、その強さを生み出す仕組みに迫る。(文:安洋一郎)[2/2ページ]

昨夏の大量放出でもチームが崩壊しなかった理由

適応に時間がかかっても主力に定着したミッケル・ダムスゴー
適応に時間がかかっても主力に定着したミッケル・ダムスゴー【写真:Getty Images】


 実はブレントフォードは、フランクが監督に就任してから約9カ月後に当たる2019年夏の移籍市場でも、主将で中盤の軸だったMFロメイン・ソーヤーズ、チーム得点王でエースのFWニール・モペイ、守護神のGKダニエル・ベントレーを相次いで失っている。

 その後釜として獲得したのが、ノアゴールやエンベウモ、GKダビド・ラヤだった。翌2020年夏にはFWオリー・ワトキンスも引き抜かれ、2年連続でチーム得点王を失ったが、後釜として獲得したトニーがチャンピオンシップ得点王に輝き、プレミアリーグ昇格に導いた。

 そして昨夏も同様に、得点源と中盤の核、正GKを同時に失った。それでも、巧みなリクルートによって戦力を再構築し、主力の流出による影響を最小限に抑えてきた。

 加入1年目からフィットしなかったイゴール・チアゴやミッケル・ダムスゴー、クリストファー・アイェルのような選手たちも、時間をかけながら適応と成長を促し、今や不動の存在へと定着した。

 獲得した選手の成長を信じ、時間をかけて適応を促す姿勢は、アンドリュース監督が語った「信頼」という言葉にも表れている。

明確な上積みに成功した今夏の大型補強

チェルシー戦で大活躍したヤニック・シュスター
チェルシー戦で大活躍したヤニック・シュスター【写真:Getty Images】


 今夏は、前年夏の主力売却で得た資金も活用し、プレミアリーグ経験者を中心に補強。戦力の維持と上積みを両立させた。

 負傷がちな左SBリコ・ヘンリーの代役として、正確無比なクロスを武器とするエル・ハッジ・マリック・ディウフを、降格したウェストハムから獲得した。サイド攻撃に厚みと精度をもたらすうえで、うってつけの人材だ。

 さらに、献身性とスピードを兼ね備えたジェイドン・アンソニーも、同じく降格したバーンリーから迎え入れた。プレミアリーグ通算95ゴールを記録しているベテランFWカラム・ウィルソンも、ロッカールームに経験を伝える人物としてピッチ内外で重要な役割を担う。

 その一方で、有望な若手の獲得にも余念がない。ジョーダン・ヘンダーソンが退団した中盤には、クラブ史上最高額でRCランスから21歳のマリ代表MFママドゥ・サンガレを獲得。開幕戦からアシストを記録するなど、ブレントフォードの中盤に求められていたダイナミズムをもたらしている。

 セットプレーを重視するブレントフォードは、CBに身長190cm以上の選手を求めており、この基準を満たす20歳のオーストリア代表DFヤニク・シュスターを獲得。高さと機動力を兼ね備え、第5節チェルシー戦ではCKからのクロスをファーサイドで折り返し、アシストを記録した。

 戦力を大きく損なうことなく、チームの上積みにつながる選手を獲得できたことについて、アンドリュース監督も手応えを口にしている。

「昨シーズンのチームの状況は把握していました。特定のポジションを補強したいと考えていたことも分かっていました。今回の補強には非常に満足しています。そして現在のチームの選手層の厚さは、12か月前よりも充実している」

 今夏はプレミアリーグ全体で監督交代や選手の入れ替えが相次ぎ、多くのクラブが難しいシーズンを過ごすと予想されている。その中で、監督人事の継続性を保ちながら、主力の流出を補うリクルートと戦力の上積みを実現したブレントフォードは、クラブ史上初の欧州カップ戦出場権獲得を狙える位置につけている。

 彼らが長年積み上げてきた仕組みは、今季も継続して機能している。未だたどり着いたことのないヨーロッパの舞台に向けて歩みを進めており、その挑戦は、独自のフィロソフィーがどこまで通用するのかを測る試金石となるだろう。

(文:安洋一郎)
【著者プロフィール:安洋一郎】
1998年生まれ、東京都出身。高校2年生の頃から『MILKサッカーアカデミー』の佐藤祐一が運営する『株式会社Lifepicture』で、サッカーのデータ分析や記事制作に従事。大学卒業と同時に独立してフリーランスのライターとして活動する。現在は『フットボールチャンネル』をはじめ複数のwebメディアや欧州名鑑などに寄稿。12歳からアストン・ヴィラを応援し、プレミアリーグを中心に海外サッカー全般を追っている。Xアカウント:@yoichiro_yasu

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