フットボールチャンネル

コラム 2026.11.4 18:59

なぜ鈴木彩艶からのビルドアップは通用しなかったのか。バルセロナが突いたアストン・ヴィラの弱点【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 フリーライター photo by Getty Images

アストン・ヴィラの鈴木彩艶
アストン・ヴィラの鈴木彩艶【写真:Getty Images】



 日本時間11月4日、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)リーグフェーズ第4節、バルセロナ対アストン・ヴィラの一戦が行われ、ホームのバルセロナが3-0で勝利した。アストン・ヴィラはこれまでの公式戦で、鈴木彩艶を起点としたビルドアップを機能させていたが、この試合では大苦戦。なぜ、GKからの前進に苦労したのだろうか。(文:安洋一郎)[2/2ページ]

鈴木彩艶からの裏へのフィードが少なかった理由

バルセロナGKジョアン・ガルシア
ジョアン・ガルシアの守備範囲の広さがハイライン攻略を難しくさせた【写真:Getty Images】



 これまでの試合では、鈴木からサイドに流れるジャクソンへのロングフィードが脅威になっていた。しかし、この試合ではその形もなかなか出せなかった。

 その理由は、上記にも触れた通り、バルセロナがアストン・ヴィラのビルドアップに対して、恐れずに前からプレスをかけ続けることができていたからだ。

 ジャクソンがサイドに流れながらパスを受けられるのは、中央にポジションを取った状態から、最終ラインでボールを回している間に動き出し、そのタイミングを鈴木と合わせているからである。

 しかし、この試合では最終ラインでのリスクの高いビルドアップをバルセロナのハイプレスに封じられたことで、背後へのパスを出すタイミングを掴めずに難しくなった。

 仮に中央の背後にパスを通せたとしても、バルセロナのGKジョアン・ガルシアが持つ広い守備範囲と、思い切りの良い飛び出しによって、ハイラインの攻略は難しさを極めた。

GKの前進を封じられた中でも見出したバルセロナ攻略法

バルセロナ対アストン・ヴィラ
今後は鈴木彩艶を起点とするビルドアップの対策が増えてくるだろう【写真:Getty Images】



 ただし、GKからの効果的なロングフィードが封じられる中でも、ウナイ・エメリ率いるチームは、バルセロナ対策を明確に用意していた。

 その一つが右サイドからの前進だ。普段の試合ではジャクソンが左サイドに流れる傾向にあるが、この試合では高い位置を取ることの多いバルセロナの左SBジョアン・カンセロの背後を狙い、右サイドに流れる動きが目立った。

 そこに右SBのマティ・キャッシュが高いキック精度を生かして背後へのボールを供給するというパターンを準備しており、19分のマンザンビのシュートシーンがその代表例だろう。36分のジャクソンのシュートシーンも同じ形から生まれている。

 しかし、結果として無得点に終わった。セットプレーでも優位に立ち、先制点を許した直後の2度のCKと69分のCKでは、得点が生まれても不思議ではない決定機を迎えたが、いずれも最後の精度を欠いた。

 ジャクソンの右サイドへの裏抜けやセットプレーから複数の決定機を作りながらも、0-3という敗戦を喫した要因の一つには、決定力不足とファイナルサードでの質不足があったと言える。自陣に戻りながらも選択肢を確実に消してくるバルセロナの守備陣の対応を上回ることができなかった。

 試合を進める中で、GKの鈴木彩艶に固執しすぎず、別の形で前進を図れていたことはポジティブな材料だ。しかし、それを試合の結果につなげるには至らなかった。

 今後の試合でも、バルセロナが実行したように、鈴木を起点とするビルドアップへの対策を講じるチームは増えていくだろう。

 だからこそ、マッギンが「大きな学びの機会」と語ったように、この試合で得た経験を次に生かせるかどうかが、今後のシーズンにおいて重要になる。

(文:安洋一郎)

【著者プロフィール:安洋一郎】
1998年生まれ、東京都出身。高校2年生の頃から『MILKサッカーアカデミー』の佐藤祐一が運営する『株式会社Lifepicture』で、サッカーのデータ分析や記事制作に従事。大学卒業と同時に独立してフリーランスのライターとして活動する。現在は『フットボールチャンネル』をはじめ複数のwebメディアや欧州名鑑などに寄稿。12歳からアストン・ヴィラを応援し、プレミアリーグを中心に海外サッカー全般を追っている。Xアカウント:@yoichiro_yasu

【関連記事】
【CL 順位表】UEFAチャンピオンズリーグ2026/27 リーグフェーズ
【一覧】欧州CL2026/27 全試合日程・結果・放送・配信予定
【一覧】欧州CL2026/27 ポット分け・リーグフェーズ対戦表



『フットボールチャンネル』でサッカー最新情報を見よう!
いち早くチェックしたい方は下記リンクから↓↓




【了】

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top