
マイク・ディーン氏【写真:Getty Images】
元プレミアリーグ主審のマイク・ディーン氏が、試合中に個人的な“遊び”をしていたと明かした。英メディア『BBC』は、現役審判への疑念にまで広がりかねない発言として、元審判らから批判が出ていると報じている。
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名物審判の自己顕示欲が招いた不信
ディーン氏は、元イングランド代表FWジェイミー・ヴァーディーのYouTube番組『ジェイミー・ヴァーディーズ・ハビング・ア・パーティー』でVAR導入前のプレミアリーグを振り返り、仲間内の冗談として「笛を吹かずにどこまで続けられるか」を試していたと語った。
20〜25分間吹かずに済んだことが何度かあり、センターサークルから出ずにいられる時間も計って、一度は約15分間とどまったという。直前には、自分が時に注目の中心となり、必要以上に試合の一部になろうとしていたとも認めている。
『BBC』に対し、元プレミアリーグ主審のマーク・ハルジー氏は「20分どころか5分でも笛を吹かずに続けるのは不可能だ」と否定し、「すべての審判の公正さが疑われることになる」と危惧を示した。英紙『ガーディアン』も、審判を統括する組織Pro Ref(旧PGMOL)の関係者は発言に困惑しており、裏づける証拠はないと報じている。
批判を受けたディーン氏は9月4日、自身のSNSで声明を発表。「常に自分の能力の限り競技規則を適用してきた」と説明し、「審判の公正さを疑問視したり、損なったりする意図は一切なかった」と釈明した。
ディーン氏は1985年に審判を始め、2000年にプレミアリーグの担当に昇格した。同リーグ公式サイトによると、史上初めてリーグ通算500試合の主審を務めた人物で、2008年のFAカップ決勝、2011年のリーグカップ決勝も任されている。
主審を退いた2022年までにプレミアリーグで550試合以上を担当し、提示したレッドカードはリーグ最多の114枚に上る。
実績は十分だが、重い誤審も犯してきた。2015年9月のチェルシー対アーセナルでは、FWジエゴ・コスタがDFローラン・コシールニーの顔に手を伸ばし、腕を振って顔に当てた行為を見逃した。
その後、コスタと衝突したDFガブリエウ・パウリスタを一発退場としたが、アーセナル側の異議申し立てが認められ、3試合の出場停止は取り消された。逆に、見逃されたコスタには事後審査で暴力行為が認定され、同じ3試合の停止処分が科されている。
2021年2月には、4日間で2つの退場判定が覆った。専任のVARに転じた後も、2022年のチェルシー対トッテナムで、DFクリスティアン・ロメロがDFマルク・ククレジャの髪を引っ張った場面をオンフィールドレビューに回さず、翌年に自ら誤りだったと認めている。
好判断を見せた試合ももちろんある。2015年11月のトッテナム対アストン・ビラでは、開始3分、後ろから引っ張られたベルギー代表MFムサ・デンベレへの反則を流してアドバンテージを取り、そのまま先制点が生まれた。
ただ、得点の瞬間に両腕を広げて走り出したため、トッテナムのゴールを祝ったようにも見えた。ディーン氏は2020年、『BBC』のポッドキャストで「ゴールではなくアドバンテージを祝っていた」と釈明する一方、「腕を広げるべきではなかった」と認めている。やはり一つ余計なのだ。
もともと派手なカードの出し方や選手とのやり取りで注目を集め、スタンドから「マイク・ディーン、すべてはお前が主役」と歌われた人物でもある。
本人も番組でピッチ上の「傲慢さ」を一部認めており、今回の発言は以前からのショーマン性の延長線上にある。
審判も人間であり、誤りも個性も消えない。だが、その人間臭さを面白がる発言が現役審判への根拠なき疑念に変わるなら、代償を払うのは話し手本人だけではない。
(文・内藤秀明)
【了】
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