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コラム 6時間前

トッテナムはなぜ大型補強しても勝てない? 深刻な得点力不足の正体とは【プレミアリーグを読む】

トッテナム・ホットスパー
プレミアリーグ開幕4試合でノーゴールに終わっているトッテナム・ホットスパー【写真:Getty Images】



 今夏に3億6635万ユーロ(約677.4億円)を投じ、サンドロ・トナーリやマテウス・フェルナンデス、サヴィオらを獲得したトッテナム・ホットスパー。しかし、2026/27シーズンは開幕4試合を終えて未勝利、無得点と苦しいスタートになった。大型補強を敢行したにもかかわらず、なぜ結果が出ないのか。xGやセットプレーを分析すると、「4試合連続無得点」の裏にある攻撃面の課題と、それ以上に深刻なスパーズの問題が浮かび上がる。(文:安洋一郎)[1/2ページ]

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大型補強も4試合無得点

トッテナム・ホットスパーのサンドロ・トナーリ
今夏のトッテナムはサンドロ・トナーリら大型補強を敢行した【写真:Getty Images】



 群雄割拠のプレミアリーグ。強豪クラブによる国内からの引き抜きが相次いだ2026/27シーズンも、その競争力は衰えておらず、どのチームにとっても楽な試合は一つもない。

 近年のトッテナム・ホットスパーは、プレミアリーグの難しさを、これ以上ないほど実感しているクラブの一つだろう。

 2シーズン連続で17位に終わり、昨季は本格的に残留争いへ巻き込まれた。そんな状況からの巻き返しを目指し、今夏は3億6635万ユーロ(約677.4億円)もの大型補強を敢行。再び上位進出を狙うクラブとしての「野心」を見せている。

 少なくとも近年のスパーズには、この「野心」が足りなかった。

 国内のライバルクラブがリスクを負った戦略で強化を図る一方、スパーズの立ち回りは、良く言えば「黒字を続ける健全経営」、悪く言えば「リスクを負わない消極的な移籍市場への投資」だった。

 これは『トッテナム・ホットスパーはなぜ多くの監督から嫌われるのか。強くなる気がない?「ビッグクラブではない」という言葉の意味【コラム】』でも指摘した問題だ。

 今夏に獲得したサンドロ・トナーリ、マテウス・フェルナンデス、サヴィオの3人は、クラブ史上最高額の移籍金トップ3を更新。給与水準の引き上げにも明確に踏み切った。

 しかし、プレミアリーグ第4節終了時点で「無得点」「未勝利」と、結果は出ていない。開幕から4試合連続無得点はクラブ史上初。昨季に続き、不名誉な記録を更新することとなった。

 なぜ、大型補強を行ったにもかかわらず、結果が出ていないのだろうか。

スパーズが出遅れた最大の要因

トッテナムロベルト・デ・ゼルビ監督
デ・ゼルビ監督は「今は普通ではないが、始動が遅れただけだ」と現状を説明する【写真:Getty Images】



 デ・ゼルビ監督の開幕戦後の言葉を借りれば、現状は「まだチームになっていない」。フィジカルコンディションも「適切なレベルに達していない」という。

 今夏はFIFAワールドカップ2026(北中米W杯)が行われた影響もあり、プレミアリーグの多くのクラブが満足のいくプレシーズンを過ごせていない。

 スパーズの場合、トナーリやマテウス・フェルナンデス、ヤン・ポール・ファン・ヘッケ、アンドリュー・ロバートソンら新加入選手はプレシーズンから合流できたものの、オーストラリア遠征で負傷者が相次いだことが響いた。

 さらにチーム全体のトレーニング開始も遅れ、攻撃の切り札となるサヴィオ、オマル・マルムシュ、ミハイロ・ムドリクの獲得も移籍市場終盤となった。大幅にメンバーが入れ替わったチームとしては、開幕時点で十分な連係を構築できていないのも無理はない。

 実際、試合を追うごとに内容が良化しているのは事実だ。第4節のエヴァートン戦(△0-0)では、開始10分までに4本のシュートを放ち、30分までは理想的な試合運びを見せた。

 試合後、デ・ゼルビ監督も「今は苦しい時期ではない。昨季(残留争い)は本当に苦しかった。今は普通ではないが、始動が遅れただけだ」とコメント。準備不足が現在の不調につながっているとの見方を示している。

 しかし、チャンスの質を表す指標の一つであるxG(ゴール期待値)を詳細に分析すると、スパーズが抱える課題はより明確に見えてくる。

xGから紐解くスパーズの課題

トッテナム
データからはトッテナムが質の高いシュートをあまり打てていないことが分かる【写真:Getty Images】



 データサイト『Opta Analyst』によると、第4節終了時点でのxGは「3.45」でリーグ19位。シュート数はリーグ12位となる51本を放っていることを踏まえると、シュート自体は打てているものの、ゴールにつながりやすい質の高いチャンスを作れていないことが、無得点の要因の一つだと言える。

 この問題は、デ・ゼルビ監督も会見でたびたび口にしている。エヴァートン戦後にも「最終3分の1での改善が必要だ。重要な局面でより良い判断をし、冷静さを保たなければならない」と語り、ファイナルサードでの課題を指摘した。

 実際、場面別のxGを見ても、今季のスパーズがいかに質の高いチャンスを作れていないかが分かる。

 51本のシュートの中で最も高いxGを記録したのは、ノッティンガム・フォレスト戦の55分。サヴィオの右CKからのクロスに対し、GKマッツ・セルスと競り合いながらミッキー・ファン・デ・フェンが放ったヘディングシュートの「0.522」だった。

 2番目に高かったのが、ニューカッスル戦でペドロ・ポロがボックス内から放ったシュートの「0.27」。3番目は同じくニューカッスル戦の90+2分、ドミニク・ソランケがグラウンダーのクロスをヒールで流し込もうとした場面の「0.201」だった。4番目以降はすべて0.2未満。

 つまり、シュート数だけを見れば極端に少ないわけではないものの、ペナルティエリア内でも特に得点確率の高い「ゴールデンゾーン」と呼ばれる中央のエリアから、決定的なシュートを打てていない。これこそが、今季のスパーズが抱える攻撃面の問題だ。

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