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「今は本当、ここしかない」原康介が北海道コンサドーレ札幌を離れ “武者修行”を選んだ理由「自分は逆境のときにこそ…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 黒川広人 photo by Getty Images,Editor

北海道コンサドーレ札幌からギラヴァンツ北九州に期限付き移籍加入した原康介 加入後すぐにSC相模原戦でデビュー 26年9月20日

北海道コンサドーレ札幌からギラヴァンツ北九州に期限付き移籍加入した原康介【写真:Getty Images】



 2026年9月16日。夏の移籍マーケットが閉まる間際、J2の北海道コンサドーレ札幌からJ3のギラヴァンツ北九州への期限付き移籍を決断したのが、原康介だ。開幕6試合勝ちなしと苦しむ北九州の起爆剤となるために。そして何より、自らが望む未来を切り開くために。複数のオファーが届く中、さまざまな後押しもあり、原は北九州での武者修行を選んだ。迎えたデビュー戦では、北九州も今季初勝利を挙げ、幸先のいいスタートを切った。(取材・文:黒川広人)[1/2ページ] 

【2026/27明治安田J3リーグ第7節】
2026年9月20日 SC相模原 1-2 ギラヴァンツ北九州
(相模原ギオンスタジアム)

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「攻撃で違いを出せる選手」原康介がJ3デビュー

ギラヴァンツ北九州 田中遼太郎監督

ギラヴァンツ北九州 田中遼太郎監督【写真:Getty Images】


 チームへの合流からわずか3日で迎えた、第7節のSC相模原戦。

 試合当日時点でJ3最下位に沈んでいたギラヴァンツ北九州は、メンバーを大幅に変更した。原康介と同時期に加入した安光将作を先発に抜擢し、原と西村真祈も合流からわずか数日でメンバー入りした。田中遼太郎監督は、その狙いをこう振り返る。

「ギラヴァンツ北九州の一選手として、今週の練習で全員を見ました。その中で、彼らの長所がチームにフィットするだろうなと。その上で、コンディションや既存の選手との融合についてスタッフとも相談し、起用しました。

 結果的に、起爆剤になってくれてよかったんですけれども、彼らはもっともっと活躍してくれると思いますし、3名が加入してくれたおかげで、他の選手たちも非常に燃えて、良い相乗効果になっているのかなと思います。原に関して言うと、やはりスピードがあって、相手に脅威を与える攻撃で違いを出せる選手です。チャンスを作る、得点を取る、アシストをする。そういったところに期待しています」

 0-2でリードして迎えた63分。期待を背に、原は最も得意とする4-4-2の左サイドハーフに入り、今季初のリーグ戦出場を果たした。

「チームが勝ててない中で自分が北九州に来たので。まず絶対勝利。リードしていたので失点しないっていうことと、自分からチャンスを作り出すところを意識していきました」

 得意のドリブルで仕掛け、相手のイエローカードも誘発。守備でもハードワークを怠らず、北九州は1-2で逃げ切った。試合終了のホイッスルが鳴ると、原は両手を叩いて勝利を喜ぶ。待ちわびた白星に、チームにも歓喜の輪が広がった。原の北九州での第一歩は、上々のものとなった。

「初めてのJ3っていう舞台で、ゲームの展開も違いましたし、そこは難しかったんですけど、まずは勝てて良かったなって」

 胸をなで下ろした原も、8月に21歳となった。名古屋高校時代、全国高校サッカー選手権での活躍をきっかけに、卒業間際でプロへの道をつかんだ。北海道コンサドーレ札幌加入後は高卒ルーキーながらJ1の舞台に立ち、早々にゴールも記録。プロ入りから2年半で、リーグ戦38試合に出場して6ゴールを挙げている。

 傍目には、順調なキャリアを歩んでいるようにも映る。しかし、今シーズンを迎える前、ここまでの歩みについて尋ねると、原は首を横に振った。

「爪痕を残さないと…」原康介がギラヴァンツ北九州移籍を決断した理由

北海道コンサドーレ札幌 原康介

プロ3年目の原康介は北海道コンサドーレ札幌で決意のシーズンを迎えていたが…【写真:Getty Images】


「自分のイメージとしては、足りていないです。もちろん成長していると思いますけど、もっと試合に絡んでいかないといけないし、結果も出さないといけないと思っています。まだまだですね。特に個で剥がすところが足りません。ワールドカップを見ていてもそうですけど、そういう強烈な個がないと上ではやっていけないと思うので、そこは意識しています」

 さらなる飛躍を誓って迎えた、決意の3年目だった。だが、同じ左サイドを主戦場とするブラジリアン助っ人、ヴィニ・ペイショットが「個」で違いを生み出し、存在感を示す中、原はリーグ戦でメンバー外となる時間が続いた。

 巡ってきた出番はカップ戦。天皇杯とルヴァンカップで先発に名を連ねると、自らの存在価値を証明するべく、原は幾度となく仕掛けた。

「いいぞ。もっと来いよ、原」

 スタンドから何度も期待の声も飛んだ。それでも、原自身が求めていたものには届かなかった。

「自分の中でも爪痕を残さないといけないと思いましたし、チャンスは何個か作れましたけど、そこで目に見えた結果を出せなかった。悔しかったです。でも、そこでより試合に出ての成長を感じたというか。試合に出たからこそ感じた、いろんなできる部分が消えていくのも怖かったんです。この感覚を無駄にしたくないという思いが芽生えました」

 そんな思いを抱いていた原のもとに、移籍市場が閉まる直前、オファーが舞い込んだ。
北九州を含む複数のJクラブが、21歳の力を求めたのだ。ただ、すぐに答えを出せたわけではない。札幌もまた、苦しい状況に置かれていたからだ。

「札幌も苦しい状況の中で、どういう道がベストなのかなと。札幌で出場機会を掴み、チームが浮上していくのがベストではあったと思います。ただ、札幌ではなかなかチャンスがない状況でしたし、悩みましたね。自分自身、外の世界を知らないので、何がベストなのかわからないというのもありました。移籍か残留か五分五分な気持ちでした。

 そんな中、オファーのあったクラブと面談をした際に、特に北九州から熱意を感じて、自分の中でも心が動かされましたし、こういう環境でチャレンジして戦うことが、結果的に札幌のためにもなると思ったので、一回外に出て、成長したいと思って決断しました」

 正式なオファーが届いたのは、札幌がアウェイで戦ったベガルタ仙台戦の数日前。移籍マーケットの期限も踏まえると、熟慮する時間はほとんどなかった。

決断を後押しする言葉とギラヴァンツ北九州のサッカー

北海道コンサドーレ札幌 原康介

名古屋高校から北海道コンサドーレ札幌に加入した原康介は、プロ入り後、札幌一筋でプレーしてきた【写真:編集部】


「次の日には決めてほしいみたいな感じだったので、本当にいろんな人に相談しました。(宮澤)裕樹さんに相談したら、『一度、出てみてもいいんじゃない。出場機会をしっかりと掴んで戦うことで、自分自身の成長にもつながる』と助言してくれました。その中で最後は自分で決断しました」

 決断を後押しする言葉は、他にもあった。北九州でプレーした経験を持つ大森真吾や木實快斗からも、クラブについて話を聞いた。

「まず環境的に、良い街だよって。実際に札幌みたいに良い雰囲気でやれています。直近の札幌の練習は見てないですけど、きっと札幌は今でも変な雰囲気にはなってないと思います。

 ギラヴァンツの雰囲気についても、真吾くんが教えてくれて、不安なく来れました。実際にまだ合流して数日ですけど、札幌と似ているアットホームな空気を感じて、入りやすかったですね」

 さらに、原が北九州を選んだ理由には、サッカーそのものへの魅力もあった。苦しいスタートを切ったチーム。それでも、原は現在の順位以上のポテンシャルを感じていた。

「ギラヴァンツが先日、負けたガイナーレ鳥取戦を見たときに、下位に沈んでいるようなチームじゃないなって感じました。サッカーもボールを放棄するようなチームじゃないし、ポジション含めて、自分の色が出せるのかなと思ったのも大きかったです」

 プロ入りから札幌一筋で歩んできただけに、札幌への思いは強い。だが、原はプロサッカー選手としての現実からも目を背けていない。

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