
日本代表でプレーする後藤啓介【写真:Getty Images】
ベネズエラ代表戦で後藤啓介、佐藤龍之介、齋藤俊輔が先発し、今回招集されたロサンゼルス五輪世代の4人全員が、南米との2連戦でA代表のピッチに立った。同世代のU-21日本代表がアジア競技大会を戦う中、ひと足先にA代表で経験を積む若手たち。その姿と過去の代表選考から、日本サッカーにおける五輪の位置付けを考える。
ロス世代4人が、世代別代表ではなくA代表へ
9月28日、エディオンピースウイング広島で行われたベネズエラ代表戦で、後藤啓介、佐藤龍之介、齋藤俊輔の3人が先発した。24日のウルグアイ代表戦で代表初ゴールを挙げた塩貝健人と合わせ、今回招集された2028年ロサンゼルス五輪世代の4人全員が、この2試合でA代表のピッチに立ったことになる。
ベルギー1部リーグのウェステルローでプレーする齋藤は今回が初招集だったが、先発したベネズエラ戦では要所で強さを発揮し、4分にはカットインからシュートを放った。
データサイト『FotMob』によると、同選手はデュエル4回のうち3回に勝利し、チャンスメイクも2回記録している。連係はこれから積み上げが必要だが、ポテンシャルを大いに感じさせるプレーだった。
同じ時期、国内では同世代のU-21日本代表がアジア競技大会を戦っている。30日にはU-23ウズベキスタン代表との準決勝を控えるが、そのメンバーに4人の名前はない。今回はU-21ではなく、A代表で経験を積むことになった。
さらに、後藤と塩貝は今年開催されたFIFAワールドカップ2026(北中米W杯)の26人にも選ばれている。ロス五輪を2年後に控える段階で、すでに同世代からW杯メンバーが2人出ていることになる。
一方、パリ五輪代表の最終メンバー18人とバックアップ4人から1人も選ばれなかった。
ただ、W杯メンバーにパリ世代がいなかったわけではない。本稿では2001〜2004年生まれを「パリ世代」とするが、久保建英、鈴木唯人、鈴木彩艶、鈴木淳之介の4人が選ばれている。久保と鈴木彩艶は飛び級でひとつ前の東京五輪代表に入っていたが、その3年後のパリ五輪には出場していない。
この構図は、8年前のロシアW杯と対照的だ。2018年大会のメンバー23人のうち、リオ五輪の年齢条件に当てはまる1993年以降生まれは、遠藤航、植田直通、大島僚太、中村航輔の4人。全員が2016年のリオ五輪代表だった。
大岩剛監督体制のロス五輪はどうなる?
同世代からW杯に選ばれた人数は、どちらも4人。しかし、リオ世代は全員が直前の五輪代表で、パリ世代は全員がその大会のメンバーではなかった。五輪で世代の代表に選ばれ、その経験を次のW杯につなげるという道筋に、変化が見える。
パリ世代とそれより上の世代の比較から分かるのは、五輪代表への選出と、その後のW杯代表入りが、以前ほど重ならなくなっていることだ。
その背景のひとつには、代表活動とクラブでの成長を並行して考える必要がある。若くして欧州へ渡り、日々の競争を通じてA代表に届く選手にとって、五輪だけが世界へ挑む機会ではなくなっている。今回のロス世代4人も、全員が欧州のクラブに所属している。
その点で、今季は開幕からブンデスリーガでフル出場を続ける小杉啓太は異質な存在と言える。目下のところU-21日本代表としてプレーしているが、すでに世代別の枠を超え始めていると見ることもできるかもしれない。
2027年のAFCアジアカップ後には、現在U-21日本代表の指揮を執る大岩剛監督がA代表と五輪を目指す世代別代表を兼任する予定だ。両カテゴリーを見渡せる体制のもとで、五輪世代の選手をいつA代表へ引き上げ、どの舞台で経験を積ませるかが、より重要になる。
五輪は今後も、国際大会の真剣勝負を経験できる貴重な場であり続けるだろう。ただ、そこで選ばれることと、その後のW杯に選ばれることは、必ずしも結び付かない。五輪代表を経て進む選手と、その舞台を待たずにA代表へ届く選手。その両方が、日本代表を形づくっている。
ロス五輪世代の4人は、すでにA代表への一歩を踏み出した。次に問われるのは、この機会を定着へとつなげられるかだ。五輪を待たずに始まった競争は、2030年のW杯へと続いている。
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