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2試合で終わっていたら見えなかった。日本代表、「疑似W杯」で得た修正と挽回の機会

text by 編集部 photo by 田中伸弥
エクアドル代表にPK戦で勝利したサッカー日本代表
【写真:田中伸弥】



 16日間で最大4試合。このボリュームは、日本代表がこれまでW杯で経験してきた戦いのボリュームと重なる。9月と10月の代表活動期間が統合された今回、大幅な選手の入れ替えや負傷からの復帰、前戦からの修正など、長い活動期間ならではの収穫が見えてきた。「疑似W杯」ともいえる連戦は、日本代表に何をもたらしたのか。



4試合という“W杯級”のボリューム

 ウルグアイ代表に3-1、ベネズエラ代表に2-1。そしてエクアドル代表とは0-0で90分を終え、PK戦を5-4で制した。9月24日の初戦から続く日本代表の連戦は、10月5日に国立競技場で行われる決勝を残すのみとなった。

 今年からFIFAの国際マッチカレンダーが変わり、これまで9月と10月に分かれていた代表活動期間が一本化された。今回の枠は9月21日から10月6日までの16日間で、最大4試合を戦える。

 4試合というボリュームは、日本代表がこれまでFIFAワールドカップ(W杯)で経験してきた戦いと同程度。グループステージの3試合を経て、決勝トーナメント1回戦に臨むまでの計4試合だ。

 今回は中2〜3日で試合が続き、後半はノックアウト方式のキリンカップを戦う。選手の状態を見極め、課題を修正しながら連戦を乗り切り、一発勝負にも臨む。そのボリューム感とチーム運営には、W杯に通じるものがある。

 この長い活動期間は、ピッチ内での試行錯誤の幅も広げた。森保一監督は3試合で29人を起用し、先発10人の入れ替えを2度断行。GKも早川友基、小久保玲央ブライアン、鈴木彩艶の3人をそれぞれ先発させた。

 基本布陣の【3-4-2-1】を維持しながら、多くの選手や組み合わせを試せた意味は大きい。ウルグアイ戦の前には4バックを試す可能性も示唆されており、残る1試合で新たな形に挑戦する余地もある。

 なかでも大きな収穫は、最終ラインで存在感を高めた瀬古歩夢だろう。ウルグアイ戦では両チーム最多となる7回のクリアを記録し、60本中56本のパスを成功させた。続くベネズエラ戦では、68本のパスをすべて通している。

 エクアドル戦でも3バックの中央で先発し、相手の枠内シュートを1本に抑えての完封に貢献した。プレミアリーグのサンダーランドで10番を背負うニルソン・アングロと随所で激しい1対1を繰り広げ、相手の強みである左サイドからの攻撃をほぼ封じた。3試合すべてに先発したのは、チームで瀬古ただ1人である。

 活動期間が長かったからこそ、復帰の機会を得られた選手もいる。板倉滉はウルグアイ戦で左足首を痛め、64分に交代。ベネズエラ戦を欠場した。その間に渡辺剛と安藤智哉も離脱し、DF陣は苦しい台所事情に陥っていた。

 それでも板倉は期間中に復帰し、エクアドル戦でフル出場を果たした。2試合で終わる従来の日程なら、再びピッチに立つ機会がないまま活動を終えていたかもしれない。



クラブチームでの連戦は懸念点

 挽回のチャンスを得たのはGKも同じだ。鈴木彩艶は脇腹痛で合流が遅れ、後半開始から出場したベネズエラ戦では、77分のキックミスや82分のパンチングミスなど、“らしくない”プレーが続いた。

 しかし、中2日で迎えたエクアドル戦では無失点で90分を終え、PK戦でも相手のキックを止めて勝利に貢献。持ち前のフィード力を生かし、効果的な縦パスも随所で見せた。

 鈴木唯人にとっても、収穫のある期間となった。ウルグアイ戦ではシャドーで先発し、相手の立ち位置を見ながら動いて、キーパス2本とインターセプト2回を記録。ただ、ブンデスリーガで4試合4得点を挙げているフィニッシャーとしての特長は、発揮しきれなかった。

 多くのタスクを担ったウルグアイ戦に比べ、エクアドル戦では前線でプレーする機会が増え、チーム最多のシュート2本を放った。ウルグアイ戦の1本から2本への増加だけなら、大きな変化には見えないかもしれない。それでも、相手のペナルティーエリア付近で仕事をする場面が増えたことには意味がある。

 試合で出た課題を、同じ活動期間内の次の出場機会に生かす。クラブに戻るまでに実戦で修正を試せる点も、今回の日程の利点だろう。

 もちろん、懸念がないわけではない。たとえばプレミアリーグでは、第5節から第6節まで3週間近く間隔が空く。中断が長くなることで、再開後のチームのリズムに影響が出る可能性もある。

 代表で連戦をこなした選手には、クラブに戻ってからも過密日程が待つ。鈴木彩艶が所属するアストン・ヴィラは、再開直後からUEFAチャンピオンズリーグ(CL)を含め、2週間で5試合を戦う予定だ。代表活動中から復帰後までを通じた負担にも目を向ける必要がある。

 それでも、W杯後の新たなサイクルのスタートとして、この16日間が持つ意味は大きい。これまで日本代表がW杯で経験してきた4試合分を、一度の代表活動で戦う。選手を入れ替え、負傷や不調に対応し、試合ごとに修正を重ねる。その過程を本番以外で経験できる機会は貴重だ。

 5日のニュージーランドとの決勝で、この「疑似W杯」を勝って締めくくれるか。連戦の中で積み上げたものを、最後の一戦でどう示すのかに注目したい。

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【了】

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